期待の新作インディーゲームを体験! TGS2025での心躍る展示もお届け

TGS2025で見つけた気になる新作インディーゲームを中心に、その魅力をレポート!
room6ブースの看板となっていた『ドーナツの穴』と『イタチの家渡り』、「PARCO GAMES」の展示ブースと『The Berlin Apartment』試遊、そのほか気になったブースや、『D-topia』試遊体験についてお届けします!
(ライター・かよ)
目次
例年にも増して盛り上がりを見せる「インディーゲームコーナー」
2025年9月25日〜28日、幕張メッセで「東京ゲームショウ2025(TGS2025)」が開催されました。
「インディーゲームコーナー」は幕張メッセのホール9-11に展開されました。

さらに今年は、審査によって80タイトルが選出されるコンテスト「Selected Indie 80」の出展エリアをホール外のエスプラナードに移すなど、昨年から展示規模を大幅に拡大。

インディーゲームに対する注目度の高さを感じました!
また、TGSの醍醐味といえば、ゲームの試遊はもちろんのこと、個性豊かな展示ブースやノベルティ、そしてクリエイターとの交流も魅力のひとつ。とりわけインディーブースでは、そんな体験も大いに味わうことができました。
空間全体でゲームの世界観を味わう!「room6」
インディーゲームコーナーで真っ先に向かったのは、株式会社room6の展示ブースです! room6はイベントごとに多彩な魅力を発揮し、いつも来場者の心をときめかせてくれます。
TGS2025では、「錬金術師の工房」をテーマにブースを展開しました。
ブース内には、各ゲームタイトルの試遊台のほか、錬金術師の「研究机」や秘密の「調合室」、そして、TGS2025で初プレイアブルとなった『ドーナツの穴』と『イタチの家渡り』のフォトスポットが設置されるなど、フォトジェニックな空間が広がっていました。
今年の看板タイトルとして展示されていた『ドーナツの穴』と『イタチの家渡り』の2作品。対応プラットフォームは現状Steamなのですが、試遊と開発者の方にお話を聞くことができましたので、その内容をお届けします。
思考実験を深く楽しむ『ドーナツの穴』
『ドーナツの穴』は、夢のような空間で花冠をかぶった「わたし」から出される「正解のない問い」に答えていく思考実験アドベンチャーゲームです。
2024年12月に「Unity 1週間ゲームジャム」の参加作品として公開されたタイトルで、2026年には新要素と新シナリオを大幅に追加した完全版のリリースを予定しており、注目が集まっています。


