『WORTH LIFE(ワースライフ)』の魅力掘り下げインタビュー

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Nintendo Switchでリリースされた、はしもとよしふみさんの完全新作『ワースライフ』。絵本のようなかわいらしい見た目の世界で、さまざまなひらめきを使って進んでいく、横スクロールアクションRPGです。

その魅力を、インタビューであらためて掘り下げます!

ゲームへの情熱を感じる、開発秘話をお届け!

2018年に独立、HAKAMA株式会社を設立し、本作のプロデューサーを務めるはしもとよしふみさん。雑誌ニンテンドードリーム21年9月号では、可愛いビジュアルと新しい挑戦、遊んで感じた魅力をお伝えするインタビューを掲載しました。

今回は、さらに深まるさまざまなお話を、4ページにわたってお届けします。意外なトコロで、はしもとさんが作ってきたゲームや、お好きなゲームの話も飛び出しますよ!

はしもとよしふみ
ほのぼのとした温かみのある作品を中心に、数多くのタイトルの制作。
2018年に株式会社マーベラスを退職し、HAKAMA株式会社を設立した。
代表作:ルーンファクトリーシリーズ、牧場物語シリーズ、朧村正 など

「まずは改めて作りたいものを作ってみようと、アクションゲームの中で戦ったり、モノを作ったりするゲームを制作してみました。色んな登場人物と出会いながら、是非『ワースライフ』の世界を堪能してもらえればと思います。ひとクセもふたクセもある人たちも多いですが、是非この世界を楽しんでもらえればと思います。」

アツいスタッフと作り上げた完全新作

完全新作である本作。開発について、制作チームのことや、登場人物の描き方、キャラクターデザインについてなどをうかがいました。

いつか、が実現した開発チーム

─── HAKAMA公式Twitterでは、「はしもとさんがGBAの頃からいつか一緒にやろうといっていたスタッフさんたちが合流して作られたそうです」ということが書かれていました。これについて詳しく教えてください。

はしもと:
京都に、株式会社ジュピターさんという制作会社がありまして。

─── はい。ニンドリではとくに『ピクロス』関連でお世話になっています。

はしもと:
そちらがゲームボーイアドバンスでとある作品を手掛けていた頃に、社長の中山さんと「いつか一緒に何か作りたいよねー」って話をしていたんです。
それっきり、私は前の会社を辞めてしまったんですが、今回一緒に作ろうと考えたときに、それであれば、ジュピターさんとやろうとすぐに思い立ちました。

─── ゲームボーイアドバンスの頃には、お仕事でのご縁はなかったということですか?

はしもと:
そうですね。プライベートでお話ししていただけで。任天堂さんに用事があるときに、同じ京都であるジュピターさんにもずっと寄らせてもらっていたんですよ。そういうコースになっていました(笑)。

─── では、今作ではその頃に言っていたことがようやく叶ったと。

はしもと:
はい。私が会社を設立して、良いタイミングにも恵まれて。ずっと一緒にやろうって言っていた会社さんと一緒に作れたことは、本当に幸せだと思います。
ジュピターさんはもともとアクションゲームをたくさん作られているので、やっぱりアクション好きな方が内部に多いんです。その熱量にも押されましたね。

─── 今作のアクションの手ごたえの良さは、そのためだったんですね。

はしもと:
とにかく熱いスタッフとの熱い開発でしたね。

可愛らしい見た目と尖ったセリフ

─── 本作はファンタジーの世界、という点がウリですが、現実感あるセリフがポツポツ登場してそのギャップがまた面白いです。セリフまわりでの工夫やこだわりはありますか?

