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「王道」と「サービス精神」を突き詰めたRPG!『二ノ国II レヴァナントキングダム All In One Edition』プレイレビュー

Nintendo Switchで9月16日に発売された『二ノ国II レヴァナントキングダム All In One Edition』をプレイし、久しぶりにエバンたちと共に冒険を楽しみました。「久しぶり」というのは、実は本作のオリジナル版をすでにエンディングまでクリアしていたからです。つまり今回のレビューは、本作のほぼすべてのシステムと物語を知った上で全体を振り返って「やっぱここがスゲェよかった!」と語る内容になります。

そういうわけでの再プレイでしたが……。いやもう、何回プレイしても面白いし、“本作がいかに丁寧に作られているか”を再確認することができたという素直な印象です。

 

これは、真の王となるための物語。
ある日少年は王様になった―。 陰謀により、国を追われた幼き王「エバン」。 大切な存在との別れを経て、エバンは自らの王国を作ることを決意する。 これは、少年が偉大な王となり、巨悪を討つまでを記した物語である。

 

遊びとアイデア詰め込みまくりのサービス精神

本作はとにかくプレイヤーを楽しませるためのアイデアのかたまりで、序盤~中盤は体感20分に1つくらいのペースで新たな要素やシステムがどんどん追加&解説されていきます。
第1章でチュートリアル的に解説されるバトルの基礎にはじまり、ハクスラ的楽しみ方もできる多彩な装備品、さまざまな場面で手助けしてくれるフニャたち、世界観をより深く知ることができる小ネタぞろいのリーフブック、料理や武器開発などに使える素材集め、バトルの設定自体を変えてしまう通好みのシステム・バトルイコライザー、人材登用やツバクロコイン集めなど多彩すぎるサブクエスト、強敵ながら倒せば報酬たっぷりの魔瘴気モンスターリスト、入るたびに姿を変えるランダムダンジョン夢幻迷宮などなど、やること・やれることがとんでもなく豊富。どれもクリアに必須というわけではなく、メインクエストのかたわら好きなタイミングで進めることができます。

 

特に、本作の象徴と言ってもよさそうなキングダムモードにはなかなかハマりました。武器屋や道具屋などのお店、魔法やさまざまな技術を研究できる施設などを建築しつつ、王国を大きくしていくモードです。このモードを遊べるようになる第4章からが本作の本領発揮、と言ってもいいかもしれません。

↑もちろん自国を歩き回って住民と話したり、買い物を楽しんだりもできます。国が最大限近くまで大きくなると、かなりの勢いで国庫にお金が貯まっていくので「景気いいな~」と幸せな気分になります

施設はバランスよく建てていく必要があるので100%自由に建設できるわけではありませんが、国土が少しずつ広がり、建物も豪勢になり、住民も増え、お店の品ぞろえも充実していき…というふうに、国が発展していく様子を眺めていると愛着が湧いてくるんですよね。国が成長すれば戦力も充実し、主人公たちの成長につながっていくというシステムも本作ならではです。

 

もう1つ、好みは分かれそうだけど個人的に気に入っているのが進軍バトル。アクションゲームのように自軍の部隊に指示を出しながら相手の軍勢と戦っていくという、いわゆるRTS(リアルタイムストラテジー)をわかりやすくアレンジしたようなバトルです。

↑進軍バトルの部隊は誰が率いるかによって兵種(3すくみの相性アリ)や、特別な効果を発揮する「戦術」などが変わります

普段のバトルとはかなり異なる内容で、一戦ごとにわりとじっくり考える必要もあるので人によって得意不得意が分かれそうですが、「豊富な人材、大勢の仲間の力を借りて戦う&彼らを育てる」というシチュエーション自体が好みなので、進軍バトルができる場所を見つけるとついついチャレンジしてしまいます。

通常のバトルに参加できるメンバーは限られていますが、キングダムモード、進軍バトルではそれ以外の住民(仲間にできる人材は軽く100人以上!)も活躍できるのがポイントです。

↑旅先で知り合った協力者やチョイ役まで、さまざまな人々が王国に集う。彼ら1人1人のエピソードも作り込まれています

遊びの幅広さ、やり込み要素の豊富さだけでなく、「プレイの快適さ」をとことんまで突き詰めているということも付け加えておきます。例えばワープポイントであるテレスポットは、大陸の各地はもちろん、街や一部ダンジョンの中にも設置されているので移動はかなり快適です。アクション重視のバトルも味方が強すぎる&弱すぎるでストレスになることもないですし、バトルが易しめに感じる人には難易度変更もあります(アクションが得意な人ならハード辺りでちょうどいいかも)。