「もし人生すべてがただのデータだったら あなたの人生の価値は?」「嫌な思い出も 犯した罪も 消せる魔法があったら?」など、はっとする問いを投げかけられ、体験版の数問ながら深く考えさせられました。
また、今回はTGS2025での出展にあわせて特別な体験版を制作されたのだそう。
「ここはどこだと思う?」との問いかけには、「実験室」「夢」「ゲーム」に加え、「幕張メッセ」という現地会場ならではの選択肢がありました。
『ドーナツの穴』作者のお話
試遊後、ディレクターを務める宮村あつきさんと、エンジニアのかこ の にこみさんにお話をうかがうことができました。
完全版についてお聞きすると、「グラフィック」「問いの内容」「ストーリー」の3つを軸に制作を進めているとお答えいただきました。
少ないオブジェクトで作業工数を低減しつつ、ライティングにこだわってプレイヤーの視線を誘導し、白昼夢のような空間を演出する。新たに数百問の問いを追加し、プレイヤーの答えによって次なる問いを変容させる。また、「わたし」の正体や真相に近づけるかもしれないストーリー展開など、完全版ならではの新要素が多数収録されるようです。
発売を待ちわびるプレイヤーに向け、宮村あつきさんからは「思考実験に興味がある方、ストーリーやキャラクターに興味がある方、どちらも楽しめるように頑張って作っています!」と力強いコメントをいただきました。
かこ の にこみさんも、「普段から気になっていること、みんなはどう思うのか聞いてみたいことを問いにしているので、自分なりの答えを探すだけでなく、ぜひほかの人たちの回答のパーセンテージも楽しんでください」と本作の魅力を語っていただきました。
ゼロ年代のサブカル要素が満載!『イタチの家渡り』
room6初の完全自社開発となる『イタチの家渡り』は、2000年代の東京カルチャーを冒険するオカルトサスペンス・アドベンチャーゲームです。プレイヤーは、「訳アリ物件」への住み込みバイトを始めた大学生のイタチと、そんなイタチを利用しようと目論む不動産屋の社員の田貫(タヌキ)を操作し、物語を進めていきます。
TGS2025で初プレイアブルとなった体験版では、とあるアパートで二人が出会い、故人となった前住人が遺した怪異「産土(うぶすな)」と相対する冒頭部分を試遊できました。
プレイヤーは、イタチと田貫の視点を切り替えながら情報やアイテムなどの手がかりを集め、怪異の正体を探ります。同じアパート内でも、怪異が「視えない」イタチと怪異が「視える」田貫では、その様子は大きく変わります。
対照的なキャラクターがお互いを補い合いながら真相を明らかにしていく過程が心地よく、特に「産土結び」と呼ばれる儀式を通じて怪異の正体を突き止める「除霊パート」では、パンクロックテイストなBGMと相まって手に汗を握りました!ちなみに、本作の音楽を担当するのは「墓場文庫」のあだPさんです。
『イタチの家渡り』作者のお話
試遊後、本作のディレクターを務めるAchamoth(アカモート)さんにお話をうかがいました。
ゼロ年代という時代設定については、「自分自身の青春時代がゼロ年代であり、当時大好きだった音楽やファッションの流行、いわゆる「バンギャ」の文化を作品として残したいと考え、本作の制作に至りました」とのこと。体験版から先の展開では、ライブハウスやメイド喫茶、原宿の神宮橋といった東京のサブカルスポットが多数登場し、まさにゼロ年代の空気感が満載です!
「当時を知っている同年代の人たちには懐かしさを、当時を知らない世代の人たちには新鮮な驚きと興味を感じてもらいながら、楽しく遊べる作品にしていきたいです!」と、本作にかける意気込みを語ってくださいました。
『イタチの家渡り』は、2027年発売予定です。
多彩なゲームの世界を旅する「PARCO GAMES」
続いて向かったのは、株式会社パルコより2025年8月に設立されたゲームレーベル「PARCO GAMES」の展示ブースです。
全国主要都市に商業施設を擁し、ファッションやアート、音楽、演劇など、さまざまなカルチャーを醸成してきた「パルコ」が、ついにゲーム業界に進出!インディーゲームに新風を巻き起こすに違いないと予感し、早速チェックしに行ってきました。

TGS2025では、ゲームレーベル「PARCO GAMES」として初出展し、「世界中を旅する感覚でゲームを楽しんでほしい」との思いを込め、「エアポート(空港)」をテーマにした展示ブースを展開。
搭乗口をイメージした出入り口や、空港の待合室のようなベンチ、旅行ガイドブック「地球の歩き方」とコラボレーションしたリーフレットなど、細部まで作り込まれた展示空間はインディーゲームコーナーでも異彩を放っていました。
ブース内には、パブリッシングタイトル第1弾のインディーゲーム『南極計画』『Constance』『The Berlin Apartment』の3作品が体験できる試遊コーナーを設置。ジャンルもテイストも異なる三者三様の世界観を楽しむことができました。
PARCO GAMESの勝又詩織さんにTGS2025での出展についてお話をうかがったところ、「『パルコって、あのパルコ?』と、興味を持って立ち寄ってくれる来場者が多くいました」とのこと。
こだわりの展示ブースも、「施設運営や多種多様な領域のイベントを手がけてきたからこそ培われたノウハウを活かし、パルコらしさが詰まった居心地のよい空間が作れたと思います」とお答えいただきました。
また、「PARCO GAMES」の今後については、「ゲームレーベルとしての実績はこれからですが、パルコならではの知見を活かし、クリエイターの熱意に伴走しながら、どんどんと新たな挑戦をしていきたいです!」とコメントいただきました。
一世紀にわたる歴史と物語を追体験!『The Berlin Apartment』
期待の試遊コーナーへ。3作品のなかから特に気になっていた『The Berlin Apartment』を旅先に選び、いざ出発します!
『The Berlin Apartment』は、ドイツのゲームスタジオ「Blue Backpack」が企画・製作するアドベンチャーゲームです。ドイツ・ベルリンのアパートを舞台に、120年の歴史を時代や住人ごとに追体験していきます。
同じアパートの一室を描いた本作ですが、それぞれの時代の住人によって全く異なる空間が広がります。窓から見える景色、リビングのデザイン、部屋のなかに置かれたオブジェクト。そのひとつひとつから時代背景や住人の個性、それぞれの物語を知ることができます。
また、観葉植物に水やりをしたり、隣人へ紙飛行機を飛ばしたり、スーツケースのパッキングをしたりと、ゲームプレイもさまざま。没入感たっぷりの一人称視点で探索を楽しめるので、ついアパート内を歩き回って隅々まで見たくなりました!
『The Berlin Apartment』は、2025年11月18日に発売予定です。
会場内で見つけた気になる展示ブース&タイトルをピックアップ
インディーゲームコーナーだけでなく、メイン会場となる幕張メッセのホール1-8で発表された展示ブースやインディーゲームも見逃せません!会場内を端から端まで歩き回って見つけた気になる作品をピックアップしてご紹介します。
「集英社ゲームズ」では、『OPUS: Prism Peak』と『unVEIL the world -アンベイル ザ ワールド-』をメインとした展示ブースを設置。室内であることを忘れるくらい清々しく広がる青く美しいビジュアルに、思わず目を奪われました。

