アイデアで戦う新機軸RPG『リトルタウンヒーロー』ゲームフリーク開発者インタビュー(2019年12月号より)

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『ポケットモンスター』シリーズで知られるゲームフリークが、完全オリジナルのRPGを世に送り出すのは約22年ぶり。カードゲームのようなバトルが特徴の『リトルタウンヒーロー』について、開発の中心メンバーの御三方に制作秘話をたっぷり伺いました!

(ニンテンドードリーム 2019年12月号より)

・記事は修正&加筆している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。

プランニングリーダー 寺地 惇さん(左)
バトルやイベントの仕組みや、各種メニュー画面など仕様全般を担当。『ポケットモンスター サン・ムーン』開発後、今作の制作に参画した。

ディレクター 田谷 正夫さん(中央)
プログラムやシナリオなどを担当した立案者。『ポケットモンスターブラック・ホワイト』以降、バトルシステムのベースプログラムを担当している。

アートディレクター 栃木 遥さん(右)
外部デザイナーと連携して今作のデザイン全般を担当。グラフィック以外にもイベント制作も手掛けた若きクリエイター。


村の外に憧れる少年の冒険物語

本作は村の中は平和だけど、村の外に出ることを禁じられている小さな村が舞台のRPGです。
好奇心旺盛な少年の主人公・ピッケル(名前は変更可)が、「外の世界を冒険してみたい」という思いを抱きながら、友達と一緒に世界の秘密を解き明かしていく物語が展開します。


↑外の世界に通じる道はお城が守っているので、村人は外の世界に出ることができません。村には、居住区、商業区、牧場区などがあります

アイデアをぶつけて戦うバトルは、さまざまなアイデア(※)を使っていきます。アイデアは最初「フワット」と呼ばれる状態で、そのまま使うことは出来ません。毎ターン限られたキリョクを消費して「フワット」を「ガチット」にして、相手の持つすべてのガチットをすべてブレイクすると相手に攻撃できます。

※アイデア(ガチット)は全部で3種類。攻撃の赤ガチットは1ターンに1回しか使えません。防御の黄色ガチットはブレイクされない限り1ターンに何度も使えます。青ガチットはサポート効果に近いイメージで、敵のガチットとぶつけ合わずに好きなタイミングで使うことが出来ます。


↑例えば「しっかりガード」の「フワット」(左の画面写真)。キリョクを3つ消費することで「ガチット」にすることができます(右の画面写真)



↑アイデアをぶつけ終わったらダイスを振って出た目(1~4)を移動。村人のいるマスに止まれば助けを借りることが出来ます。戦いを有利にする新しいアイデアを閃くことも!

相手のガチットをオールブレイクし、なおかつ自分に赤ガチットがあれば相手にダメージを与えることができます。これが『リトルタウンヒーロー』の基本的なバトルの流れになります。
なお、ゲームフリーク公式YouTubeでは、バトルをわかりやすく紹介する映像が公開されていますので、あわせてご覧ください。


4月23日に発売されたパッケージ版の発売にあわせて、新難易度「ひかえめ」が追加されました。
本来の難易度は「てごわい」となり、どうしてもバトルに勝てない場合、難易度を「ひかえめ」にすることで、かなり勝ちやすくなりますよ。


ゲームフリークが生み出した新感覚のRPG

—— 『ソリティ馬』を世に送り出した田谷さんの新作がRPGということで、まずは開発経緯を聞かせください。

田谷 2016年10月ぐらいに、ギアプロジェクト制度(※1)の募集期間が始まった時に、「どんなものを出したらいいか」を寺地と栃木の3人で食事の席で話したんですね。その時、RPGって我々世代(30後半〜40代前半)にはどんなものが魅力なのかについて語ったんです。

—— どんなお話だったんですか?

