『ファイアーエムブレム無双』 DLC第1弾「if」追加パック インタビュー(2018年2月号より)

本作のダウンロードコンテンツ(以下DLC)として、『ファイアーエムブレムif』に登場した新規キャラクター等を収録した「if」追加パック(詳しくはファイアーエムブレム無双 公式サイトへ)。ユーザーの声に応え、多数の要素を収録したという第1弾DLCの魅力を開発陣に訊く。

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
・ネタバレを含んでいる場合があります。
発表時の『ファイアーエムブレム無双』連続インタビュー特集ページはこちら
DLC第2弾のインタビューはこちら
DLC第3弾のインタビューはこちら
開発を終えてのファイナルインタビューはこちら


<プロフィール>

コーエーテクモゲームス プロデューサー
早矢仕 洋介さん

3DS『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』から引き続きプロデューサーを務める。

コーエーテクモゲームス ディレクター
臼田 浩也さん

3DS『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』から引き続きディレクターを務める。

DLC参戦キャラクター1
アクア CV:Lynn/蓮花(歌唱パート)

暗夜王国で生まれ、白夜王国で育つという、カムイとは真逆の境遇にある王女。自らがカムイの居場所を奪ってしまったのではないかと考えており、それゆえかカムイのことは常に気にかけている。性格は冷静沈着、かつ聡明な人物だが、言動にはたくましさを感じられる一面も見られた。今回のDLCでは「黒き歌姫」衣装も収録されており、最初から選択することができる。

アクアのクラスは「歌姫」。武器として槍を装備するほか、水を呼び出して広範囲の敵を攻撃することができる

歌を歌うことで周囲の味方の無双ゲージと覚醒ゲージを回復できるという、唯一無二の技を持つ

ユーザーの意見を反映させたアップデートの数々

―― お2人には何度も本誌にご登場いただきましたが、発売後としては初めてのインタビューになります。『FE無双』、発売後のご感想はいかがですか?

早矢仕 ご好評いただいて、本当によかったです。ほっとしました (笑)。

臼田 「面白い」と言ってもらえたのがやはり嬉しいですね。

早矢仕 実際に遊んでいただいた皆様から、『ファイアーエムブレム』(以下『FE』)ならではの要素を喜んでいただけたのはよかったですね。『FE』の戦略性を『無双』に入れる、ということはずっとアピールしてきたのですが、事前の情報だけでは伝わり切らなかった点もあったのでは……という反省はあります。

臼田 『FE』のシミュレーション性と『無双』のタクティカルアクションは絶対に合う! という自信はあったんですが、それをどう伝えていくかはずっと悩んでいましたね。東京ゲームショウで試遊台を出した時も、15分の試遊じゃ足りないんじゃないかと思っていました。

早矢仕 三すくみなどのシステムを試遊ですべて理解してもらうのは、難しい部分もあったかとは思います。

―― 今回はDLC第1弾の「ifパック」について中心にお伺いしますが、無料のアップデートも発売後に何度か行われていますよね。

臼田 Ver.1.2.0のアップデートで追加したヒストリーモード「英雄闘技」は、マムクートばかり出てくるマップがあったりと、素材が稼ぎやすくなっています。DLCパックに合わせたアップデートでも、作戦画面から砦長を回復することができるようになったり、New3DS版ではヒストリーモードのSランク評価基準の見直しを行ったりしています。

―― 無料DLCとして英語ボイスパックが配信されていますが、こちらも要望があったのでしょうか?

臼田 元は海外から「日本語のボイスも聞きたい」という要望があったのがきっかけですね。

早矢仕 日本版のほうが早めに発売されたので、海外での発売にあわせて、それぞれお互いのボイスパックを配信したという形ですね。SwitchやNew3DSの容量の問題もありますので、アップデートではなくDLCで配信しました。

―― なるほど。機能もいろいろと追加されているんですね。

臼田 ユーザーの皆さんから寄せられた声にアップデートで対応していく、というのはぜひやりたかったことですし。私の中では半分くらい、そのためにDLCを作っているようなところもあります。

―― 以前伺ったインタビューでも、開発側に届いた要望にできるだけ対応していく、とおっしゃられていました。今ではツイッター等でダイレクトに意見が届けられると思いますが、その取捨選択の基準はありますか?

