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リトドラ誕生のひみつ ―『牧場物語』生みの親・和田康宏さんが語る『リトルドラゴンズカフェ』制作秘話


『牧場物語』の生みの親、和田康宏さんが生み出した完全新作『リトルドラゴンズカフェ -ひみつの竜とふしぎな島-』(以下、『リトドラ』)。その制作秘話をプロデューサーの和田さんに直接インタビュー!さらに和田さんに聞いてみたショートクエスチョンもお届け♪
 
ちなみにニンドリ18年10月号では、『リトドラ』誕生の経緯だけでなくキャラクターたちの誕生のひみつと魅力をたっぷり語っていただいています!キャラクターの設定画も掲載していますよ。

今回はこのインタビューの内容をチラ見せするとともに、WEB限定のお話満載でお届けしております。ぜひニンドリ本誌と合わせてお楽しみください。

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『リトルドラゴンズカフェ -ひみつの竜とふしぎな島-』
1996年にスーパーファミコンで発売され、今現在も多くのファンに愛される『牧場物語』シリーズの生みの親であるゲームクリエイター・和田康宏さんとイラストレーター、漫画家のまつやまいぐささんが、再びタッグを組んで生み出した完全新作。

物語の舞台は自然豊かな島にある、主人公の双子とその母親が経営する一軒のカフェ。突然目を覚まさなくなった母親を助けるため、双子は不思議なタマゴから生まれたドラゴンや個性的なスタッフと協力して、カフェを繁盛させていく。カフェの手伝いや料理作りはもちろん、新しいメニューを作るためのレシピやさまざまな食材を探すため、島をめぐる冒険も楽しめる。

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プロデューサー 和田康宏さん
トイボックス株式会社CEO。代表作の『牧場物語』シリーズでは、プロデュースのほか原案も手がけた。近年ではNintendo Switch専用ソフト『ハッピーバースデイズ』にてプロデューサーを担当。
 

*きっかけは絵本とゲームの融合*

―― 『リトドラ』の製作に至った経緯をお聞かせください。
和田 キャラクターデザインのまつやまいぐささんとは『牧場物語』シリーズを立ち上げたころから一緒に仕事をしていて、僕が『牧場物語』シリーズから離れても、また一緒にいちから新しいものを作りましょうよという話はしていたんです。それで、新しいものというのがゲームに限らず、デジタルアートブックとか、触る絵本だとか、そういったアイデアをいろいろと話し合っていまして。そのうち、「じゃあ絵本でもやりましょうか」という方向に動き始めたんですが、そんな中で僕はゲームの企画もずっと練っていて、それが宿屋を舞台にしたものだったんです。
―― そこから始まったんですね。
 

*最初はいろんなタイプのドラゴンがいた!?*

―― ドラゴンの体の色を変える方法が、料理を食べさせること…という仕組み、面白いですね。
和田 実は、企画段階では色々なアイデアがあったのですが、あまり簡単に変えることができると道具っぽいじゃないですか。なので、自然に変わった方がいいということになり、だったら食べ物でしょう、となったんです。食べさせた料理によって色がどんどん変わっていくと、相棒感も出ますよね。


料理を毎日与えることで、ドラゴンの体の色がだんだん変化していきます。
生まれたばかりの時は赤っぽかったのが、青の色素の料理を与え続けることでだんだん紫に!
 
―― たしかに、「実際に生きていて、だんだん変わっていっている」感じがします。
和田 もっとこのゲームを認知していただいて、続編に繋がるような展開になれば、よりいろんなことができると思います。最初は、水中タイプと飛空タイプと地中に潜るタイプとに分かれることも考えていましたが、途中でボツになりました(笑)。ほかにもアイデアはたくさんありましたので、長く続けていくことができれば、ボツになったものも採用してもっと面白くさせたいですね。どうしても、まったく新しいものを完成させるためには多くの取捨選択をせざるを得ないので、やりたかったことがたくさんあるんですよ。ぜひ、今作を多くの方に楽しんでいただいて、次に繋がることを期待しています
 
 
 

*料理はミュージカル!?*

―― 調理はリズムゲーム風ですよね。曲がいくつかあるようですが、何種類くらいあるのでしょうか。
和田 7~8種類だと思います。それぞれ、ショートバーションとロングバージョンがあるんですよ。でも、スコアを競うようなリズムゲームではなく、達成感がありつつも楽しいものを、ということでリズムアクション的なものを採用しました。今はおよそ7秒ほどと15秒ほどの長さですが、最初は30秒とか1分あったんです。実は最初、調理中にミュージカルっぽく人が参加してきて、全員で踊る…というような案だったからなのですが、ボツになりました(笑)。その時の名残で曲の種類は結構あります。
―― 曲のジャンルも、ジャズ風だったりロック風だったり、さまざまですよね。
和田 曲のジャンルは「煮る」とか「焼く」とか「炒める」とか、調理の系統で分けています。サウンドを担当してくれた会社のスタッフがノリノリでいろんな曲を作ってくれました。

上手にタイミングが合うと食材のイラストが出てくる演出。言われてみればミュージカルっぽい!?
 
 
 

*あえて搭載しなかった「地図」*

―― カフェの経営が本格的になるころから冒険できる範囲が広がりますが、地図が登場しないのは何かこだわりがあるのでしょうか。
和田 現場のディレクターと僕がバトルして負けた結果です(笑)。ディレクターは、地図があったら冒険感が出ないと考えていたようですね。たしかに、何かを探すゲームで詳細な地図があったら、そこへ行くだけになりますから。とはいえ、ゲームシステムとしてはどうだろうと、いまだに少し迷っていますね。ですが、冒険感や新しい場所を切り開いていく感じを味わっていただければと思います。
―― 冒険感もありますし、あの食材はあの場所でとれたなぁ、とだんだん覚えていくこと自体、楽しみがあります。
和田 一度取った食材は畑で全部取れますけれども、3日に1回ですので、より多く集めようと思ったらあちこち探す必要がありますからね。逆に、カフェにこもりたい人は、一度食材を見つけてしまえば畑に行くだけでいいのですが。
―― それも自由度が高いですよね。
和田 プレイヤーによって暮らし方が自由に選べるように、なるべく「何かをしなきゃいけない」という制約を減らしていきました

フィールドではいろいろな場所でさまざまな食材が入手できる
 

カフェの横の畑では、これまで入手したことのある野菜などが一気に収穫できる!
 

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