はしもと:
そうですね。これまでのゲーム制作ではあえてやってこなかったことというわけではないのですが、今作ではちょっと違ったこともしていこうと考えまして。
キャラクターなどの絵がまつやまいぐささん(※)から上がってくるなかでも、尖らせていきたいよねという思いがありました。可愛い絵柄のキャラクターが、「そんなことを!?」とか。絵本っぽいデザインでどうとも取れるからこそ、「実はよくないことしてるの?」とか「信じていいの?」とか、いろいろなふうに見えるであろうと思ったんです。

※まつやまいぐささん:イラストレーター、漫画家。本作のキャラクターデザインを務める。代表作は『牧場物語』シリーズなど

はしもと:
例えば、日本の能のお面は、角度や光の当たり方で、怒った顔にも見えて、笑った顔にも見えて…というように、いろいろな見え方があります。まつやまさんに描いていただいた絵が絵本調であるがゆえに、可愛らしくコーティングされてるんだけど、その内面でリアルなものが生きるのかなと思って、スタッフと尖らせていった形ですね。

─── 確かに、子供のようで大人びていたりとか、いろいろな内面のキャラが登場しますね。印象に残っているセリフは何かありますか?

はしもと:
ゲームの最初の、エライ=オーサマンとかヒーショウとかが出てくるところでしょうか。このシーンのテキストは、かためだったりやりすぎたりとか、いろいろあったんですけど、いずれもこの世界に入りにくくなってしまって。最後まで書き直していたんです。

─── 冒頭ですし、特に時間をかけて調整したと。

はしもと:
はい。一度この世界に入っていただいたあとであれば、セリフも入ってきやすいと思うんです。ただ、入る前に「ん、この名前はいったい?」みたいな疑問がわいたりとか、世界説明があまりふざけていると、入りにくくなってしまう。
なので、ちょっと尖った世界だけど入ろうかなって思わせるさじ加減を、ずっと調整していたなと思います。

─── それで、ちょっとダジャレを言うくらいで落ち着いたんですね(笑)。

はしもと:そうですね(笑)。

絵本っぽさに馴染むキャラクターデザイン

─── 主人公やメインキャラクターのデザインは、どのように決めていったのでしょうか。

はしもと:
今回のデザインでは、日本的だとか世界的だとか何も意識してないんですよね。背景もキャラクターもそうだと思うんですけど、どこかっていうものがはっきりしすぎると、非常に世界観へ入りにくいんだろうなということを考えていました。
色としてはビビットな方向に振ってるので、もしかしたら、服飾的にもデザイン的にも、ちょっとビックリされる可能性はあるんでしょうけど、そこはあえてこのカラフルな路線をやろうと決めて作っています。

─── 鮮やかな色合いを目指していたんですね。

はしもと:
そうですね。「絵本っぽい」というテーマにも合わせた形です。
こぼれ話ですが、絵本を読む赤ちゃんや幼児の子たちは、色を識別する量が少ないので(将来見える色とは同じように見えてないそうですが)、わかりやすい色彩をバン!っていう方が認識しやすいとされているんですよね。
絵本っぽいものというテーマを選んだ段階でそこと色合いが似てきて、はっきりした色が絵本に合うということで、ゲームの中にも入ってきたのかなとは思います。

─── キャラクターデザインの部分で、何かリクエストしたことはありますか?

はしもと:
最初は主人公の頭身も違ってて、カッコ良いタイプだったんですよ。「旅人風来坊」みたいな外見だったんです。

─── 風来坊!?

はしもと:
多分、私がアクションでRPGを作るって言ったから、かっこいい方面のデザインであげてくれたと思うんですけどね。「いやいや、今回は違うんですよ」ってことで、等身をギュイーンと縮めました(笑)。
「こんな世界でこうなんです」ってデザイン班と話し合いながら、デザインが少しずつ固まっていったという感じですね。 だから、絵柄は最初と今で全然違いますね。

─── そして、エルフやドワーフといったいろいろな種族も描いていただいたと。

はしもと:
そうですね。「どういう役割で、○○という場所にいる」などの設定面を相談しながら、種族のバランスを注視しつつ作っていました。
あとは、マップに置いてみてから、ちょっと変更してみようということもありました。最近作るものは3Dグラフィックのゲームが多かったんですけど、一度3D空間にキャラグラフィックを置いてみてから「やっぱり変えよう!」ってなっても、間に合わないんですよね。総とっかえではなく、なじむように調整をしていこうってなりがちなんです。でも、今回は2Dのゲームなので、マップに置いてみたけど合わないから変えよう! ってなっても、変えること自体は可能なんです。
スタッフも勘弁してというところもあったと思いますが、いいモノを作りたいとがんばってくれました。

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