元任天堂のサウンドクリエイター椎葉大翼さんによる、人柄と物語性の滲み出る“個展”コンサート レポート

3月2日(土) 音楽堂 ano anoにて、元任天堂のサウンドクリエイター 椎葉大翼さんのコンサート「PRINCIPIA:Master of Science String Quartet Concert 」が開催されました。

コンサートの様子と、椎葉さんへのミニインタビューをお届けします!

椎葉さん(中央)と奏者の皆さん

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今回の公演は、椎葉さんが作曲された、『プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス』と、『でっかわ彼女』の音楽を中心としたコンサート。

全ての曲が初演で、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの計4人による「弦楽四重奏」で演奏し、時にはしっとりとしたメロディで、時には軽快なメロディでゲームの世界へと誘ってくれました。

また、椎葉さんはご自身のコンサートを「個展」と表現されており、任天堂を退職されてからご自身で作曲された曲たちをきれいに並べて、演奏し(※今回はご自身による演奏はなし)、私たちに「今はこういう曲を作っています」と見せて下さっている様でした。

演奏曲の中には、Nintendo Switchでも発売されている『サリーの法則』からの演奏も。
元々は韓国のゲームで、日本オリジナルとしてリリースされる際、椎葉さんが新たに2曲作曲をされたそうです。
この曲たちを言葉で表すと、「絵本の中へようこそ」と椎葉さん。
ご自身による編曲(セルフカバー)での演奏が披露されました。

前半の締めくくりには、公演のタイトルにもなっている『プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス』より6曲の演奏。
こちらの作品は根強いファンも多く、開発者と椎葉さんのトークも盛り上がりました。
椎葉さんが高校生時代に作った曲がたまたまリメイク元のPC版に使われたお話や、堀井雄二さんに「この作品は良くできている。けど売れないだろうなぁ。」というコメントを作品に対して頂いたらしい…という、笑いを誘うお話も。

最後の演目の『でっかわ彼女』は、現在開発中のタイトルで、その名の通り「でっかくてかわいい彼女」が登場するゲーム。
演奏曲の「嬉遊曲 -Divertimento-」は、「モーツァルトが生きていたらこういう曲を書くだろうなぁ、でも書かないだろうなぁ」という思いで書かれたそうです。
こちらのタイトルはまだリリースされていませんが、なんと今回はエンディングの曲まで全6曲を演奏。贅沢でちょっぴり驚きのある、「個展」ならではの面白い展開となりました。

今回のコンサートは「弦楽四重奏」によるゲーム音楽の公演でしたが、メインである『プリンキピア』と『でっかわ彼女』とでは編成は同じでも、前者はしっとりとした王道のクラシックの様で、後者は明るくてポップで思わず踊ってしまいそうな(実際リズムをとっているお客さんもいました)曲になっていて、椎葉さんの作曲される曲の幅広さにも驚かされました。

木の温かみのある会場。客席は満員に!

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公演後に、椎葉さんにお話をうかがいました。

Q.お話を聞いていると、椎葉さんはクラシカルな曲が元々お好きな印象がありますが、ゲーム業界に進まれたきっかけはありますか?

椎葉さん:
先にゲームの音楽のほうが好きになりました。その後、ハイドン、ドビュッシー等に興味を持ち、紆余曲折していたら任天堂に行きました。
元々ゲームをするのも、ゲーム音楽も好きでした。

Q.では、音楽自体は別に勉強されていたのでしょうか?

椎葉さん:
エレクトーンを習っていて、作曲する課題がありそれがきっかけで作曲に興味を持ちました。
そして、親にパソコンを買ってもらい、パソコンで音楽を作るようになったんです。
中学2年の時、音大に行くならピアノを…ということで、エレクトーンからピアノに変えて更に作曲の理論(和声・対位法)を習うようになりました。

Q.このような個人でコンサートを開催しようと思ったきっかけはありますか?

椎葉さん:
待ってても自分の曲を他のコンサートが取り上げてくれるとは限らないので、だったら「自分でやろう!」と思い、それも全部自分の曲、「『個展』でやろう!」と思ったのがきっかけです。

Q.最後に、今日の公演のご感想をお聞かせください。

椎葉さん:
レコーディングをした時、演奏を生で聞いたのですが、それをみんなで共有できたことが本当に良かったなと思いました。
レコーディングもすごくいい音で録っているのですが、録音と生演奏では越えられない壁があるので、今日はその壁を越えられたなと思いました。

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ゲーム好きでゲーム音楽に携わり、任天堂のサウンドクリエイターを経て、フリーランスとなった椎葉さん。

今回のコンサートで司会を務めた市原 雄亮(いちはら・ゆうすけ)さんも、クラシックの指揮を務めるほか、日本初のゲーム音楽を主体に演奏するプロオーケストラ「新日本BGMフィルハーモニー管弦楽団」の創設者(そのうえ、ニンテンドードリームの前身64DREAMからの読者でもあったとか)。

関わる人、集まる人もゲームや音楽が好きなのだと感じられる、あたたかな空間となりました。

ゲーム音楽を広げるような椎葉さんの活動に、今後も注目していきたいですね。

エア楽器を弾く奏者の皆さんと、椎葉さん、『プリンキピア』開発の廣田さん

※写真左から(敬称略)
小林 明日香(こばやし・あすか 第1ヴァイオリン)
白壁 美緒(しらかべ・みお 第2ヴァイオリン)
椎葉 大翼 (しいば・だいすけ 作曲)
廣田 紳(ひろた・しん プリンキピア開発)
青柳 萌(あおやぎ・もえ ヴィオラ)
清水 亜裕美(しみず・あゆみ チェロ)

当日配布されたパンフレットポストカード(クリックorタップで拡大)。
デザインは、今回のコンサートのアート面に協力しており、「でっかわ彼女」のディレクター兼デザイナーのsainoさん(株式会社room6)によるもの。

<演目>
『World for Two』
1.夢想曲 -Daydreaming-

『エコノミシティ』
2.ゲーム中
3.結果画面

『サリーの法則 for Nintendo Switch』(弦楽四重奏版)
4.Sally’s Waltz
5.Walk in the Woods

『プリンキピア:マスター・オブ・サイエンス』
6.タイトル画面
7.メイン画面
8.審議中
9.アカデミー入会
10.祝賀パーティ
11.エンディング

『From_.』
12.「前奏曲 -Prelude-」
13.「舟歌 -Barcarolle-」
14.「終曲 -Finale-」

『でっかわ彼女』
15.「円舞曲 -Waltz-」
16.「ハバネラ -Habanera-」
17.「常動曲 -Perpetual Motion-」
18.「嬉遊曲 -Divertimento-」
19.「危機 -Crisis-」
20.「大団円 -Grand Finale-」

アンコール
『From_.』より「円舞曲 -Waltz-」

Wアンコール
『プリンキピア』より「タイトル画面」

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