• HOME
  • インタビュー
  • 『NieR:Automata The End of YoRHa Edition』今だから話せる!?開発者インタビュー

『NieR:Automata The End of YoRHa Edition』今だから話せる!?開発者インタビュー

齊藤陽介さん、ヨコオタロウさん、田浦貴久さんに、Nintendo Switchへ移植された『NieR:Automata The End of YoRHa Edition』についてうかがいました!

ぜひニンテンドードリーム2022年11月号で掲載している同インタビューとあわせてお楽しみください(それぞれ掲載内容が異なります)。

※22年11月26日「NieR:Automata FAN FESTIVAL 12022 壊レタ五年間ノ声」レポートを追記しました
※22年10月22日更新

よりマニアックな裏話をキーマン3名に訊く!

齊藤 陽介さん
スクウェア・エニックスの取締役兼執行役員。『ニーア』シリーズではプロデューサーを担当。
Voice of Cards』シリーズやアイドルグループ「GEMS COMPANY」のプロデューサーも務めている。
Twitter:@SaitoYosuke_Z

 

ヨコオ タロウさん
株式会社ブッコロ代表取締役。『ニーア オートマタ』ではディレクターを担当。
『ドラッグ
オン ドラグーン』シリーズや『ニーア』シリーズでは、ディレクションのみならず、漫画、小説、舞台の監修など、幅広く活躍。
Twitter:@yokotaro

 

田浦 貴久さん
プラチナゲームズ所属。原作『ニーア オートマタ』ではシニア・ゲームデザイナーとして開発に携わり、バトルアクションやキャラクターモーションの製作、監修を務めた。
『アストラルチェイン』(任天堂)ではディレクターを担当。
Twitter:@PG_taura

※ニンドリ21年11月号P34とP35に記載されている齊藤陽介さんのお名前に誤りがありました。訂正しお詫び申し上げます。電子版は修正済みです

https://www.ndw.jp/ndw/wordpress/wp-content/uploads/2022/10/i-sai_80x80.jpg
サイ

読者のみなさ〜ん!大変お待たせしました!
そこで特別に、今だから話せるヒミツの回答を追加でいただきましたので、ぜひ最後までお楽しみください!

『ニーア オートマタ』の移植と『アストラルチェイン』の関係

※この項目は、ニンドリ本誌に掲載の同内容をフルバージョンで公開します

—— 移植では主に監修を担当されたそうですが、力を入れたポイントはありますか?

齊藤 移植担当の開発会社Virtuos(バーチャス)さんが素晴らしくて。ヨコオさんと田浦くんが納得できる部分を、操作感含めてきっちり移植してくれました。

—— それは素晴らしいですね。具体的にはどのような点でしょうか。

齊藤 『ニーア オートマタ』は元のフレームレートが60fpsなんですが、田浦くんがディレクターとして手がけた『アストラルチェイン』は30fpsで、かつ素晴らしいアクションを持続したままゲームを進められるわけです。
その点を参考にしつつ、フレームレートを60fpsから30fpsに変えても十分に『ニーア オートマタ』の良さが出るように進めてもらいました。
当初は60fpsで作っていたんですが、犠牲にしなければいけない部分が出てきてしまったので、そこは潔く諦めて…。

—— 私たちも、移植にあたって動き方や触り心地がどうなるかは、気になっていたところです。

齊藤 そうですよね。触り心地に全然遜色がない仕上がりで、任天堂の担当者さんも絶賛していました。

ヨコオ 「任天堂さんに絶賛された」と、ちゃんと書いておいてください。

一同 (笑)

—— 『アストラルチェイン』といえば、こちらも3周年を迎えましたね。おめでとうございます。

田浦 ありがとうございます。今回嬉しい出来事のひとつは、『アストラルチェイン』と『ニーア オートマタ』のパッケージを家に並べて飾れることですね。

齊藤 田浦くんのことを『アストラルチェイン』で知った人が、もしかしたら『オートマタ』も遊んでくれるかもね。

田浦 そうですね。どちらもプレイしてくれたら嬉しいです。

発売当時をふりかえって

—— 『ニーア オートマタ』が発売された、当時の印象をお聞かせください。

齊藤 そういえば5年前、『オートマタ』の発売日の翌週に『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(※1)が出たんです。もし当時Nintendo Switchで発売していたら、『ブレワイ』に飲み込まれて注目されなかったかもしれません。

