バディミッション BOND 開発者インタビュー #2 誌面上のランデブー

contents
#1 京と紅玉
#2 誌面上のランデブー
#3 熱狂は留まらない
#4 サイドエピソード
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人々も舞台も個性が光り輝くミカグラ島へようこそ!

ミカグラ島はさまざまなエンタメ文化が栄える観光地。ルークも口ずさみながら島の観光を楽しんでいる様子

キャラが濃すぎる!? 味わい深いサブキャラクターたち

—— 『BOND』のキャラクターは脇役まで全員好きになる、嫌いなキャラクターがいないという声が多く届きました。魅力的な脇役キャラクターたちは、どのような思いで生み出されたのでしょうか?

杉原 まず、そのようなお言葉をいただけて本当に光栄です。「絆の多様性」がテーマのストーリーなので、できるかぎりたくさんのキャラクターと関係性に愛着を持っていただくことが目標でした。キャラクター描写の際に意識したのは、出番が少ないぶん、強いインパクトを持たせることです。また、お客様に受け入れていただきやすいよう、多くのキャラクターについて、ユーモアを交えて描くことを心がけていました。BONDの4人の絆については「深く堀りさげる」ことが命題でしたが、周囲のキャラクターたちの絆は「世界に広がりを持たせる」イメージで作っています。

中山 脇役の個性づくりの話をしますと、『BOND』のゲーム性を考慮した時、「印象に残らないNPC」だとゲームが破綻することもあり、必然的に脇役たちの個性が立つ構造になったと思います。シナリオ中に登場した様々なキャラクターたちが、捜査パートで再登場し、時には三択クイズで問われることになるので、「この人誰だっけ…」となってしまうような薄い脇役が多くなると、捜査パートで思い出せずに理不尽な状況になってしまうのは、開発中にわかっていました。なのでシナリオの「多様な絆を描き切る」という目的と、ゲーム面での「印象に残りやすい脇役たちが必要」の両方を意識した結果、興味深いキャラクターたちが生まれざるを得なかった部分はありますね。杉原さんの独特なキャラクター名のネーミングセンスもあいまって(笑)、忘れられない脇役たちが数々生まれました。

——  BONDのメンバーだけではなく、脇役にもそれぞれの「絆」が描かれていて、どのキャラクターも印象に残りました。

襟川 まさにそう感じていただくことが目標でした。サイドエピソードで各キャラクターの人生や絆を描いていますので、ぜひ読んでみてください。『BOND』の世界に生きる、個性豊かな人々の思いに触れていただいて、最終的にルークの「この人たちを守りたい」という気持ちに共感していただけたら、とても嬉しいですね。

中山 また、バディをテーマにした商品のシナリオなら、BONDメンバー以外の人物にもバディの関係性を感じられると深みが増すと思う…というのは、杉原さんに初期の頃から相談させてもらっていたリクエストでした。だから、サイドエピソードに限らず色々なバディがシナリオ中にはちりばめられています。ネタバレになるから言えないですけど、物語の本当に最後の最後の瞬間まで、バディ要素はあります。バディ関係って、常にポジティブな火花を生む関係性だけではないと思ってます。組むバディによっては、人が持っているネガティブな側面が増強されることもあるんだ、という点も登場人物たちのドラマから感じ取っていただけたら狙いどおりですね。だから、誰を自分の相棒とするか。人生で相棒選びは大切です!!

BONDメンバーたちだけではなく、サイドエピソードでは脇役たちのさまざまな人間模様も描かれる。物語を彩る魅力的な女性陣たちの「絆」にも注目したい

ゲーム中の脇役だけじゃない ゲーム外での「バディ」関係

—— 皆さまの中でも、きっと素敵な相棒関係が生まれたのではないでしょうか。

宮内 そうですね。そこでいくと、私は相棒に恵まれました。ダブルディレクターとして中山さんとタッグを組む中で、自分にはない視点が補われ、タイトルがよりブラッシュアップされていく感覚がありましたね。私はアクションゲームを長く作ってきたからか、ゲームとしての手ざわりを重視する傾向があります。たとえ話ですが、剣を振るう時の操作に没入感があるか、ユーザーがやりたいことと乖離がないか、といったところですね。いっぽう、中山さんは設定面も非常に大事にされる方です。先ほどの話になぞらえると、剣がどんな形をしているか、素材は何か、それらが世界観やストーリーの状況にマッチしているか。そういった細かい点にも目を配っていらっしゃって、かなり刺激を受けましたね。

中山 そんな風に思われていたんですか(笑)。宮内さんとのバディ関係でいくと、どちらかというと私は開発においてやりたいと思いたったアイデアの風呂敷をどんどん広げていきがちなのに対し、宮内さんはそれを聞いたうえで適切な着地点をいつも探してくれて、堅実に完成に導いてくれる相棒でした。あ、杉原さんも広げる方のタイプだと思うので、杉原×中山のバディは宮内さんにとってご負担だったかも!? その節は大変お世話になりました(笑)。