田谷 「最新のRPGについてどう思っているか」です。膨大な時間のかかる壮大な冒険、たくさん敵を倒してレベルを上げないといけない…とか、大人になると面白そうなRPGでもなかなか手を出せない…とかですね。

—— 大人になると、1日にゲームをプレイする時間ってとても限られていますし。

田谷 はい。それで、そういう方向性のRPGではなく、レベル上げの必要はないけれど、1回のバトルはしっかり考えられる戦略性があり、短い時間のストーリーで完結して、満足感がしっかり得られるようなRPGがいいねって話にまとまって。そんなRPGの企画を出したのが『リトルタウンヒーロー』です。まずは3か月でプロトタイプを作りました。

—— 発表当初は『TOWN(仮)』でしたが、正式名称が決まったのはいつ頃ですか?

田谷 開発中はものすごくバタバタしていて、タイトルはなかなか決められなかったんです。そんななか、Nintendo Direct 2018.9.14に取り上げてもらえることになったのですが、この話を聞いてから映像を提出するまでの時間が3日しかなくて(苦笑)。

寺地 Directで紹介してくれる! …と喜んだはいいもの、ね(笑)。

田谷 正式タイトルは、ローカライズを担当したフライハイワークスさんの翻訳を担当してくれた方に考えていただきました。日本と海外で同じ名称であることが望ましいので、英語圏でイイ感じに響くタイトルを考えてほしいとお願いしたところ、「タウンヒーロー」という言葉が海外にあることを知りました。

—— どんな意味なのですか?

田谷 地元の、イケてるやつというか。メジャーリーガーみたいな本物のスーパーヒーローじゃないけど、イイやつなんだよね…みたいな感じです。今作のコンセプトは「小さなひとつの村の中だけで完結するRPG」なので、さらに「リトル」という名称を与えました。ちっちゃい村のタウンヒーローという意味もあるし、主人公が少年なので「リトルなヒーロー」というダブルミーニングになっています。このタイトルに決めた瞬間、これしかないぐらいの気持ちだったんですけど、社内からは 「意味はわかるし、いいねって思うんだけど…目立たなさそう」って言われまして(苦笑)。

—— ええっ!?

田谷 そこから奇抜なタイトル案も考えたのですが、商標登録が軒並みダメでした。『リトルタウンヒーロー』だけは大丈夫だったので、最終的にはこれで行きましょうと。

—— ロゴデザインを見ると、主人公の顏が描かれているのが印象的ですね。

栃木 これは僕がデザインしました。今作の絵は色がいっぱいあってガチャガチャしているので、シンプルにしようと思ったんです。色があまり乗っていなくて、ペタッとした感じがいいかなと。最初は「LITTLE」の部分はシンプルにガチットが横に並んでいるだけで主人公の顔もなかったのですが、杉森(建さん。同社創立メンバーの1人)の意見としては「悪くないけどもっと遊んでもいい」という感じでして。いくつか案を出すうちに、主人公の顔の周りでフワットがガチットになっている今の案になっていきました。

—— このRPGで表現したかった物語について、詳しく聞かせてください。

田谷 ピッケルは村の外に出たくて頑張るという内容なんですけど、小さなスケールで村を守るだけでも立派なんだよっていう物語が描けたらいいなというのが根源的な動機になります。ちっちゃい世界をちゃんと守るというだけでも、すごく立派なことだと思っていますので。短い時間で遊べるRPGがいいから狭い世界にしたというわけではありませんよ。それで物語の中身もだんだん大人っぽい考え方になってきたので、それをうまく表現すれば、プレイする時間がなかなか取れない大人に向けて作るRPGとしては結構面白いんじゃないかなと思いました。

※1 ゲームフリークの有志(3人)がチームを組み、企画を提出して社内審査が通るとプロジェクトとして商品化を前提に開発に取り組める仕組み。これまでに3DS DL『リズムハンター ハーモナイト』『ソリティ馬』、PC『TEMBO THE BADASS ELEPHANT』『GIGA WRECKER』、Nintendo Switch DL/iOS/Android『ポケモンクエスト』などが作られました。

約3年の歳月を掛けて磨き上げたひらめきバトル

—— (開発資料を見ながら)かなり試行錯誤されたんですね。「5時」「4時」と書かれているカードは何ですか?

