【TotK発見】楽器愛好家が語る! ウマナリ楽団徹底考察!|『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ハイラル調査隊
ハイラル各地の馬宿を美しいメロディで包み込む「ウマナリ楽団」にクローズアップ!
音楽を愛し、楽器をたしなむライターが「ウマナリ楽団」に関する音楽のルーツについて考察します。
NDWでは、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下『TotK』)に関するさまざまな記事をお届け中!
目次
ハイラルをまわる音楽家集団! 「ウマナリ楽団」の魅力に迫る
ハイラル王国を駆け回るリンクの休息所である馬宿。
『Totk』ではそんな憩いの馬宿に滞在し、彩を与える音楽隊「ウマナリ楽団」が登場します。
いつも美しい音楽と癒しを届けてくれる彼らの名前や楽曲について、趣味で音楽活動をしている筆者の視点から考察をしてみました!
ユーフォにヴィオラ? 楽団員の名前の由来とは?
音楽に馴染みのある人なら名前を見ただけで「あっ」と思い、そうでない人でもどこか聞き覚えのあるような楽団員の名前。
実は、楽器に由来した名前になっているのでは? と考えています。その観点から楽団員の名前の由来について考察をしてみました!
ヴィオラン
麗しき楽団員のヴィオラン。彼女のもつどこかもの悲しい雰囲気に、キュンとしてしまったプレイヤーも多いのではないでしょうか?
名前の由来はおそらく弦楽器の一つである「ヴィオラ」。
ヴィオラはバイオリン属の弦楽器で、見た目や構え方はバイオリンとそっくりです。しかしよく見るとバイオリンよりもひと回り大きく、音域も少し低く美しい音が出る楽器です。
そんなヴィオランが担当している楽器はバイオリンです。
馬宿で演奏する彼女の演奏姿は、右手の動きもこだわりをもって再現されているので、ぜひ注目してみてくださいね。
フェーイ
ミニチャレンジで幼きヴォーイ・ミーツ・ヴァーイのドラマを繰り広げ、多くのプレイヤーをエモい気持ちにさせたフェーイ。
名前の元ネタはおそらく「笛」(ふえ)。『ゼルダ』らしい言葉遊びでそのままです。
高い音を響かせ、ポケットに入るサイズの木の横笛を演奏しているため所持楽器はピッコロ!
と思いきや……
このふくらみが大きい見た目は「ファイフ」と呼ばれるアイリッシュ音楽で使用されるピッコロなのでは? と考えました。
友人のピッコロ奏者に尋ねてみたところ「ファイフに見えるけど、音は通常のピッコロに聞こえる。ファイフならもう少し軽い音になると思うよ!」とのことでした。
見た目はファイフに近いけど、音はよく演奏されるピッコロそのもののようです。
実際に奏者に話を聞けたことで、ウマナリ楽団の音楽への解像度がグッと上がりました。もし奏者が身近にいる場合はフェーイの演奏が聞ける、ということかもしれませんね!
ビーツ
「うっすら聞こえてくる太鼓の音だけを頼りに探す」という、ちょっとだけ怖い都市伝説のようなイベントで出会いを果たしたビーツ。奔放だけど仲間思いの彼は、ミロヤン団長にクレープをご馳走できたのでしょうか?
名前の由来はおそらく「ビート」。楽器の名前ではないですが、楽団唯一のリズム隊である彼にピッタリの名前ですね。
所持楽器はバウロンというアイリッシュ音楽でよく使用される打楽器のように見えます。あまり馴染みのない楽器ですが、こちらもアイリッシュ音楽ではよく使用される楽器です。
ユーフォル
おそらく一番危険な目にあったのでは? と思われるユーフォル。穴に落ちた彼を地上まで運ぶイベントに悩まされた人も多いのではないでしょうか?
名前の由来はおそらく「ユーフォニアム」という、ちょっと不思議な名前の金管楽器。大きなトランペットのような見た目で、抱きかかえるようにして演奏します。少し低めの音域で活躍し、柔らかくあたたかい音色が出る楽器です。
しかし彼が持っている楽器は、カタツムリのような見た目をした「ホルン」という、まったく違う金管楽器です。
しかも見た目はよく見かけるホルンではなく、どちらかといえば管をぐるぐるに巻いただけの、操作できるレバーも何もないホルンの先祖「ナチュラルホルン」と呼ばれるもののように見えます。
では、ユーフォルが演奏している音はどちらの楽器のものなのでしょうか?