※1:任天堂から2017年3月3日に発売された『ゼルダの伝説』シリーズの最新作。広大なフィールドを思いのままに冒険できる点が注目を浴びた

ヨコオ その年は『GRAVITY DAZE 2』(※2)が前の月に出て、『オートマタ』が出て、その次に『ブレス オブ ザ ワイルド』と『Horizon Zero Dawn』(※3)が出るっていう、地獄のような年でしたね。

※2:ソニー・インタラクティブエンタテインメントから、2017年1月19日に発売された重力アクションアドベンチャー。重力を操る少女キトゥンの力により、マップを上下左右に移動することが可能
※3:ゲリラゲームズから2017年3月2日に(日本)発売されたアクションRPG。文明が崩壊した未来に、動物の姿をした機械「機械獣」を通して主人公アーロイの物語が展開していく

齊藤 でも、やっぱり今回Nintendo Switchに移植してよかったなって。『オートマタ』を知ってはいたけれど、今まで遊ぶ方法がなかったっていう方たちに、これでようやくお届けできます。

田浦 発売から5年後、というタイミングもいいですよね。発売当時はまだ10代前半の、こういうゲームに興味がなかった子がちょうど高校生・大学生になる頃で。同じジャンルが好きな人同士で盛り上がれるんじゃないかな。

ヨコオ 田浦さん、そんなビジネスっぽいことしゃべる人だったっけ?

田浦 何かいいこと言わないとって思って(笑)。

Nintendo Switch版タイトルの意味

—— 今回のタイトル『The End of YoRHa Edition』に込めた思いはありますか?

ヨコオ 作中のエンディングタイトルから引用しています。
でももともとは『Game of the YoRHa Edition(※4)』という廉価版の文字列から発想を得ていて。

—— なるほど?

※4:PlayStation4、Steamで発売された特別版。ゲーム本編に加え、DLC「3C3C1D119440927」をはじめとした各種特典が付属している

ヨコオ この頭文字を並べると「GOTY」になりますよね。なので廉価版は、ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)を受賞していなくても、GOTY版と略称で呼べるんです。

一同 (笑)

ヨコオ でも今回のNintendo Switch版では「GOTY」を使用できなかったので、似た音感の言葉を選んだという流れです。

齊藤 大した意味はないってことね。

ヨコオ そうですね。意味は特に込めてないです。

—— では、このタイトルが『ニーア オートマタ』の完結、終わりを表しているわけではないと。

ヨコオ 終わりという意味では、最初に出したゲームでもう終わりです。

一同 (笑)

熱意のぶつかり合いがケンカに発展!?

—— アクションやバトルについて、開発当初の話を聞かせてください。

田浦 「踊るように戦う」というコンセプトが自分の中であったので、なるべく静止しない動きを心がけました。
それで「武器を投げる」というのを思いついて。投げた武器がくるくる回っている間に次の行動に移れたり、武器を2本持たせてみたり、自分が動いている間にスキルのポッド・プログラム(※5)も使えるようにしたりと、次々と攻撃を重ねられるような感覚にこだわって作っています。

※5:ヨルハ部隊に同行し、支援するロボット。遠距離攻撃用の武器が搭載されており、プログラムをカスタマイズすることで、さまざまな援護射撃が可能

—— カメラワークも含め、苦労されたとも聞いていますが…。

田浦 開発当初から「アクションが苦手な人も気持ちよくプレイできるように」と言われていたので、カメラのアングルも少し引き気味にして、できるだけ自動でいい角度になるように工夫しています。

—— 操作している最中の手の忙しさが心地よく、そこにカメラが追従するのが素晴らしいです。

田浦 あまり褒められるのは慣れていないので…。

ヨコオ あ、じゃあ田浦さんの良くないところを言いますね。

田浦 なんでですか!?

ヨコオ ゲーム開発の最初に、準備期間が5〜6か月ほどあったんです。その時はボスと戦うシーンを進めていて、制作スタートから2か月目という早い段階でアクションが出来上がってきたんです。それが、すごく良くできてて。

齊藤 いい話じゃん。

ヨコオ ここからが長いんですよ。僕はその時に「アクションこれでいいじゃん」って言ったのに、そこからず〜っと2年近くいじり続けてて

—— (笑)

ヨコオ あと、ポッドを使って弾を撃つ攻撃ができるんですけど。その弾が敵にズレて当たっていたのを前から指摘していたのに、そこはタイムリミットの2年ギリギリまで放置してたし。

田浦 もうちょっと早い段階で直しましたよ!(笑)

