星のカービィ スターアライズ Vol.4 インタビューTheアルティメット 後編(2018年7月号より)

1人でも友達とでも、最大4人でワイワイ遊べるNintendo Switchの『星のカービィ スターアライズ』。ニンテンドードリーム誌上で行われた開発者インタビュー再掲載も最終回です。

今回は、熊崎ゼネラルディレクターに最後に登場するボスたちについて語っていただきました。ネタバレ注意!

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
・ネタバレを含んでいます。

<プロフィール>

ゼネラルディレクター
 熊崎 信也さん

『カービィ』シリーズを総指揮するえらい人。ゲーム内のテキストも執筆。ハル研究所所属。


蘇った破神エンデ・ニルとは何者だったのか

―― 今作では破神エンデ・ニルがラスボスとして立ちはだかりました。まずは破神の存在自体についてから聞かせてください。

熊崎 まず最初に本物の“神”のような存在を『カービィ』シリーズに登場させて良いのか? という部分ですごく悩みました。そこで特定の神様にするのではなく、何か超越した謎の存在にしようと思ったのです。ハイネスはエンデ・ニルに“破神”と名付けたのですが、神であるかどうかは定かではありません。エンデ・ニル自身が「我は神なり」と名乗っている訳ではなく、ハイネスが神と信じた存在がエンデ・ニルであっただけなのです。闇のハートはひとつだけでもデデデ大王が野獣のように変身したり、孤高のメタナイトが分身する力を得てしてしまう程の影響力を持っています。そんな闇のハートのエネルギーが集められた存在なのですが、自身に明確な意思がまだありません。闇の心のパワーが器によって凝縮されて具現化した体という設定なので、パワー溢れる魔人や巨人みたいな形態を想像して作っていきました。

―― それまでずっと2Dだったのが、エンデ・ニルとの戦いでステージでフル3Dの戦いになって驚きました。ゲームデザインや開発コンセプトを教えてください。

熊崎 フレンズハートのデザインが先にあったので、エンデ・ニル自身にも戦闘シーンにもハートのデザインが入っていてほしいなと思いました。HDゲーム機で進化した最終ボス戦ということで、『カービィ』でフル3Dボスバトルをしたらどうなるだろうと考えました。シリーズ伝統の突如始まるシューティング戦が進化したように、本格的な3Dアクションを体験させたくて!

HDゲーム機のハイスペックを活かした迫力満点のラストバトルがアツい!

―― 見た目が3Dの演出は過去作にもありましたが、本格的な3Dバトルは初ですよね。

熊崎 「『カービィ』だからここまでだよね」と制限して考えず、圧倒的な最終決戦のインパクトをお客さんに感じてほしくて制作しました。ものすごく巨大な相手で「こんなの倒せっこない!」って多くのユーザーが見た瞬間に思えるようなボスを、カービィとフレンズたちが集結して立ち向かう構図をやりたかったのです。戦いながらカービィが追い詰めるほど、そこにある敵の実態も見えてくるみたいな演出にしたいと思い作っていきました。

―― 広いステージで巨大なボスと戦うのは、HDゲーム機のハイスペックがあってこそですね。

熊崎 3Dバトルを存分に楽しめるように、とにかく敵の体と舞台を大きくしました。あと「ラスボスとの戦いはこうしたい!」という思いは、毎作開発の一番最初にあって。前作『星のカービィ ロボボプラネット』だったら「変形マシーンから波動砲を撃つ」とか、前々作『星のカービィ トリプルデラックス』であれば「奥の花が開花し昼夜がパッと入れ替わる」のようなものです。動きや演出のイメージがあって、それから制作に入っていきます。“巨大な敵との3Dバトル”をテーマに考えた後は、3Dだから見上げたり後ろに回り込む戦略や、拡散する敵の攻撃をジャンプして跳んで避けたり、徐々に3Dバトルとして発展させていきます。そして魔人が空を飛ぶとは思ってもいない段階で突如、翼が生え見上げたり見下ろしたり、3Dバトルとしてカメラアングルも映えるゲームデザインにしていきました。

―― 破神エンデ・ニルの内部に現れるコアが時々カービィの顏にそっくりになるのですが、ニルの中で何が起きているのでしょうか?

熊崎 なかなかの核心に迫るご質問ですので回答にとても迷いましたが、ご興味のある方へ向けて、少し想像の余地を残しながら…。邪悪な心が集められニルは破神となりますが、最終形態の時には取り込まれていた、狂気のハイネスが吐き出されていました。最後に生まれたニルの中では、無邪気な心と、破壊し滅亡させようとする衝動とが混ざり合い始めていました。そんな時、初めて目にしたカービィに対し、何かを感じ、よく似た顔になったりします。ハイネスに集められたさまざまな心の影響もあり、さらにいろいろな顔にも変形します。生まれさせた者に染まる、という性質を伝説の書で知っていたハイネスが、本当は最初に出会いたかったのですが。ハイネスはニルから吐き出された後、三魔官シスターズとあの空間から脱出しますが、その時、どんな心になっているか…こちらも想像力を掻き立てられますよね。そんな今作の悪役たちへの願いも込めて、最終形態の戦闘曲名は「第四楽章:生誕の希望」としました。

―― 攻撃判定が無いフレンズハートが、エンデ・ニルの最終形態の時だけダメージが当たるのはなぜですか?