↑開発第1ステップ

栃木 これはパラメーターのひとつですね。勇気の「勇」、ひらめきの「閃」、時間の「時」、この3つを組み合わせで敵を倒すイメージですね。

田谷 この頃はまだカードゲームっぽさが強いですね(笑)。まず最初の3か月で遊びのシステムを考えました。単にレベルを上げて、ボタンを押すだけで敵に勝てるようなゲームにはしたくなかったので、そこには高いゲーム性が出るだろうと思いました。バトルシステムの内容を詰める際に、プログラムをいきなり書くというのは非効率なので、まずは紙でカードゲームのようなものを作って、プロトタイプの補助にしたんです。それで遊んで面白かったら、実際にプログラムをしようという流れです。そのカードゲームとして作った内容を、ほぼほぼゲームに実装したのが第1ステップの画面です。

—— 実際にプレイしたら、カードゲームっぽいと感じたので腑に落ちました。

栃木 実はその「カードゲームっぽい」というのが最初の課題でした(苦笑)。カードゲームじゃないことをやりたいという部分から、まずは見た目を整えていきました。最初の段階では、カードの手札も表示されていたんですよ。

寺地 色と数字を組み合わせると技が出たりする、ポーカーみたいなイメージで作っていました。

栃木 見た目を整えたり、カードゲーム感の払拭をしているうちに半年が経ちまして。そこからはプロジェクトとして会社から予算をもらって、作り込んでいったのが第2ステップです。

↑開発第2ステップ

—— 製品版の雰囲気にかなり近付きましたね。

栃木 この時点でキャラクターや敵のデザインを詰めていったからですね。あと、カードゲーム感を払拭する時に、頭の周りになんか浮かんでいたらいいんじゃないかと案が出て。そこからアイデアを詰めていったんです。

寺地 この2段階目の状態から、次のステップになった際はけっこう変わりました。

栃木 「アクションゲームっぽくしよう」という案もあったんです(笑)。

寺地 この時期は、まだまだ思考錯誤を続けていました。もう少し後になって、戦略性のあるバトルを重要視することに決めたので、最終的にアクション要素は無くしましたね。

—— この時点でキャラクターのデザインは決まっていたのですか?

寺地 このタイミングで会社から一定の予算を頂けたこともあり、まずはビジュアル面のクオリティーアップを先行してすすめていました。一方で、バトルシステムは試行錯誤を繰り返していたのですが、この時期に一手をぶつけていったら、状況が変わるという、現在に近いバトルシステムになってきました。

栃木 その次くらいの段階(第3ステップ)では、敵のアイデアも出来てきましたね。

↑開発第3ステップ

寺地 考えてバトルをしなくちゃって時に、敵がどんなことをしてくるかわからないとプレイヤーは考えようがないですよね? そこで、敵がどういう順番で、どういった攻撃をしてくるのかが事前に予告される仕組みを用意して、それに対してどう対応するかをプレイヤーが考える遊びにする、という製品版の根本のシステムにこのタイミングで行き着いた感じです。

栃木 ところが、まだ分かりにくいと社内の評価で言われて(苦笑)。

—— ええっ!?

寺地 (遊び方が)全然分からないって。その時期から、バトルを分かりやすくしようと、アイデアとアイデアをぶつけて見た目もぶつかっているっていうのをやろうとなって、そこから案が出てきたのがアイデアが出てきてぶつけると。今は丸と丸がぶつかっていますが。要素としてはその辺から固まってきた感じです。

↑開発第4ステップ

—— 第4ステップになると、画面の見た目が横になりましたね。

田谷 正面だとお互い向き合うという動作をするんですけど、奥行きの動きしかできないんです。画面を見ている分にはあまり動きを感じられない構図だったんです。それとアイデア同士がぶつかるというのも無くて、そうするとただ数字だけを見ていれば出来ちゃうゲームということになっていたので、その辺で分かりづらいとか魅力が乏しいというところを指摘していただいたので、そこから現状の形になりました。
栃木 この時はモンスターのパラメーターと味方のパラメーターが全然違ったのが分かりにくかったですね…。それらを整理して、製品版の形になりました。

—— 完成までにどれぐらいの期間がかかったのですか?