杉原 中山さんや宮内のお話からもわかるように、ゲームの中だけでなく、制作チーム内にも幾多のバディが生まれていました。その眩しい化学反応を見るたび、最高のヒントをもらった気分になり、こっそりキャラクターやバディの個性づけの参考にしていました。

人気者投票でも大人気! あの脇役キャラたちのヒミツ

—— 本誌人気投票ではさまざまなキャラクターに票が届いていました。ぜひ動物キャラクターや、マスコットキャラクターたちにまつわるお話をお聞きしたいです。

杉原 シバコとサルコは、「犬猿」をルーク&アーロンのバディチョイスにできたら面白そうだよね、という案から生まれた2匹です。開発チーム内でも、シバコの人気は非常に高かったですね。実はけっこうフウガに懐いていて、フウガも情が湧いたのか、水色の手裏剣を贈っています。ACEくんとビースト人形は、それぞれ別のCGスタッフが「こんなのあったら可愛いよね」と、雑談の中で描いてくれたイラストがきっかけで生まれました。いまや、なくてはならないキャラクターたちです。

—— みなさんのお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?

宮内 飛行船の機長チャック・フジですね。前半のミッションで出番が終わりと思いきや、のちに日の目を見るんですよ。よくトラブルに巻き込まれる、数奇な人生。なんだか気になっちゃいましたね。ちなみに彼には娘がいるのですが、「えっ、きみが娘だったの?」とびっくりしたのを覚えています。

襟川 私はおリス、おツル、おタヌの巫女3人衆が好きなんです。ミーハーな会話で楽しそうに盛り上がっているのが、すごく可愛くて。あの3人がいると場が華やかになりますし、心もなごみます。あとは、ノボルさんもイチオシですね。島民の分断という問題を通して描かれる、ノボルさんの成長は必見です。

—— ノボルさんもとても愛されている印象でした。

杉原 すごく嬉しいですね。ノボルは「最初ちょっと鼻につくけど、素直で伸びしろがある子供」として描いたキャラクターです。ノボルの柔軟な視点を通して、かたくなだった大人の意識も変わっていきます。ノボルに限らず、ミカグラ島で出会う子供たちには、未来を象徴する光のような役割を持たせたかったんです。ノボルの裏話をお話ししても…?(笑)

—— はい、ぜひともお願いします!

杉原 ノボルは9歳で、自分のふっくらボディをすごく気に入っています。 ジュエルという飼い犬がいるのですが、ジュエルが大きくなるにつれて、ノボルは怖がってあまり近づけなくなっていたんです。でも最近、ジュエルがアーロンに対して怯えているのを見たことで、親近感が湧いて、また仲良くなったという…。聴いてくださってありがとうございました(笑)。

エンタメの楽園ミカグラ島 自慢の観光案内

—— あのオペラは、なぜおイモになったのでしょうか?

杉原 まず「マダム・ポテトフライ」という演目と、同名のプリマドンナを登場させようということになったんです。なら当然、歌にもイモが入っていなければということで。彼女の曲は、デモをもらった当時から、開発一同にとても愛されていました。サウンドトラックにも収録されていますので、ぜひフライドポテトでも召し上がりながら…(笑)。

—— 温泉へ行くバディエピソードも印象的でした。ミカグラ島は実は温泉も有名な観光資源だったりするのでしょうか?

杉原 はい、おっしゃるとおりです。マイカの里にも秘湯があったりします。そういえば、開発初期には、大型温泉施設での立てこもり事件をメインストーリーで描くという案もありました。そのかわりというわけではないですが、ドラマやアニメの閑話のようなイメージで、すべてのバディのバディエピソードに「温泉回」が入っています。スタッフが「4人でわいわい楽しむエピソードも作りたい」と提案してくれたのがきっかけですね。

ワクワクしちゃう物語の舞台! 『BOND』に出てくるステキな場所案内
冒頭の舞台である港町のエリントン、グローバル文化の入り混じったミカグラ島など、ロケーションもバラエティ豊かな本作。そんな物語の中でのお気に入りの場所を開発のみなさんに聞いてみました。

大衆バル:ワイルドのワイルドによるワイルドのための酒場という感じですね。ビーストクイズも受けてみたいです。(中山)

ブロッサム劇場街:色とりどりのエンタテインメントに、胸がときめきます。まずはオペラハウスで「マダム・ポテトフライ」を観劇したいですね。(襟川

ミカグラ空港:観光島の玄関口らしいワクワク感があり、ドラマやランデブーの始まりにふさわしい場所かと思います。(宮内

海中ミュージアム:遊び心と融和への願いを追求した、楽しいテーマパークです。遠くない日に再オープンするはず。(杉原

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