ヨコオ 自分が好きな部分は真っ先に完成させたうえ、ずっと磨き続けているのに、直してほしい部分はずっと放置なんです。まぁ、人間ってそういうところありますよね。

田浦 それは、物事の優先順位というものがありますから。ただ、この弾の話でヨコオさんと一度ケンカしているんです。

ヨコオ そうだった。どの部分でケンカになったか、みんなに話してよ。

田浦 ポッドの援護射撃って、特に制限がないんです。ボタンを押している間はずっと弾が出続けるので。
でも、開発当時はそれが嫌だったんですよ。

ヨコオ クールタイムがほしいって言ってたね。

田浦 なので、試しに実装して見せたらNGが出て。
いろいろと粘って試行錯誤しましたけど、やっぱりダメって言われたので、結局クールタイムは実装されなかったんです。
その時は「押しっぱなしならセロハンテープ貼ってるだけでいいじゃん」って思って。

ヨコオ で、やる気がなくなって、弾もちゃんと当たらない。

一同 (笑)

ヨコオ そんな不協和音もお楽しみいただけるのが『ニーア オートマタ』です。

さらに盛り込まれたコンテンツの決め手は「コスプレ」

—— Nintendo Switch版は追加コンテンツと無料DLCが盛りだくさんですよね。どういった経緯で実装されましたか?

齊藤 そうですね。それまでの追加コンテンツを全部入れつつ、さらに追加で盛り込もう、という話になりました。
発売から5年も経っていますし、リメイクなので“手に取りやすい値段にしつつ、全部入りプラスアルファでやる”というのをはじめから決めていて。

—— 今回の無料DLCは、Nintendo Switch版のみのコンテンツなんですね。内容について、どのように決めていったのでしょうか。

ヨコオ 『ニーア リィンカーネーション』のママのスキンや、2P(※6)は、もともと用意しようと。「さらに新作のスキンがほしい」というなかで、何がいいか話し合って“和装”に行き着いたんです。

※6:ヨルハ二号P型。通称2P。2Bと同じ姿をしているが、黒ではなく白のコスチュームに身を包んでいる。同様に、白いコスチュームの9Sは9P、A2はP2と呼称される

ヨコオ コスプレで2Bを和装にアレンジする人が多いので、それをきっかけに「和装のスキンがあってもいいよね」っていう話になりました。
今回の開発会社は国外の会社なので、和装をお願いするときにちゃんと和の雰囲気が出るかな? って心配もあったんです。でも、試作していただいたものがイメージに合っていて安心しました。

—— 2Bは刀を持っている印象が強いので、和装とも相性がよさそうですね。

ヨコオ そうなんです。9Sも女性に人気があるキャラクターですが、「コスプレを想定したときにどんな和装がいいのか」という流れのなかで“昔の文学少年風”がいいんじゃないか、という話になりました。

田浦 僕個人としては、2Pの衣装が本編に入ってきたのがとても感慨深いです。
もともと2Pが誕生したのが『ソウルキャリバーⅥ』(※7)とのコラボレーションで。ただの2プレイヤーカラーだったのが、『ファイナルファンタジーXIV』で花開いて。それが逆に本編に戻ってくるという。

※7:バンダイナムコエンターテインメントによる武器格闘アクションゲーム。追加コンテンツのキャラクターとして、2Bと2Pが参加している

ヨコオ 2Pだけでなく、9PもP2も登場しますし。本当に良い機会でした。
ゲームって、リリースして終わりじゃなくて。遊んでもらって、さらにファンの方が広げてくれるから、やっぱり特別なメディアだなって感じます。
ニンテンドーユーザーさんが新鮮な気持ちでいろいろ感じたり、想像してくださることが僕らは嬉しいので、Nintendo Switch版『オートマタ』を通して、また表現が増えてくるといいなと思います。

一問一答!キーマン3名にさらに訊いてみました

お1人ずつ、ちょっとした質問に回答していただきました!さらに深い部分からパーソナルな部分まで、お楽しみください!

田浦さんに質問

—— 『ニーア オートマタ』 では、キャラクターのホログラムを映すプログラム「デコイ」に期待を込めていたそうですが、どんな風にユーザーに遊ばれることを想定していましたか?

田浦 「デコイ」に限らず、ポッド・プログラムには前作『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』のオマージュからオリジナルのものまで、機能の異なるさまざまなものを考えて実装しています。プレイヤーがどれか一つでも自分の好みのものを見つけて使ってくれたらいいな、という思いで実装したものです。たとえ世界にたった一人だけだったとしても「デコイ」を愛してくれた人がどこかにいたのなら、本望です。

—— 今だから言える「この部分をもっと遊んでほしい!こういう遊び方を試してみてほしい!」というポイントはありますか?