田谷 トータルで約3年弱ですね。
寺地 特に時間が掛かったのが、第2ステップの画面から第3ステップの画面に至るまでですね。ここだけで約1年を費やしています。ここから一気にスピードアップして、第4ステップの画面までは約3か月でした。これが2018年12月くらいの時期になります。

—— バトルの移動パートはボードゲームのようですね。

田谷 自分の中では、バトルをとにかく遊びごたえのあるものにしようという思いが強くがありました。それで1バトルが10分超と、ボス戦は特に長丁場になりました。ただ、それくらいのスパンになると、ワンルールで「アイデア」をぶっつけあうだけをずっとやっていると辛いとも感じて。

—— バトルの流れに波がないと、淡々としてしまう気がしますね。

田谷 何か気持ちが切り替わる瞬間を定期的に入れないと面白くないだろうと思いました。それでバトル中にフィールドを移動をするという案があって、その部分をいかに面白くして、気分を切り替えられるものにしようかなと考えました。それで一度アクションゲームのような、間違った方向にいっちゃって(苦笑)。

寺地 QTE(クイックタイムイベント)を入れるかって案も出ましたね。

田谷 村には仲間たちがいますし、周辺にいる人の協力を得ながら戦うという発想は最初からありましたので、移動で有利なポジションをいかに取っていくかという部分を活かそうと考えていきました。そのランダム性もうまくプレイすることで制御できるというようにしたら面白いかなと。移動で翻弄される要素が入ったら、気分の切り替わりが発生するかなと思い、現在の形に落ち着きましたね。

—— 移動パートのマップにイベントを盛り込んでいったんですね。

寺地 そうですね。心地いい世界があって、その街並みの中にドーンとデカい敵がいて、少年が立っているという絵面が結構好きなんです。ふつうのRPGだと、広いバトルフィールドで戦うと思うのですが、村の住民から見たら安全そうに見えちゃうじゃないですか?(笑)

—— 確かに(笑)

寺地 このゲームでは、敵がちょっと動いたら建物にぶつかっちゃうような村の中で戦うので、そういう街の中を移動する雰囲気を活かしたいと思っていて、その雰囲気をバトルに取り入れようと考えて、ひねり出したのがボードゲームだったんです。

—— 栃木さんはバトルや移動について、何か意見を出したりしましたか?

栃木 グラフィック面で感慨深いことはありました。杉森に「(バトルで使う攻撃手段を)アイデアって呼んでるけど、これ何なの?」って言われたんですよ。

—— 武器じゃなく、アイデアですし。

田谷 「アイデアをぶつけて戦うって何だ?」と、増田(順一さん。ゲームフリーク創立メンバーの1人)にも言われて。

—— 増田さんからも意見が!

田谷 はい。何かしっくりこないよね…と。固有名詞を付けたらどうかとアドバイスを貰ったんですが、ピンとくる固有名詞が思い浮かばなくて…。しかも、アイデアは、ただ浮かんだ状態では使うことができず、使えないアイデアを使えるアイデアにする…って、説明するのもややこしい(苦笑)。栃木がそれぞれの状態に「ガチット」と「フワン」などの呼び方を付けたらどうだ、と提案してくれて、じゃあ、語感をそろえる意味でも「ガチット、フワット」にしようと。フワッとしたアイデア、なんて言いますし。

栃木 いい解決策はないかなと考えた時に、何か名称が付いていればいいんじゃないかと思ったんです。自分の中で最初は「ガチット」と「フワン」という言葉で呼んでいて、それを田谷に共有しました。その後にやった社内のプレゼンで「このゲームはフワットっていうフワフワしたアイデアをガチット固めてから使います!」と説明したら、社内の評価が良かったんです。これによって世界観が出来たいうのが思い出深いですね。

栃木 ここでやっとまとまった感じましたね。

寺地 最初のうちはカードゲームでいうところの「召喚」という概念が難しいので、いっそ無くしてしまってシンプルに出来ないか、と考えていたのですが、どうにも面白くならなくて(苦笑)。

—— 具体的にはどんな?