熊崎 ゲームデザイン的には、ノーマルカービィに残された攻撃手段として、また「トモダチノワ」という技でニル側のフレンズになってしまった仲間に、ハートが有効だと示唆する意味で作られた仕様でもあります。物語的には、封印の力を持った4本の心のヤリのパワーが込められたハートですので、今のニルには当たると痛いものになっています。対ニルとしてのパワーが込められたハートであることを説明しつつ、今回生まれてしまったニルとはフレンズにはなれない…という意味も込められています。ハートを投げ続けてもわかり合えない部分は、ちょっと心にグッときますが、ニルは無限の可能性を秘めた存在ですので、次に生まれた時こそは、フレンズになれるかもしれませんね。


歴史の闇に葬り去られたアノ存在が復活した理由

―― 『カービィ』シリーズお馴染みの隠しボス「ギャラクティックナイト」ですが、なぜ今回はバルフレイナイトになってしまったのでしょうか?

熊崎 『スターアライズ』はシリーズ集大成タイトルではありますが、「予定調和な集大成」では王道として何か足りないと思ったのです。シンプルにゲーム本編をクリアして、エンデ・ニルの戦いで綺麗に終わっても良かったかな? とも少し思いましたが、ギャラクティックナイトはいなくて本当に良いのか、最後まで悩みました。ご想像通り出てきて「ギャラクティックナイト、またお前か!」って言われて終わるのも無くはない…ですかね?

―― ある意味、とても王道らしい終わり方ですよね(笑)。

熊崎 はい。とても王道らしいですが、…それでは少々面白くないかなと。やっぱり未だ見ぬ隠しボスがいて、それにチャレンジしたいって思うお客さんもいらっしゃるので、今回もそれにお応えしたいなと! 開発スケジュール的にバルフレイナイトをゲームに登場させるのは、かなりギリギリでした。

突如現れたチョウチョがギャラクティックナイトの元へ。触れるとチョウチョと融合し、バルフレイナイトの姿に!

―― 前回のインタビューで発売日はかなり早い段階で決めていたとおっしゃっていましたし。

熊崎 バルフレイナイトのデザインについては、実はゲームキューブ版の王道『カービィ』を考えていた時に敵の新型ナイトボスとして作られていたデザインなのですよ。

―― 知っているファンの方はかなりの通ですね!

熊崎 当時完成できなかった時の思いもあっての復活なのですが、ギャラクティックナイトとは違う、別の新しいナイトを出す案もありましたが、何を出しても隠しボスっておまけっぽくなってしまって。ポッと出ている感は否めませんでした。

―― 本編にも全く関わりがないと、そうなっちゃいますよね。

熊崎 はい。でも繰り返しゲームに登場させることで立ち位置は上がるものです。かつてギャラクティックナイトもそう言われたのですが、今では定番になっていますよね。ポッと出ている感は、色々な新キャラでも感じられるもののいずれ時間が解決するのでそこは気にならなかったのですが、どうせ新規デザインで新しいナイトを作るなら、これまでのファンの人が「ええーっ!?」って思える、まさかのデザインにならないかなと考えたんです。

―― それがまさかの!

熊崎 多くのプレイヤーがギャラクティックナイトの登場を予測すると思いますが、ギャラクティックナイトが出てきてから本当の隠しボスに変わるという見せ方をしました。むしろ、かつてのポッと出のような隠しボスのギャラクティックナイトが恋しくなってもらえるような使い方をしてます(笑)。

―― 冒頭、一瞬だけカービィたちに戦う仕草を見せますし!

熊崎 HDでちゃんと3Dモデルまで作ったギャラクティックナイトを、すぐ消滅させるというインパクトから考えました(笑)。『カービィ』シリーズにおいて平和の象徴としてチョウチョを出しているのですが、ハッピーエンドのようにチョウチョが出てきたにも係わらず、危機が再来するイメージってハッとするなぁと思ったのです。チョウチョって、日本でも古くは黄泉の国を感じさせる不吉なイメージがありましたよね? なので、平和の象徴と思っていたチョウチョが介入して来たら、じつはものすごい敵だったと。そういう考えから、新たなるナイトのボスとして、チョウチョのデザインのバルフレイナイトを復活させました。名前はチョウチョの英語となるバタフライから命名しました。

 シリーズにおける平和の象徴がチョウチョだった。『星のカービィWii』『トリプルデラックス』『ロボボプラネット』より



関連リンク

『星のカービィ スターアライズ』 公式サイト
星のカービィ ポータル


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