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『進め!キノピオ隊長』開発スタッフに訊く 発想探求ツアー! (2015年1月号より)

ニンテンドードリーム 2015年1月号に掲載された、Wii U版『進め!キノピオ隊長』の開発者インタビューをお届けします。
「おれたち〜キノピオ〜、おれたち〜キノピオ〜、探検隊、探検隊、キノピオ探検隊♪」
作詞作曲:横田真人(任天堂) メインテーマとともにどうぞ!

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
・ネタバレも含んでいる場合があります。
<任天堂 東京制作部 プロフィール> 左から

プロデューサー 林田宏一さん
ディレクターとしてこれまで『スーパーマリオギャラクシー2』をはじめ、3DS『スーパーマリオ 3Dランド』、Wii U『スーパーマリオ 3Dワールド』など、多くの3Dマリオシリーズに携わる。今回はプロデューサーとして、一歩引いたところからスタッフを鼓舞する役目。と思ったら、開発後半は『3Dワールド』以上にガッツリ制作に携わっていたとか! お気に入りのステージは「トロッコ」ステージ全般。

ディレクター 平竹晋也さん
ディレクターとして、企画の最初から最後まで全体の取りまとめを担当。開発スタッフが円滑に仕事をできるようにお菓子を配ったりもしたそう(笑)。京都時代はWii『Wii Sports Resort』などを担当し、東京に来てからは『ギャラクシー2』『3Dランド』『3Dワールド』でレベルデザイン(コースの制作)を主に担当してきたマリオにどっぷりな方。お気に入りのステージは「吹雪のスターエクスプレス」。

レベルデザインリーダー 北原有加さん
複雑なパズルともいえる箱庭ステージの設計と全体のバランス調整を担当。立体的なステージなので、てっきり理系の人が考えられているのかと思いきや、美術大学出身で平面デザインを専攻していたんだとか。ステージは詰め将棋のように「ここにこのアイデアを入れて」とコツコツ作っていくんだそう。これまではWii U『New スーパーマリオブラザーズ U』『3Dワールド』に携わる。お気に入りのステージは暗闇のあるステージ全般。
デザインリーダー 村田 翔さん
キノピオ隊長という新キャラクターをとにかくかわいくした、デザイン全般の取りまとめ役。また平竹さんが買ってきたお菓子を食べる仕事も(笑)。「これまでは平竹と同じプロジェクトでデザインを担当してきました。平竹先輩の背中を見て学ばせていただいております(笑)」とのこと。お気に入りのステージはボスのドラゴドンが出るステージ。

┃ 3Dマリオでなくしてしまったものを復活させる

—— 今回は『スーパーマリオ 3Dワールド』からのスピンオフですよね。そもそも『3Dワールド』では、どういった経緯で「キノピオ隊長」のステージが生まれたんですか?
林田 ちょっと話は遡るんですが、僕はこれまでずっと3Dマリオを作ってきました。でも、その作っていく中でなくしてしまった部分があったんですね。
—— なくしてしまった部分ですか?
林田 はい。3Dのマリオの原点はNINTENDO 64『スーパーマリオ64』だと思うんですけど、僕自身は『マリオ64』はおもしろくて、ああいう世界を作ってみたいという気持ちがずっとありました。でもその一方で『マリオ64』は、操作が難しくて遊べないとか、カメラをいじって大変というふうに、3Dマリオへの毛嫌いみたいなものを受けた人もいたと思うんです。それからそういうことがないように、「誰でも遊べる3Dマリオを」と作ってきたのが『3Dランド』だったり『3Dワールド』だったんですが、そこを作っていくうえでちょっとなくしてしまったのが、『マリオ64』にあった“箱庭世界で遊ぶ”という側面でした。それで『3Dワールド』の制作をスタートさせるときに、最終的にどう落とし込むのかは別にして、とにかくいろんな遊びを作ってテストをしてみたんです。
—— その中に箱庭での遊びというものがあったと。
林田 そうです。誰でも遊べる箱庭の遊びってどういうものなんだろうというのを考え、僕が今の『キノピオ隊長』の原型のようなものを『3Dワールド』の初期段階から作っていて、それがステージを作るきっかけになりました。

