バディミッション BOND 開発者インタビュー  #1 京と紅玉

魔性の詐欺師チェズレイの素顔と魅力

「毒と薬は表裏一体」だという魅力

杉原 チェズレイを設定するうえで、まず意識したのは、毒性とクセの強さです。登場した時に、お客様がぎょっとするような、ピーキーなインパクトを持たせたいと思いました。はじめは毒を盛られたような違和感や不快さを感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ストーリーが進行するにつれ、毒と薬が表裏一体であることを感じていただく、というのが目標でした。また、モクマとの対比も意識しています。モクマがちゃらんぽらんなのに対して、チェズレイは几帳面なこだわり派であるとか、モクマが逃避型なのに対して、チェズレイが執念深く情念を追求するタイプであるとかです。一見すると、モクマが「動」、チェズレイが「静」なのですが、プレイしていただくと、逆であることにすぐ気づいていただけると思います。チェズレイは、ある意味BONDいちアクティブなキャラクターになった気がしています。

公式Twitter(@BDMBOND_INFO)にて公開されたチェズレイの初期案

音楽的に敵を倒すチェズレイ独自のセンス

杉原 もとは特に音楽に強いキャラクターではなかったんですが、簡易プロットか何かで、「チェズレイが指を鳴らすと、悪人たちがドレミファソラシド的に倒れていく」という描写をしたところ、中山さんから「それってどういう意味?」と(笑)。

中山 「ドレミファソラシド的に倒れていく」とプロット説明資料に書かれていたんですよ(笑)。そのあと杉原さんから説明していただいても、ちょっとよくわからなかった…(笑)。

杉原 申し訳ないです(笑)。悪人たちが、順番に、かつ流れるように倒れていくってことを言いたかったんですが、今説明してみても、やっぱりわかりにくいですね(笑)。

中山 でも、杉原さんの独特の世界観が溢れたセンスある言葉の表現だと思いました。フレーズがすごくおもしろかったので、だったら逆に、音楽をチェズレイのキャラクター性の一つとするのもアリでは? と提案したと思います。これを個性に昇華して、むしろドレミファソラシドに乗せて催眠をかけたりするキャラクターにしたらどうですかね? というふうに話し合っていましたね。ひょんなことから着想を得たり、形になるとは思っていなかったネタの中に、実は筋の良いアイデアが混ざっていたりすることは度々あって、杉原さんとのバディ関係においては、何回も「それ、捨てないでイキにできるんじゃ?」とよくやりとりしたと思います。杉原さんの「バディ」として仕事できたかな(笑)。

仮面の下に潜むチェズレイのヒミツQ&A

Q.チェズレイの目の周りにある模様にまつわるヒミツを教えてください。

杉原 あれはアートメイクです。チェズレイは目の周りにあざがあるのですが、そのあざを個性として活かす形で、メイクをしているという設定です。その目のあざに関係した理由により、チェズレイの左右の視力には、大きな差があります。

Q.チェズレイの序盤の変装である牢獄のおじいさんや魅惑的なCAは、誰かをイメージしたものですか?

杉原 おじいさんについては、「マフィアのドンだったチェズレイの父親が取り立てていた音楽家」という裏設定があります。父親の不興を買って殺されてしまったのですが、チェズレイは彼のことがわりと好きだったのだと思います。魅惑的なCAについては…ミッション9や、チェズレイのバディエピソードなどを遊んで、想像していただけたら嬉しいです。

Q.チェズレイの蝶のようなモチーフには、どんなイメージが込められていますか?

杉原 あのモチーフは、毒を持った蛾です。実在する「ドクガ」は素朴な見た目なので、あでやかで毒々しい模様を持った、架空の蛾として設定されています。「美しいが近づくのがはばかられる」、「危険なのに惹きつけられる」というイメージですね。通常服の襟の模様も、毒蛾をイメージしてデザインされています。逆に「チェズレイ」という名前は、のどかな牧草地を思わせるものです。のびのび健やかに育ってほしいという親の願いがこめられています。

「ニンテンドードリーム」21年7月号掲載>

contents
#1 京と紅玉
#2 誌面上のランデブー
#3 熱狂は留まらない
#4 サイドエピソード
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バディミッション BOND
■任天堂
■2021年1月29日発売
■アドベンチャー
■7,128円(税込)
■CERO15歳以上
任天堂×コーエーテクモゲームスのタッグで制作された完全新作アドベンチャー。ヒーローを目指す警察官、世界的な大怪盗、元忍者のショーマン、魔性の詐欺師……訳ありの4人がチームを組み、暗躍する謎の組織を追っていく。
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