FE風花雪月インタビュー vol.3-2【本編一問一答&ユーザーの皆様へ 後編】〜歴代作とのつながりとファンへの感謝〜

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 3つの国や大修道院について、たくさんの猫たちや食堂のメニュー、そして歴代作品とのつながりや違いまで『ファイアーエムブレム 風花雪月』の気になる疑問についてお聞きしていきます。
※こちらはニンドリ2020年5月号に掲載されたインタビュー記事のアーカイブです

『ファイアーエムブレム 風花雪月』開発者インタビュー トップ

任天堂 
横田弦紀さん(よこたげんきさん)

インテリジェントシステムズ
草木原俊行さん(くさきはらとしゆきさん)

まだまだ訊きたい一問一答!
〜シリーズ作品とのつながり編〜

 本編についてもまだまだ訊きたいことがたくさん! 紋章についてやこれまでの『FE』シリーズとの関係性についてなど、素朴な疑問や気になることをいろいろと尋ねてみました。

◆これまでの「炎の紋章」は、盾やメダリオンなどのアイテムが多かった印象ですが、 今回はなぜ「血によって受け継がれる能力」になったのでしょうか。

草木原 「炎の紋章(ファイアーエムブレム)」って、おっしゃる通り作品間で形が定まっていないですよね。今は僕としては「炎の紋章」とは形あるものというよりは、みんなが力を合わせて集まるシンボルであると考えているんです。実は僕の中では、今作における「炎の紋章」は血に継がれている紋章そのものというよりは、その紋章を掲げている旗であると定義しています。

横田 「銀雪の章」などで見られる、主人公の旗ですね。


「銀雪の章」などで登場する、主人公が持つ炎の紋章を染め抜いた軍旗。主人公の元に集う仲間たちの、決意の象徴ともいえる

草木原 みんなが主人公を信じて集まってくれて、力を合わせて死闘に身を投じていくっていう。命をかけても戦えるような、集うための旗印が炎の紋章だと思っています。

ちなみに、貴族の持つ紋章と、主人公が炎の紋章を持っていて…という設定はワンセットで出てきたアイデアです。『聖戦の系譜』には選ばれた血統の人たちのみが継ぐ力があるんですが、それが世界的にも重用されていて、でも継いでない人もたくさんいる…という描写があり、今作でもそういうものを作ろうとして出来たのが今の紋章なんです。

そのあたりはうまく機能して、いろいろな人物のドラマを深く描くことができたように思っています。

◆これまでのシリーズでは大陸が舞台となる場合がほとんどでしたが、今作は大陸ではないのはなぜでしょうか。

草木原 「大陸」というのは、我々の世界での大航海時代以降に一般的になった考え方かな、と思ったからです。

たとえば日本という国を意識しようと思ったら、国の外から見るしかないんですね。戦国時代に生きた人たちの中には日本という国の認識はあまりなくて、紀州の国や越後国など、もっと小さい、現代でいう県規模のものが“国”に当たると思うんです。

フォドラは閉鎖的な社会であり、外からの視点のようなものをあまり持っていないので、あえて大陸とは言わないように徹底しています。

ペガサスみたいに、フォドラにも空を飛べる手段はありますので、地図は比較的作りやすかったのではないかな、と思っていて、「フォドラの牙」「フォドラの喉元」のような地名は、そうやって作られたフォドラの地図が竜の頭に見えたので、そう例えられた、というイメージです。

フォドラの地図。牙や角、喉元など、竜の横顔のようにも見える

◆これまでのシリーズタイトルとの 世界観的なつながりはあるのでしょうか?

草木原 私の調べた限りでは無いはずです。アカネイアにまだ知らない秘密があったら実は…というのはあるかもしれませんが…。散策クエスト内で過去作のタイトルを想起させるアイテムが登場したりもしましたが、あの辺はコーエーテクモの開発の方が入れてくださった、ちょっと気の利いたお遊びです。


赤狼の節に発生する散策クエスト。さまざまなアイテムを欲しがっている人を探し出して交換していく、「わらしべ長者」のような内容だ

草木原 「オグマ山脈」など地名として出てきているものもありますが、これは過去の『FE』からというよりは、その元となるケルト神話のほうをモチーフにしています。今回は神話モチーフの名前を、人名ではなくて地名や街につけていますが、ある種のリアリティを意識した結果そうなっています。

*   *   *

「愛してくれて、ありがとう。」
開発を終えての総括と、読者へのメッセージ

── ひとまず今回のインタビューの締めとして、横田さんには、ぜひ『FE』シリーズの中の1つとして『風花雪月』はどういう作品になったか…という所感をお聞きしたいです。