3Dマリオの原点『マリオ64』。箱庭世界を駆けまわる


┃ 『ゼルダの伝説』になっていたかもしれない

—— 『3Dワールド』の可能性の1つとして考えられていたんですよね。
林田 ええ。遊びの1つとして作っていたものですね。きっかけはそうだったんですが、その原型を平竹が見て1つの別のソフトとして企画にしまして。
平竹 見たときに「いいな!」と思ったので、すぐに企画をまとめました。そのときは『ゼルダの伝説』として提案したんです。つまり、リンクが小さい箱庭ステージで冒険するというもので、宮本(茂さん。『マリオ』や『ゼルダ』の生みの親)に企画を見てもらったんです。
林田 プレゼンテーション用に、自宅で箱庭ステージのミニチュアを実際に作ってきたんですよ。
—— すごい! 何で作ったんですか?
平竹 休日に紙粘土とかでちまちま作りました。ミニチュアを動かしながら、こういう感じでステージを見まわしたりするんですって説明したんですけど…。
林田 ミニチュアそのものに気合いが入りすぎていたためか、宮本にそれ自体を商品にするのだと誤解させてしまって。
平竹 「このミニチュアをどう商品にするの?」と。なので、さっさとしまっちゃいました。苦い思い出です(笑)。
林田 そのことが理由ではないと思いますが(笑)、企画は見直すことになりまして。じゃあ、また『3Dワールド』に戻して組み込んでみようかと。ただ、プレイヤーはマリオ以外で考えていました。なぜなら、ジャンプができると大きいステージが必要になるので、そのときにはもう「ジャンプができないキャラ」だったりとか、「小さいステージにする」という、ゲームとしての形がわかっていたんです。
—— もうゲームとして見えていたと。
林田 はい。マリオはジャンプしてしまうので、どのキャラクターがいいんだろうってなったときに、キノピオ隊長を使って『3Dワールド』に入れようとなったんです。だから、平竹がもっとうまくプレゼンをできていれば、リンクが動いていた別の1本のソフトになっていた可能性もあります。
平竹 キー悔しい! というのは冗談で(笑)、かなり薄い可能性でしたね…今思えば(笑)。
—— そのミニチュアはまだ残っているんですか?
平竹 燃やしました。
一同 (笑)
平竹 悔しい思い出だったので成仏させてしまいました。成仏してもらったからこそ今につながったんだと思います!

┃ ユーザーの声が届いて独立に成功!

—— しかし、こうやって1本のソフトとして脚光を浴びることになりました。
林田 最初から1本のソフトにしたいっていう気持ちはずっとあったんですよ。それで『3Dワールド』を発売してみたら「(キノピオ隊長の)ステージをもっと遊びたい」という声が多かったんです。そうしたら、今度は宮本のほうから「あれで1本作ってみたら?」と言われたんですね。それで今回のプロジェクトがスタートした形になります。
—— ユーザーの声が届いたんですね。
林田 ポジティブな声を多くいただきました。なんだかんだ言っても、3Dマリオとは違う遊びじゃないですか。爽快なアクションというわけでもないし、パズルゲームみたいな側面もあるので、受け入れられるかはわからなかったんです。だから、本当に入れてよかったなぁって思いました。
—— じゃあ今回独立するという話になったとき、キノピオ隊長から主人公を変えるなんて話にはまったくならなかったんですね。
林田 平竹がリンクにこだわっていたらわからなかったですけどね。
一同 (笑)
平竹 いやいや、へっぽこなキノピオ隊長っていうのは、リンクの勇敢さとはまた違った魅力があると思っていたので、そこは僕自身キノピオ隊長で冒険したいな! と思っていました(笑)。
—— 宮本さんから逆提案があったときはどんな気持ちだったんですか?
平竹 それはもうすっごくうれしかったです。僕も『3Dワールド』を作っていく中で、もっとこんな遊びができるんじゃないの? とキノピオ隊長の可能性に関して夢が広がっていたので。

┃ 最弱の敵はヘイホーだった!?