寺地 「召喚」のような概念を取り除いてしまうと、カードゲームで言う「場」という概念がうまく表現出来なくて。ただ手元にあるアイデアをぶつけるだけだと、単調になってしまうんです。プランナーとしては、何としてもアイデアの使える・使えないを分ける「場」が欲しいという話をしました。ちょうど、その時に、アイデアが使える状態と使えない状態に「フワット」「ガチット」という名称が付いたんです。さらに「フワット」から「ガチット」に変える演出も加わって、それが気持ち良い感じに仕上がってくれて、むしろ、「フワット」を「ガチット」にしたくなっちゃう感じになってきて、カードゲームでいう召喚という行為を気にせずに、バトルが展開できるようになったのかな、と思います。

物語を彩る個性的なキャラクターたち

—— 主人公は赤、ライバルは緑のような、キャラクターのカラーがはっきりと分かれているのが印象的でした。

栃木 今回のプロジェクトは人数も少ない中で周囲のタイトルと戦わないといけないというのがありました。最近のゲームだと、装飾がすごい多いキャラクターが多い印象を受けていたので、今作では色面を大きくして、シルエットが際立つようにしています。それと、簡単な言葉でそのキャラクターを表せるようにまとめています。例えば「メガネでヘソ出し」とかですね。第一印象で魅力を伝えるというよりは、一緒に冒険した後に「かわいいやつらだな」と感じるように全体的にはニュートラルな感じを目指しています。

—— アニメ調でかわいいですね。

栃木 実は僕、キャラクターデザイナーではないんです。今回初めてデザインをチャレンジしたので、デザインがすごいかどうかって言われると…すごくはないです(笑)。でも、丁寧にこういう風にしようと考えて作りました。だから、ピッケルの母ちゃんのユウは若すぎるんじゃないのとか、いろいろ思うところはあるかも。

—— 『ポケットモンスター』シリーズの開発会社だから、赤や緑にあやかったのかなと思いました(笑)。

栃木 そんなことはないです(笑)。実はマトックって最初の時点ではいなかったんですよ。

田谷 シナリオを作っていく際、ピッケルに食ってかかるようなライバル的なキャラクターがいないと、話がうまく転がらなさそうって思ったので、急きょ作ってもらったんですよ。それで、緑の男の子枠が空いていた感じです。

一同 (笑)

栃木 『ポケットモンスター 赤・緑』を意識したというよりは、プロトタイプ制作時に「時」のカードが緑、「勇」が赤、「閃」が黄だったんですね。色ごとに住民のカラーみたいなのもあって、そのパラメーターをうまく説明しやすいように、だいたい赤緑黄の3色にしておいたんです。だからお城の人たちはグレーで、何もないニュートラルな色になっています。

田谷 今作の物語はピッケルは不思議な赤い石を手に入れ、それをきっかけにすごい力を手に入れるというところから始まっていくんですけど、そのうち緑の石も出てきます。だから自分の野望としては、石を持って「赤と緑、どっちにしようかな」みたいなセリフを入れたい思いがあって。それをプロモーションムービーに入れようかなと思っていたんですけど…あざといのでやめました(笑)。

—— 続いてはマモノのデザインについて聞かせてください。けっこう獣っぽいですね?

栃木 まず方向性として、かわいいキャラクターたちに対して気持ち悪い敵と戦う風にしたい気持ちがありました。デザインは最初に外部のデザイナーさんに上げてもらったラフに対して、こちらで「手や足のどちらかをデカくしてほしい」とかキャラクターが際立つようなディレクションをかけていきました。

この3体以外の敵キャラは「こういうモチーフのモンスターを」という感じで、指定してデザインをお願いしました。でも実は、このプロジェクトでは仕様よりもデザインが先行していた時があって、オーガみたいにシンプルな敵キャラはいいんですけど、デザイナー側で考えていた設定が反映されてないやつもいたりします。この人形のような敵キャラはスカートのところが炉になっていて武器とかを造っていくという設定があります。実際戦うと何も起こらないんですけど…。

—— そんな深い設定まで考えられていたんですか!