 

ストーリーの「一貫性」は誰に向けてのものか

※具体的ではない微ネタバレを含みます

ストーリー自体はかなりテンポよく進み、王道で気持ちのよい展開です。テンポを重視し過ぎている感じもありますが、「長いムービーで延々状況を解説する」という場面を極力減らそうという意図もあるのかもしれません(オープニング~第1章の状況説明の無駄のなさはもはや匠の技!)。

オリジナル版を最初にプレイした時には、正直なところ一般的なRPG…というか、自分がこれまでプレイしてきた幾多のRPGではまずあり得ない、とある一点が気になっていまして。というのも、本作の「二ノ国」は悪人が存在しない世界なんですね(あくまで個人的な視点ですが)。もちろん敵対する人物はいるし、悪意でこちらを陥れようとする連中もいくらでもいるんですが、エバンはそういう人たちもすべて受け入れてしまう。エバンの王としての器の前に、悪人が悪人でなくなってしまうと言いますか。

「本当の悪人なんていない、全ての人とわかりあえる」という理念はいくらなんでも夢物語過ぎるのではないか? あとゲーム的なことも考えると倒すべき絶対的な悪がいたほうが盛り上がるのでは? なんてことを考えていたのですが、これに関しては最後までぶれることのないエバンの姿を見て改めました。物語の終盤にもなると「コイツですら許しちゃうの!?」と驚愕するほどの相手でも、エバンは仲間として手を取りあいます。「悪人を許す」と言うのはいかにも“甘い”イメージがありますが、それとはまったく正反対の強い意志がないと成し得ないことであると気づかされます(もちろん「エバンの姿勢がぶれない」と言っても、悩んだり葛藤する場面が無いわけではありません)。

そういうわけで、中盤辺りまでに抱いていた「いかにも童話的なやさしい世界」というイメージは少々表面的に過ぎたなと、クリア後に思うようになりました。
むしろ本作の「大人のための物語」としての側面にも改めて気づきます。エバンの持つ圧倒的なまでの優しさを支えるのはロウランをはじめとする周囲の仲間たち、とりわけ大人たちです。一ノ国では一国の大統領であり、政治の持つさまざまな面を知り尽くしているであろうロウランがエバンの理想のために汚れ役をも引き受ける姿は、「王に尽くす配下」である以上に「子供のために尽くす大人」として捉える人もいるのではないでしょうか。

 

ダウンロードコンテンツ(以下DLC)の充実ぶり

本作『二ノ国II レヴァナントキングダム All In One Edition』には、オリジナル版で配信されていた無料拡張DLC「アドベンチャーパック」DLC第1弾「亡霊王のラビリンス」第2弾「魔法使いの本」すべて収録されています。

DLCの内容は新たなクエストや設備、ボス、装備、アイテム、フニャなどさまざまで、主要コンテンツは第5章から(ちょうど国づくりが軌道に乗ってきて、自由度もさらにアップしたころ)遊べるようになるので、中盤以降のゲーム展開がよりバラエティ豊かなものになっています。

↑リーフブックで見られる「ロウランメモ」など、一部の要素は序盤から楽しめます

追加クエストはなかなかのボリュームで難易度も徐々に上がっていくため、5章以降からメインストーリーと並行して進めていく感じです。特に「魔法使いの本」の追加クエストでは、おそらく多くのプレイヤーが第1章以降ずっと心残りだったと思われる、とあるキャラクターについて語られているのも見逃せないポイントです。ゲーム的にも物語的にもボリュームアップし、元から盛りだくさんだったやり込み要素がさらに充実しているので、オリジナル版はクリアしたことがあるけどDLCは未体験という人も新鮮に楽しめるハズ!

 


 

今回再プレイしてみて、本作は「誰もが楽しめるRPG」というシンプルながらも非常に難しい課題に真正面から取り組んだタイトルという印象を改めて抱きました。上の文章で触れた要素以外にも「小道具やライティングまで細かに設定された街並み」「主要・サブ問わず作り込まれたキャラクターのデザインと設定」「フルオーケストラで美しく聞き飽きないBGM」など、徹底したこだわりを随所で感じます。RPGらしいRPGを遊びたい、世界にどっぷりと浸りたい、爽快なゲーム体験をしたい…という人には特にオススメしたい1本です。

↑ゴールドパウンドの雰囲気いいな~とか、知恵の試練めちゃくちゃ苦労しなかった!? とか、いろいろ語りたくなりました

『二ノ国II レヴァナントキングダム All In One Edition』

 

©2021 LEVEL-5 Inc.

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