—— 1本のソフトにするときに変更した部分について教えてください。
平竹 最初にいろんなアイデアを仕込んだステージの試作を100個くらい作り、皆で繰り返し遊びました。そうすると、『3Dワールド』ではテンポの異なるサブのような位置づけの遊びだったのでよかったんですが、連続して遊ぶといろいろな弊害があることがわかってきたので、少し遊びを変えることにしたんです。
—— どんなことがわかったんですか?
平竹 しんどくなるっていう(笑)。
村田 最初は『3Dワールド』と同じでグリーンスターを5つ集めるとクリアできるというルールだったんです。
林田 つまり500個集めなきゃいけなくて。
平竹 そういった部分も見直して、スーパーダイヤを3つ集めることができるという収集要素と、パワースターを取るとゴールできるという方向に変えました。
北原 『3Dワールド』と違ってミニゲームではないので、ゲームに慣れている人もそうでない人も皆が遊べなければいけないという理由もあります。慣れている人は一気に全部を集めてゴールできるし、そうでない人はスーパーダイヤを集めなくてもゴールに辿り着ければ先に進めるというような、幅広い遊びができたほうがいいということになりました。
—— そういったことが連続して遊ぶことでわかったと。
村田 それからステージをいろいろと作っていく中で、この凝縮されている箱庭ステージに合っている敵というのも見えてきました。
林田 ジャンプができないだけで、クリボーですら強敵なんだということに気付いたんです(笑)。
村田 『3Dワールド』でマリオを追いかけてくる敵だったクリボーやブルが強すぎて、キノピオ隊長では対抗できなかったんです。だからあまり採用されなくて、一定の動きしかしないチョロボンとパタテンテンばかりでステージが作られていました。それで動きが読める敵が必要だということがわかって、ヘイホーを入れることにしたんです。
—— ヘイホーってクリボーよりも弱かったんですか?
林田 そういうことになります(笑)。
村田 動きが読みやすくてかつ、対抗手段として後ろを通れる敵がほしかったんです。見つかったら追いかけてくるけど逃げる手段がある敵…と考えたら、ヘイホーはお面を付けているので後ろが死角になってぴったりだと。
—— (笑)。仕組みありきの考え方なんですね。てっきりカブを投げる=『スーパーマリオUSA』で、その代表的な敵といえばヘイホーかなと考えていました。
平竹 そこもありますけどね(笑)。
村田 暗闇のステージでは、キノピオ隊長のライトに気付いて振り向いたりしてくるので、ライトを消していくとヘイホーに見つかりにくかったりもします。
北原 これも変更点なんですが、今回はライトのON/OFFができるので、暗いから照らしたい、でもヘイホーに見つかるからライトを点けたくないという駆け引きも楽しんでいただけたらと思います。これまで飾りだったキノピオ隊長のライトが活躍するようになりました。『3Dワールド』のときは暗いステージがなかったので、ライトは付いてるだけで何の役にもたたなかったんです(笑)。
驚くリアクションも楽しいヘイホー

┃ さまざまな演出でゲームに緩急をつける

—— エピソード制になっていますが、これにはどんな意図があるんでしょう?
村田 ゲームのテンポがゆっくりしているので、まとめてステージを遊ぶとクリアまでに息切れしてしまうのではないかと思ったんです。
平竹 たくさんステージを遊んでもらいたいなとは思っているんですけど、同時に多すぎると「こんなにやらなきゃいけないの?」って気後れしちゃうところから、今回は三部構成で遊びに緩急をつけることにしました。そこにお話の盛り上がりとかも盛り込めればいいかなと思ったんです。
—— それぞれのエピソードにテーマはありますか?
平竹 エピソード1は、まずキノピオ隊長のいろんな遊びを紹介していく導入編。エピソード2から本気を出していこうぜと。エピソード3になると、作り手側からの挑戦状みたいな部分もあるので、ぜひ遊んでみてほしいです。
—— たまにステージの合間に入る、冒険ステージのようなものも緩急をつける遊びということでしょうか。
平竹 それが大きいです。箱庭が続くと窮屈に感じてしまうかもというところから、キノピオ隊長やキノピコが冒険している世界を感じてほしくて入れました。
村田 ピーチ城が後ろに見える場所もあります。テントの中の財宝に目がいきがちですが、実はキノコ王国を通って冒険しているという設定なんです。
平竹 うん。すごい近所を冒険しているときもあるのでは? っていう(笑)。