「PLAYISM」では、『Dyping Escape』や『炎姫』、『Mind Diver / マインドダイバー』などの試遊コーナーに加え、映画が大ヒット中の『8番出口』のフォトスポットも用意されていました。
また、スペシャルステージではTVアニメ化で盛り上がる『グノーシア』のトークイベントを開催。4日間の会期を通し、さまざまなかたちで来場者を楽しませました。
TGS2025初出展となる「Annapurna Interactive(アンナブルナ・インタラクティブ)」は、世界中のゲーマーから人気を博す『Outer Wilds』や『Stray』などを代表作に持つアメリカのゲームパブリッシャーです。2026年発売予定の新作タイトル『D-topia』を中心に、全6作品の試遊を楽しめる展示ブースを披露しました。
大手ゲームタイトルがひしめくメインホールでもひときわ存在感を放っていた『D-topia』。可愛らしいキャラクターや美しいデザインに惹かれ、体験版を試遊プレイしました!

心地よいプレイ感覚!『D-topia』が描く幸福な理想郷
『D-topia』は、日本のゲーム開発スタジオ「マルミッツゲームス」が手がけるパズルアドベンチャーゲームです。
プレイヤーは、AIによって生活を管理される幸福な楽園「D-トピア」の住人となり、「施設整備士」として働きはじめます。

無駄のない綺麗な住居に栄養バランスのとれた食事、ファクトリーでの勤務時間は午前のみで午後は自由時間。開始早々、規則正しく穏やかな日常に癒され、「今すぐ『D-トピア』に住まわせてくれ!」と心のなかで叫んでしまいました。
ゲーム内では、施設整備士としての仕事内容がパズル要素となっており、プレイヤーは淡々と問題を解いていきます。序盤とあってか、簡単な算数のパズルがメインで謎解きの難易度はかなり易しめ。手順を誤ってもやり直しができるので、気持ちよくプレイを進められました。
「最大多数の最大幸福」をスローガンに掲げる理想郷で、このまま楽しい生活が続いていくのかと思いきや、勤務後の自由時間に起きた「とある出来事」をきっかけに、物語は少しずつ不穏な展開を迎えます。
「D-トピア」は本当に楽園なのか?そして、これからどんなキャラクターたちが登場するのか?期待が高まります!

新たなインディーゲームとの「出会い」を満喫
過去最多数の企業・団体が出展したTGS2025では、まさにテーマ通りの「遊びきれない、無限の遊び場」が広がり、インディーゲームも例年に増して大充実していました!
さまざまな展示ブースを見て回りながら、自分のお気に入りの作品を発掘するのは、まるで「宝探し」のようで心躍りました。TGS2025での新たな「出会い」をきっかけに、インディーゲームをもっと楽しみたいと思います!
なお来年の「東京ゲームショウ2026」は、9⽉17⽇(⽊)〜21⽇(⽉・祝)の5⽇間開催を予定。TGS史上初の試みに、今からワクワクが止まりません!
<関連リンク>
▶︎東京ゲームショウ2025 公式サイト
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