横田 シミュレーションRPGはどうしても難しいというイメージが常につきまとうので、育成部分をよりロールプレイング的な遊びにして、間口を広げたいなというのがコンセプトとしてありました。そうやって間口は広げつつ、でもシミュレーションRPGの難しさという醍醐味もどこかに残したい。そういう、企画当初からやってみたかったことにはチャレンジできましたし、一定の手応えも感じられました。

従来までとユニットの育成システムがだいぶ変わったので、「難しくてよくわからない」と思われたりしないかな、と結構悩んだのですが、多くの方に楽しんでいただけているようなので良かったなと思います。

草木原 イズとしても、今作はチャレンジが多かったですね。開発体制もそうですし、ガラリと変わってもちゃんと『ファイアーエムブレム』に見えるものを作ってやろう、という挑戦でもありました。『ファイアーエムブレム』ってこういうもんだよね、という概念が狭い範囲で固まってしまうのは良くないと常日頃から考えていますし、イズの若い世代に対しても「ここまでやってもちゃんと『ファイアーエムブレム』になるんだ」というのを示したかったんです。

── これからの展望もどんどん膨らんでいっているのでしょうか?

横田 膨らませていきたいな、とは思いますが…(苦笑)。追加コンテンツも配信されて本当に全部終わったので、今は「やり切った」という感じです。

── ヒルダのお兄さんは仲間にならないぞ、と。

横田 そうですね(笑)。どんな人なのかは草木原さんの中にだけ存在しています。

草木原 ホルストやグレンは、「刑事コロンボ」の奥さんと同じで、いるのかいないのかわからないけど、ただ話題にはちょくちょくのぼってくるという…紋章と同じように、ゲーム中で描かれた部分以外にも世界は広がっていることを表現したかったんです。結果として、フォドラの世界の存在感のようなものを感じていただけたんじゃないかなと思います。

同盟随一の勇将と称されるヒルダの兄、ホルスト。武勇伝や妹想いな面、抜けている部分などいろいろな場面でさまざまな噂話が聞けるが、その姿は作中に登場しない

横田 振り返ると、あのボリュームのゲームをよくあの期間で作れたな、と思います。本当に、イズさんとコーエーテクモさんには大感謝です。

── ニンドリでも『風花雪月』は発売当初から取り上げさせていただいて、本当に長く楽しめるゲームだなと感じました。まだまだ楽しんでいるファンも多いとは思いますが、お二人が今作を作って実感したことや、実際に遊んでいるファンの方の姿をご覧になって感じたことなどを、メッセージとしてお伝えいただければと思います。

草木原 今はSNSで簡単に反響を見ることができますので、こちらの想像をはるかに超える形でみなさんに楽しんでいただいていることを実感しています。このソフトをこんなに愛していただいてありがとうございます、とまずはお伝えしたいです。本当に、いろいろな楽しみ方をしていただいているみたいで…ネット上にアップされているスクリーンショットなどを見て、こんな楽しみ方もあるのかと日々驚いたりしています(笑)。

先ほど「生き物みたいなゲームになった」と表現しましたが、『風花雪月』の世界の広がりはすでに我々の想定の範疇を超えて、こちらの手からも離れかけているような感覚があって、若干のさみしさもあったり…。でも本当に良いものが出来たなと心から思っているので、願わくばこれからも長きにわたって愛していただけると嬉しいです。

横田 突出して人気のあるキャラクターももちろん存在しますが、どのキャラクターも広く愛してもらえているなと感じています。チャレンジしたキャラもいっぱいいますので、ありがたいと思いつつ…やっぱディミトリ人気はすごいな、とも思いますね(笑)。

草木原 ニンドリ誌上でもディミトリ人気はすごいですよね(笑)。

横田 級長が三者三様に気に入ってもらえたのは、僕としてはすごく安心したんです。「なんかこの級長イヤだな」って言われたらさみしいですし。

ディミトリもそうですが、クロードもエーデルガルトもそれぞれに魅力があります。ボリュームが大きすぎそう、とプレイを躊躇っている方も、1ルートだけでも完結できるのでまずは一度遊んでみていただけたら嬉しいです。本編は遊んだけど追加コンテンツはまだ…という方も、キャラクターが増えたことで新たに描かれるやり取りなども面白くなっているので、ぜひこのタイミングで遊んでもらえれば幸いです。

すでに4周5周、あるいはそれ以上といっぱい遊んでくださった方は、本当にありがとうございました!とお伝えしたいです(笑)。今後も『風花雪月』を楽しんでいただけたらと思います。

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