ステージの合間に入る冒険ステージ。ここでは右下のほうに小さくピーチ城が!

—— 緩急をつける流れからボス戦も導入されたんですか?
村田 それもありますが、『3Dワールド』のときとの違いを見せられると思い、今回の企画をはじめるときからボス戦は考えていました。
平竹 小さいキノピオ隊長と大きい敵キャラという対比がおもしろそうだと。でも、例えばドラゴドンの倒し方には二転三転あったよね。
村田 最初は頂上に登って、マリオがクッパと対峙するときのようにスイッチを押したら勝つというふうにしていたんです。でも、宮本から「それはちょっとしっくりこないな」という話があって、いろんな案をもらいました。
—— どんな案があったんですか?
村田 頂上にある栓を抜いたら、溶岩が抜けていって…。
平竹 ドラゴドンが裸になって「キャッ」って照れるという。
一同 (笑)
平竹 すごくいいと思ったんですが、さすがにそこまでの変更はできなくて。
村田 たぶん、予定調和じゃなくて意外性がほしいということだろうと思ったので、ガチンコの戦いではなく、「ほかのステージと同じようにパワースターを目指しているんだけど、結果的にうっかりドラゴドンを倒しちゃった」というふうにすればキノピオ隊長らしいのかなと、今の形にしたんです。
平竹 やっぱりキノピオ隊長はうっかり倒しちゃうだとか、たまたま助かったというのが、マリオと違って“らしい”のかなと(笑)。

┃ キノピオ隊長の目的とは?

—— ところでキノピオ隊長自身は、キノピコ救出が目的なんでしょうか。それともパワースターを含む財宝を集めることが冒険の動機なんでしょうか。
平竹村田 いい質問ですね。
一同 (笑)
平竹 そこはすごく考えていたところなんです。
村田 キノピコは今回のヒロインなんですけど、キノピオ隊長はマリオと違ってずれた感じにしたくて、ピーチ姫を助けるみたいな動機ではなく、お宝とキノピコどっちが大事なのか? というのはプレイヤーの想像にお任せしようかなと。実は最初はマルチエンディングみたいなものも考えていまして。
—— プレイヤーに財宝かキノピコかを選ばせようと?(笑)。
村田 最後のボスを倒したときに、どっちを取るかという選択肢がでて、エンディングで一緒に帰っているものが違ったらおもしろいかなとも考えていたんですけど、さすがにそれはひどいんじゃないかということになり、曖昧にしました。
平竹 だからやっぱりマリオほど勇敢ではなく、がめつい部分がちょいちょい出ちゃうのがキノピオ隊長なんです。
—— (笑)。キノピコを出そうというのは最初から決まっていたんですか?
平竹 そうですね。今回は冒険もキーワードですから、ヒーローとヒロインという関係性はいいなと思いました。とはいえ、最初は助けるだけのヒロインという存在だったんですけど、作っていく過程の中で、もうキノピコで冒険ができてもいいんじゃないか? と決まっていきましたね。
—— キノピコが主役級で個性がついたのは初めてですよね。どんなイメージで作られたんでしょう。
村田 キノピオ隊長よりも勇気があって、欲も強いのかなっていう感じです。
平竹 オープニングもキノピコがパワースターを離さなかったばっかりに連れ去られてしまいますから(笑)。ウィンゴもキノピコじゃなくてパワースターを狙っていただけですし。
—— じゃあ、ウィンゴは自分のお宝を守るために戦うんですか。
平竹 今、このゲームの暗部に踏み込んでしまいましたね。
—— え! ウィンゴは自分の巣をキノピオ隊長の襲撃から守っているということですか!
平竹 (小声)……そう。
林田 という見方もある。
一同 (笑)
村田 「火吹き山の主」のステージも、キノピオ隊長が巣に来ただけっていう。
林田 ドラゴドンからしてみれば何にも悪いことをしていないのに、いい迷惑なんだよね。
平竹 道中にいただけで、とばっちりを受けるという。ちょっとドクっけが見え隠れするのもかわいさかな、なんて。