試しに友人のホルン奏者に「どっちの音に聞こえる?」と聞いたところ、「響きや音色からして通常のホルンだと思う! ナチュラルホルンだとしたら、相当な名手じゃないとあんなに綺麗な音階は出ないかな〜」と返答が返ってきました。
ユーフォルが相当な名手という可能性もありますが、どうやら現代のホルンの音と考えるのが自然のようです。
フェーイといいユーフォルといい、持っている楽器の見た目が昔の楽器に近いことから、ハイラル王国の器楽・音楽文化の発展度合いを垣間見ることができてロマンを感じます。
「大妖精に捧げるセレナーデ」の曲の元ネタは?
ウマナリ楽団の一大イベント「大妖精に捧げるセレナーデ」。このイベントで演奏されるセレナーデ、どこか聞き覚えがありませんか?
これまでのゼルダシリーズを振り返り、セレナーデの元ネタを考察してみました!
前半部分:『ゼルダの伝説 風のタクト』より「地神の唄」
構成楽器や曲調からも感じ取れるように、ウマナリ楽団の楽曲はアイリッシュ音楽を強く意識したアレンジとなっています。
同じくアイリッシュ音楽が効果的に使われているゼルダといえば『ゼルダの伝説 風のタクト』。その中でもメインテーマの一部を切り取った「地神の唄」がセレナーデの前半部分と一致しているように聞こえます。
『風のタクト』中ではハープがメインということもあり、静かに演奏されることが多かった「地神の唄」ですが、『Totk』では旋律の美しさと神秘さはそのままに、少しアイリッシュ風味を加えて爽やかに演奏されています。
あえて「地神の唄」の一節を採用し、土地の守り神である大妖精を目覚めさせる音楽にしてしまうなんて、『ゼルダの伝説』シリーズを通した音楽へのこだわりと愛情を感じますね。
後半部分:『ゼルダの伝説』シリーズを通して使用されるメインテーマ
4人全員がそろった完全版のセレナーデではお馴染みのメインテーマが演奏されます。
少し深く耳を傾けてみると、どこからかギターやアコーディオンも入ってきて、よりアイリッシュ音楽らしさを感じ取れます。
実は『Botw』に登場したカッシーワのアコーディオンも、アイリッシュ音楽でよく使用される楽器です。『Botw』『Totk』時代のハイラル王国では、アイリッシュ音楽が主流なのかもしれません。
セレナーデを日本語に翻訳すると「小夜曲」。夜更けに恋人を想って窓辺で唄う愛の音楽を指します。麗しき大妖精たちに捧げる音楽としてはピッタリですね。
セレナーデの演奏を通して表現されたヴィオランの想い
ウマナリ楽団の音楽も例外なく、そもそも音楽を構成する要素は大きく分けて「メロディ」「ハーモニー」「リズム」の3つに分類されます。
実は「大妖精に捧げるセレナーデ」を通して、楽団員が増えていくのにあわせてその役割を変えたのはヴィオランだけ。
なぜ彼女だけが楽団のイベント進行にあわせて、自分の音楽の役割を変化させるのでしょうか?
考察すると、彼女の楽団に対する愛情と音楽への喜びが見えてきました
「メロディ」から「ハーモニー」、そしてまた「メロディ」へ
リンクが初めてウマナリ楽団と出会ったときの楽団員は「ミロヤン」と「ヴィオラン」だけ。
ヴィオランは「私のバイオリンが下手だから楽団が解散してしまった」と思い悩み、最初のイベントでは寂しげにメロディを弾いています。
しかし、フェーイが加わった後にはすぐにハーモニー(対旋律)へ移行し、演奏を支える役割になります。これは『みんなとまた演奏できる』ことを喜んでのことなのではないでしょうか。
そして4人全員がそろった後にはまたメロディに戻ってきて、最初の頃とは違い勇ましく『ゼルダの伝説』メインテーマを演奏するヴィオラン。
楽団に対する深い愛情と、音楽を演奏できる喜びを表すかのような演出にグッときてしまいます。
ウマナリ楽団の曲は、実在する楽器でカルテットを組めば同じように演奏できるとのこと。友達を集めて演奏してみようかな〜!
まとめ
以上、ウマナリ楽団に関する考察でした。
さすがゼルダに登場する音楽隊だけあって、作り込みがとてもこまかいですね。身近にある楽器がハイラルにもあるかもしれない、と考えるとなんとも不思議な感覚です。
一度は解散したものの、再び結成された“ウマナリンク楽団”。いつまでも仲良く、美しい音楽を奏でて旅人を癒してほしいですね。
(ライター・宮本デン)
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