栃木 デザインとギミックだけ先行して考えていっちゃったので、設定が生きているものもあれば、ないのもありますね。

寺地 プレイヤーが、敵としてコイツは倒さなきゃいけない! って思えるビジュアルってありますよね、という話をしました。

栃木 ポケモンは「仲間になりそう」っていうイメージを大事にしていると思うんですけど、『リトルタウンヒーロー』では絶対に仲間にならないので、倒していい風にしました。

Toby Foxさん&佐藤仁美さんが手掛けた素敵な楽曲たち

—— サウンド制作にToby Foxさんを起用した経緯を訊かせてください。

田谷 自分が『UNDERTALE』がすごく好きで、『ソリティ馬』の音楽を担当した一之瀬(剛さん。同社で数多くの音楽を手掛けている)に勧めたんです。その後、一之瀬とTobyさんがTwitterで交流を始めて。

—— おお。

田谷 その後、日本版『UNDERTALE』の発売記念パーティーに誘ってもらい、そこで初めてお会いしました。めちゃめちゃいい人で、機会があったらお仕事できるといいなぁと思って。それからしばらくして、「ゲームフリークの新作だったら、音楽作る気あるよ」って話を一之瀬経由で聞いて、ダメ元で頼んでみたところ…快諾いただきました!

栃木 『UNDERTALE』の曲を仮で当てて開発してました(笑)。

田谷 そうそう、この世界観に合う曲があるんですよって。バトル中も『UNDERTALE』の曲を勝手に流したりしてて。

一同 (笑)

田谷 最初にTobyさんが曲を提供してくれることになったんですが、お忙しい方なので、どれくらいの曲をいただけるかは決まっていない状態だったんです。曲のコンセプトというか「最も重要なキーとなるフレーズはたくさん作れるし、作りたい」とおっしゃってくださったんですが、それをある程度の長さにアレンジして、完成された1曲に仕上げるのは、そんなにたくさんできないかも…と。結果としてTobyさんにはほとんどの曲のコンセプトを作っていただきましたし、アレンジまでやっていただいた曲もいくつかあるのですが、やはり全ての曲を完成まで持っていくにはもう1人、アレンジを担当してくれる人が必要になりました。それで、Tobyさんの曲とも相性が良いんじゃないか、ということで佐藤さん(仁美さん。ゲームフリーク所属していた頃は『ポケットモンスター』シリーズのサウンドを多数手がける。現在はフリーで活躍中)にお願いしました。

↑こちらの動画でキャラクター紹介とあわせて本作の音楽も紹介されていますので、あわせてご覧ください!

読者へメッセージ

田谷 当初のコンセプトからしてやりごたえのあるゲームにしたい思いがあって、TCGのような戦略性のあるバトルシステムになりましたので、そういったゲームが好きな方はすぐにコツを飲み込んで、楽しんでいただけるものになっていると思うので、ぜひ、遊んでみてほしいです。そうでない方にはコツを体得するまでに少し時間がかかるかもしれないのですが、我々もできる限り情報を発信していきたいと思っています。少し先になりますが、動画投稿サイトで解説をご覧いただけるようにできたらなと思っているので、それ見て体得し、頑張ってプレイしていただければ嬉しいなと思います。

寺地 今作は章立てで物語が展開します。一気にプレイするのもいいのですが、海外ドラマを1話ずつ観るような感じで、ゆっくり楽しんでもらえたら嬉しいです。一般的なRPGに比べてお話は長くはないのですが、ゲーム体験としては密度が高いと感じていただけると思います。

栃木 ゲームクリアするまで遊ぶと、登場キャラクターが全員かわいく見えるようになると思っているので、諦めないで最後までクリアしてほしいですね。諦めないてプレイすれば、突破口は見えるようになっているので!


6月号の付録CD「Nintendo Switch ダウンロードソフト コンピレーションアルバム」には、『リトルタウンヒーロー』のコンセプト楽曲などが3曲収録されています。
こちらもあわせてチェックしてみてくださいね。


リトルタウンヒーロー 公式サイト

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Licensed and Published by Rainy Frog LLC.

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