┃ ゲーム全体にちりばめられた遊び心

—— それにしてもいろいろな遊び心が入っているゲームですよね。例えばタイトル画面をほうっておくとおもしろいデモステージが見られたり。
平竹 会社に朝来たら、林田が作ってました(笑)。
林田 2パターンあるこのトリックアートは僕が作っています。発端としては『3Dランド』のときに、宮本から「トリックアート」というお題をもらっていて、変わった形のステージを立体視にすると謎が解けるというようなものをタイトルデモで一部入れたんです。
—— あれもびっくりしました。
林田 ただトリックアートって、写真で撮って平面にするとすごく効いてくるものなので、立体視以外でもやれればと…ずっともやもやしていたんです(笑)。そこで、今回カメラを回せるのであれば、トリックアートの仕掛けができるなと思って、4パターンぐらい作ってそのうちの2つを入れることにしたんです。
平竹 一個一個、林田がブロックを置いてました。
林田 スターがフラワーに変わってって、意外とよくできてるでしょ?
一同 (笑)

タイトル画面でしばらくほうっておくとトリックアートが。カメラを回してみて!

—— もう1つのトリックアートでは、ドットルイージがずっと走ってますが。
林田 あれ僕が置いたんじゃないんですよ。気が付いたら走ってたんです!
村田 ドットルイージ担当のデザイナーが、入れられそうな場所があったから入れてみたようです。
—— 『3Dワールド』に続き、今回もいろんなステージにドットルイージが隠されていますよね。
北原 全ステージにはいないですが、今回はルイージだけじゃなくてロゼッタもいたり…。
平竹 基本はドットルイージがいるんですけど、たまに激レアとしてドットロゼッタがいますので、ぜひ探してみてください。
北原 それだけではなく、いろいろなステージで何分か待つとあるものが現れたりとか、多く小ネタを仕込んでいます。
村田 (モニターに映ったステージを指しながら)実はここにも隠れて…。
平竹 5分待つんでしたっけ。
—— 5分!?
村田 放置しておくと、謎の○○が現れます。
林田 (GamePadをその場に置いて)じゃあちょっと、出現するまでこのままにしておきますね。
—— はい。(画面を見て)って、そのキノピオの姿はなんなんですか!?
平竹 ばれちゃいましたか。この姿は最後のお楽しみなので、まだ内緒にさせてください。
林田 長く遊べるゲームになっていますということで。
—— (笑)。しかし、そういったいろんな遊びが仕込まれているんですね。
北原 ステージにある張り紙も基本ウィンゴが描かれているんですが、たまに違うキャラクターが描かれていたりします。
村田 実は4種類あるんで、よく見ていただけたらと。
平竹 しかも張り紙をタッチするとコインが出たりと、こまかく詰め込んでいますので、凝縮されたステージを楽しんでください。
林田 (大きな声で)あ、出ましたよ!

(一同モニターを見る)

—— おおお、怖っ!
平竹 普通に怖いっていうね。
一同 (笑)
北原 (モニターを指しながら)ああいうネタがいろいろとあります。
平竹 小ネタということで、はっちゃけているものが多いですね。
—— 何分か待たないと見られないものが多かったりするんですか?
平竹 待つだけではなくて、水中の泡がたまに星型だったりとか、かわいい小ネタもありますよ(笑)。
北原 UFOが飛んで来たりとか…!
林田 気になる方は、ぜひ見つけてみてください!