田浦 ネタバレになるかもしれませんが、9S操作時に使えるハッキングは、普段の操作と同様にロックオンや右スティックでの射撃方向指定ができます。それだけ覚えていれば、あとは被弾しなければいいだけなので、とても快適に遊べるんですよ。

田浦 敵に気づかれていない状態でハッキングに成功したあかつきには、敵を従属化したりリモート操作したりと変なプレイが楽しめます。担当者がこだわって作ってくれていたので、ぜひ試してみてほしいです。

—— 卵焼き器でステーキを焼く田浦さんに質問です。好きな食べ物はなんですか?

田浦 ラーメン。カレー。ハンバーグ。お肉。お米!

ヨコオさんに質問

—— ヨコオさんも監修されている『ニーア オートマタ』のアニメが2023年1月に放送されるそうですね。アニメ化が決定した率直な感想を教えてください。

ヨコオ アニメ化については、「需要あるの?大丈夫?赤字にならないんですか?」というのが率直な感想でした。しかしまあ、赤字になるのは自分でないので、「アニメ化うれしいです!」というのを、各種インタビューでは回答にさせていただいております。
アニメはゲームと内容が異なるんですが、食べ物で言うなら、ピザとラーメンほどの距離はない感じです。

—— 「ニーア ゲシュタルト/レプリカント」に好きなキャラクターがいるとのことでしたが、それはズバリ誰ですか?

ヨコオ 仮面の国にいる、王子とフィーアです。好き、というより、「主役として作っていたのに、ベストなシナリオを考えたら、主役として配役できなくなってしまった」というところが印象に残っています。

—— ヨコオさんが知っている、田浦さんの秘密をこっそり教えてください。

ヨコオ 田浦さんについての秘密は108個ほど知っていますが、全部18禁ネタでして。ニンドリさんに掲載できるようなものは1つもないですね…。

齊藤さんに質問

—— 齊藤さん!ニンドリ誌面でお名前の表記間違いをしてすみませんでした!

齊藤 3人の中で、どう考えたって一番長いお付き合いなのにどうして…(泣)。まぁ、よくある間違いなんで、気にしてないです(笑)。

—— アジのなめろうを作るのが得意な齊藤さんに質問です。もしかして、『オートマタ』にアジのエンディング「aji wo [K]utta」を入れたのは、齊藤さん…?

齊藤 まさか!自分が考えた「アジエンド」なら、ハッピーな終わり方になっているはずですよ!

—— 「イクラ弾幕」を求めて北海道へ向かわれたそうですが、旅の感想を教えてください。

齊藤 お蔵入りになるかもしれませんが、ヨコオさんが動画を編集しているみたいです。ダイジェストは「ゲーム酒場」で検索すれば、私が撮影した映像が見られます(笑)。もしかしたら11月のファンイベントで、またその話をするかもしれません!

それぞれのキーマンからお互いへあてたメッセージ

御三方それぞれに、お互いへのメッセージをいただいてみました。

齊藤さんから、ヨコオさんと田浦さんへひとこと

齊藤 きっと田浦くんが一番最後まで生き残るので、ヨコオさんと私の死にざまを、ぜひ目に焼きつけて残りの人生を生きてもらいたいです。

田浦さんから、齊藤さんとヨコオさんへひとこと

田浦 末永く元気でいてください(健康面が心配)。

ヨコオさんから、齊藤さんと田浦さんへひとこと

ヨコオ 長年の調査の結果、齊藤さん・田浦さん両名の秘密を握ることに成功しました。世間に知られたら、社会的地位を失うレベルの危険な内容です。この情報をニンドリさんにバラされたくなければ、今月末までにヨコオの口座にそれぞれ1,000万円を振り込んでください。よろしくお願いいたします。

Switch版タイトル情報

普段のニンドリとは違ったテイストのぶっちゃけインタビュー、いかがでしたか?

ニンドリ11月号(9月21日発売号)では『ニーア オートマタ』の移植に関するエピソードを掲載したインタビューのほかに、本作の魅力を用語集つきで紐解く特集ページもありますよ!電子版でも読めますので、どうぞご覧ください。

『NieR:Automata The End of YoRHa Edition』
ジャンル:アクションRPG
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:2022年10月6日
価格:5,280円(税込)
[公式サイト]

関連記事