ワルイージ誕生秘話(2008年 9月号より)

『マリオテニス64』で初登場したワリオの良き相棒であり、もうマリオファミリーの一員としてすっかりおなじみのワルイージ。本記事では当時本誌で行った誕生秘話インタビューを再掲載します。

生みの親キャメロットにお邪魔して、高橋秀五さんにいろいろと聞いてみた!

世界初!? ワルイージ出生の秘密に迫ります!!

※インタビューの内容は2008年当時のもので現在とは設定が異なる可能性があることをあらかじめご了承ください。

高橋秀五さん
キャメロット代表取締役副社長。
お兄さんの宏之さんとのタッグでNINTENDO 64時代から『マリオゴルフ』、『マリオテニス』、『黄金の太陽』シリーズなどの名作を生みだしてきた。
株式会社キャメロット

ワリオと対になるようなキャラクターを作りたかった

—— そもそも、ワルイージを登場させようとしたきっかけは何だったんですか?

秀五 テニスのダブルスでチーム戦をやるときに、例えばマリオとルイージといったように、対になるキャラクターでチーム分けをしていくと、「ワリオは誰と組むの?」っていうことになったんです。ですので、最初は任天堂に「新しいキャラを作ってもらえますか?」っていう話をしたんですけど、「そういうことは難しい」と言われてしまったので、「僕らで考えてみていいですか?」と言う話をしたんです。そうしたら、「考えるぶんには自由ですから」って。たぶん、どうせダメだと思われてたんだろうなぁ(笑)。そこで、グラフィックのリーダーとワリオの相棒を作ろうかって、2人でワルイージプロジェクトを立ち上げたんです。

—— 名前も最初から決まっていたんですね。

秀五 僕らは絵が出来上がる前からワルイージって呼んでました。ワリオみたく一文字変えたワイージって案もありましたけど、やっぱり語呂がいいですし、悪いルイージなんだからワルイージだろうと(笑)。

—— デザイン自体はどうだったんですか?

秀五 もう細い体とかは初めから決まっていましたよ。グラフィックリーダーには、ワリオとセットになるようなルイージの悪いヤツっていう指示を出したんですが、そうしたら、リーダーから「ヤッターマンのドロンボー一味みたいな感じですか」という返答があって。たしかに、トンズラーとボヤッキーってしっくりくるイメージだよねっていうのが始まりです。それはもちろん、キャラをマネているということではなくて、キャラクター的に凸(デコ)と凹(ボコ)な感じがいい、という意味ですけどね。例えば大きいものと小さいもの、太いものと細いものの方が、見た目や能力的にもバランスがとれたチームが作れるので、そういう組み合わせがいいかなって思ったんです。やっぱりダブルスでピタッと息の合ったコンビネーションは、見ていて楽しいですからね。転がるワリオとリーチを生かしたワルイージみたいな。

—— ワリオからデザインをイメージしたところはあるんですか?

秀五 もともと帽子のマークはワルイージだから「W」だったんですけど、ワリオと同じになるので、「WとLを重ねたもの」にしていたというのはありました。だけど、当時任天堂でキャラクターなどの監修をされていた小田部(羊一)さんから「ワリオのWはマリオのMの逆さまなんですよ」と言われて、それなら「ワルイージのマークはルイージのLの逆さまで」ということで現在の形になったんです。




—— なるほど。色はなぜ紫にしたんですか?

秀五 赤、緑、黄色に加え、ピーチのピンクやデイジーのオレンジを外した色の中で印象的なもの、それらが並んだときの色見のバランスを考えたときに紫が一番しっくりきたんです。ですから、最初から紫でしたね。ヒゲも最初からあのヒゲでした。実は「L」の形からきているんですよ。

—— ということは、逆Lのマーク以外は、最初からほぼ完成型だったんですね。

秀五 そうですね。全部出来ていました。

—— 任天堂からも即OKだったんですか。

秀五 はい。小田部さんが仕上げてくれましたが、もとのデザインはこのままでOKをもらった感じです。

—— OKが出たときの感想はいかがでした?

秀五 うそぉ〜!? 通るんだ!! って(笑)。それで、いいものを作れば任天堂もOKしてくれるんだってわかったので、次の作品でも新キャラを出したいと思ったんですね。「次はワルピーチを作ってみよう」と、またグラフィックリーダーとプロジェクトを立ち上げて、とりあえず描いてみたんですけど、宮本(茂)さんが「見なくても、どうせドロンジョみたいなんでしょ」って思ったらしく、見せる前に終わっちゃいました(笑)。もとの発想が違うから、ドロンジョにはならないんですけどね。…堕天使系なのにって(笑)。

—— (笑)。ワルイージに話を戻しますけど、性格とかはどうやってきまったんですか?

秀五 下積みが長かった苦労人で、ルイージをライバル視しているといった、もとのたたき台は僕らで作って、問題があれば直してくださいってお願いしたんですが、ほとんど直しはなかったです。

—— マリオはライバル視していないんですよね?

秀五 ないですよ。だってワルイージだから(笑)。ルイージのライバルなので、マリオとワリオと同じような関係なんです。

—— そういえばワリオとの関係って何なんですか? 良き相棒としか発表されていないんですけど。

秀五 (ちょっと考えて)う〜ん。それくらいしか考えてないです。

—— 兄弟でもないんですよね。

秀五 血はつながって…ない。聞いたことない(笑)。『マリオテニスGC』のオープニングムービーを見てもらうとわかりやすいんですが、相棒だけど仲間じゃない、 助け合っていない間柄でしょうね。

—— そういった意味じゃ、性格などはキャメロット作品で肉付けされていってる感じですよね。

秀五 単純に僕らにとっては、掘り下げやすいキャラなんですよ。新しいタイトルを出すことになれば、それはもっと深く見せていかなければいけないと思うので、今後もおのずと肉付けされていくでしょうね。

—— では最後に、全国のワルイージファンに向けてメッセージをお願いします。

秀五 僕らが発信できたキャラクターが、こういうふうに成長してくれて、本当にうれしいかぎりです。僕らとしても、とても愛着のあるキャラクターですので、今後も生き生きと活躍できる場を提供していきたいと思っています。ですから、これからもワルイージの応援をよろしくお願いします!!

—— 『ワルイージマンション』とか、ワルイージが主人公のゲームにも期待しちゃいます。

秀五 マンションはないでしょ。ワルイージだったら、一戸建てくらいなんじゃない?(笑)。

ワルイージの性格がいちばん表れているという、『マリオテニスGC』のオープニングムービー

合わせてご覧ください。


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