┃ おまけでまさかの「3Dワールド』

—— そしておまけ要素にもびっくりしました。
平竹 それはうれしいです。スピンオフタイトルということもあるので、冒険はまだまだ続くというか、『3Dワールド』も遊んでもらえたらなと思ったんです。
—— まさか『3Dワールド』のステージもいくつか遊べるとは。
平竹 キノピオ隊長で(笑)。
—— しかも遊べるステージは「ツッコンドル遺跡」とか、『3Dワールド』でキノピオ隊長が実際にいたところですよね?
平竹 そうなんです。『3Dワールド』で走り回っていたところです。あそこに至るまでのキノピオ隊長が遊べるというコンセプトで作りました。
—— あの後にマリオたちが来ると。
林田 はい。マリオの後を追いかけているようにみえて、実は勝手にお宝がほしくて冒険していたという。
—— 『3Dワールド』でキノピオ隊長が1人だった理由も描かれていましたし。
平竹 実はそんな設定があったという(笑)。ぜひゲームを遊んで確かめてほしいですね。
林田 北原が担当した部分なんですが、やっぱりジャンプのできないキノピオ隊長で『3Dワールド』のステージを遊べるようにするのは大変だった?
北原 段差が全部登れないので、ハシゴや坂といった別の移動手段を作らなければいけなかったんですが、そんなに大変ではありませんでした。クリボーとかの敵はやっぱり強かったんですが、逆にマリオで遊んだときとのギャップがおもしろいなと思ったので、手を加えませんでしたし。
—— 広大なマップになるだけでも、新鮮に遊べました。
平竹 マリオだとサーッと駆け抜けるところを、キノピオ隊長だとトコトコ歩きますから。もしイライラした方は、『3Dワールド』でマリオを使って遊んでみてください。
一同 (笑)
—— 本作の時間軸は『3Dワールド』の前、『ギャラクシー』シリーズとはパラレルの関係になるんでしょうか。
林田 そのへんは決めずに作っていますが、『ギャラクシー』を意識していた部分もあります。こういう四角形の箱庭ステージですけど、空の上に浮かんでいたりとかは『ギャラクシー2』でコンセプトにしていた、青空に惑星が浮かんでいるイメージと似た部分がありますし。また重力が反転するステージは『ギャラクシー』からきているところだったりするんです。

┃ キノピオ探検隊を連れて歩けるモードも!

—— そのほかのおまけもボリュームたっぷりです。
平竹 ありがとうございます。エピソード3まで作って、もっといろんな遊びができると思っちゃったんです。例えば同じ地形を使っても別の遊びを組み合わせることで違うことができる、遊びがガラッと変わるぞと。なので、おまけはできるだけいろんな遊びを入れていきたかったんです。その中でも、探検隊モードは楽しく頑張らせていただきました!
林田 言葉を変えると、最後の最後でねじ込んだってことなんですけど。
一同 (笑)
—— ダブルチェリーとは違う4人での遊びが楽しいです。
林田 最初はダブルチェリーで遊ぶステージだったんですよ。最初から4人のキノピオ隊長がいるような。でも結局、「探検隊でいきたい」と、本当に最後の最後まで粘って作りました。
平竹 やっぱり隊長ですから。隊員たちと4人で冒険したいじゃないですか。
—— なんで隊員はついてこないんだ! って思いますもんね。
北原 だから、あのモードだけは黄色も起きているんです。
村田 基本は隊長任せですけど(笑)

クリア後に遊べる探検隊モード。ステージ上にいる3人の隊員を引き連れてゴールを目指す遊び

┃ 個性的なキノピオ探検隊!

—— そういえば探検隊員それぞれに名前があったりするんですか?
平竹 色で呼ばれてますね(笑)。
村田 青とか、黄色とか。
—— では、今回のゲームの中ではどんなイメージで作られたんでしょうか。
村田 青のメガネの隊員は優秀でアイテムをくれる子ですね。緑は地図をひたすら読んでいるだけです。
平竹 世界地図を読んでるんですよ、きっと。縮尺が間違ってるんじゃないかなっていう。
一同 (笑)
村田 黄色はひたすら寝ていて何もしない。探検に行って一息ついてるんでしょうね。とはいえ、実は黄色も最初はステージに立っているだけだったんです。
平竹 そこを北原が。
北原 黄色も緑もただ立っているだけだったので、寝たりとか個性があったほうが絶対かわいいですよって言ったんです。難しいとは言われたんですが、なんとか黄色を寝かせた状態で出せることになりました。そうしたら、緑も地図をいつの間にか持っていて、だんだん彼らも個性的になっていきました。ゲーム中、変なところで寝てたりもするんで最初より更にかわいくなったと思います。
—— ちなみに『ギャラクシー』の探検隊から紫がいなくなった理由は?
村田 最初の段階で探検隊メンバーを考えていたときはいたんですが、どうもキノピコと色が近くて見分けにくいという話になりまして。それでちょっと今回はお休みしてもらっている感じです。
キノピオ隊長率いるキノピオ探検隊。彼らのリアクションにも注目してみてね

┃ 最後にこれだけ言わせて!

林田 先ほどお話をしましたが、スピンオフとはいえ、3Dマリオの系譜の1つなんです。3Dマリオが好きな方には好きだと言ってもらえる自信がありますし、特に『3Dワールド』を楽しんでいただけた方ならば絶対と言える自信があります。もし『3Dワールド』を遊んだことのない方でも、『キノピオ隊長』を遊んでおもしろいと思ってもらえたら、ぜひ『3Dワールド』も遊んでいただければと。あとプロデューサー的な発言になりますけど、お値段がお手頃なんですよ(笑)。
一同 (笑)
林田 スタッフが最後の最後まで粘って作っています。噛めば噛むほど味が出る奥深さを持っているゲームだと思いますので、本当にいろんな人に楽しんでもらいたいと思います。
平竹 箱庭アドベンチャーということで、『3Dワールド』のときにはなかったアクション性が強いもの、鬼ごっこやかくれんぼ、トロッコやカブ大砲などなど、この箱庭の中で考えられる遊びをとことん詰め込みました。それをお客さんに楽しんでいただきたいなと思います。汽車や高い塔もあったり、遊びのバリエーションも豊富ですので、箱庭の中で冒険しまくってください!
北原 これまでマリオを作っていて「難しい」っていう意見をいただいたこともあったんですけど、今回は時間制限はないしゲームオーバーになってもミニゲームで1UPキノコで稼げるしで、簡単に残り数を増やすことができます。アクションゲームが苦手という方でも遊んでもらえるようになっていますので、今までゲームをほとんど触ったことがないような方や、キノピオ隊長をかわいいと思ってくださった女性の方とか、いろんな方々に触っていただけたらと思います。
村田 今回、キノピオ隊長のかわいさをいろいろと考えて詰め込んでいますので、デザイナーとしてはキノピオ隊長をよりたくさん見て欲しいです。モデルも一から作り直していますし、背負っているリュックも『3Dワールド』のときと比べるとめちゃくちゃ揺れるようになりました。あとは水に入るとちゃんと濡れたりとか、しばらくするとくしゃみをしたりと、かなりこまかいところまでキノピオ隊長が生きているようにステージを含めて『3Dワールド』からブラッシュアップされています。そういうこまかいところも、ズームしたりして見ていただけたらなと思っています。
—— ずばりキノピオ隊長のかわいさのポイントはどこなんでしょうか。
村田 やっぱりへっぽこ感ですね。「あんまりできる子じゃない感じ」というのを目標に作っていました。


<関連リンク>
■『進め!キノピオ隊長』Wii U版 公式サイト
■『進め!キノピオ隊長』Nintendo Switch版・ニンテンドー3DS版 公式サイト


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