早矢仕 入れる、入れないで意見が割れて揉めるということはあまりないですね。これは入れるべきだろう! と。

臼田 その中から技術的や、期間的に厳しいものを省くかどうかというのが判断基準ですね。

―― 参戦キャラクターや作品についての意見は多かったと思われますが、そのほかに多かった要望にはどのようなものが?

早矢仕 『FE無双』のシステムで本編を作ってほしい、というのがありましたね。例えば『聖戦の系譜』のストーリーを最初から最後まで『無双』で遊びたい! という。

臼田 さすがにそれを作り始めると『FE無双2』どころではなくなってしまいそうですが(笑)。

早矢仕 ただ、そうまで言っていただけたのは想定外でして、本当に『FE無双』を気に入っていただけたのだなと。

臼田 私はディレクターとして務めるようになったWii U版の『ゼルダ無双』DLCの時から感じているんですが、こうやってコンシューマーゲームで発売後にユーザーの意見を反映できるというのは、幸せなことだと思っています。現在でも、ご要望があれば公式Twitterのほうにぜひお寄せください!

踊り子・アクアを『無双』でどう再現?

―― では、「ifパック」の内容についてお聞きします。完全新規キャラのアクアは目玉の1つだと思われますが、本来であれば本編に登場していてもおかしくないキャラクターですよね。

早矢仕 『if』の中心キャラですし、見た目も映えますし、兵種も特殊ですし、入れたいキャラクターではあったんですが、どうしても当初のラインナップから漏れてしまいまして……。「アクアはDLCでやらせてください」と、開発初期の段階で任天堂さんにはお願いしました。参戦ラインナップを決める段階では、かなり最後まで粘りはしたんですが。

―― ラインナップから漏れたのはなぜでしょう?

臼田 参戦決定している『if』のキャラクターがすでに多くいた、というのが大きいです。

早矢仕 かといって妹2人をDLCにする、というのも……。

臼田 最終的には、無理やりねじ込むよりはDLCでしっかり作り込んでから出そう、という判断になりました。

―― 実際、アクアはこれまでの参戦キャラクターと比べても、かなり個性的な能力を持っていますね。

臼田 踊り子・歌姫の持つ「味方を再行動させる」という特徴をちゃんと作らなければ、ということは決めていましたね。アクションゲームで再行動をどう表現するかについては、味方の無双ゲージや覚醒ゲージを回復することで、再度無双奥義や覚醒を行えるようにする、という形にしました。

―― かなり便利そうですね!

臼田 「強攻撃1を出すだけで全員の覚醒ゲージが回復する」なんて、聴いただけでも「それ、大丈夫!?」と思われそうですが(笑)、そこは回復量などでバランスを取っています。

DLC参戦キャラクター2
オボロ CV:ささきのぞみ

白夜王国の王子・タクミに仕える「槍術士」。面倒見のよい性格だが、暗夜王国のことは非常に嫌っている。暗夜の気配を感じると、「魔王」と形容されるほどのすさまじい形相を浮かべる。

アクアと同じく槍を武器とするが、繰り出す技はかなり異なっている

DLC参戦キャラクター3
ゼロ CV:子安武人

クラスは「シーフ」。盗賊としての腕前を活かし、暗夜王国の王子・レオンの警護を務める。幸せそうな人間に対しては嗜虐的な面を見せ、その癖のある言動は仲間にもたびたび批判されている。

幸運に応じた確率で必殺の一撃を強化するスキル「滅殺」が強力

覚醒奥義では鎖で敵を拘束し、動きを封じてからとどめの一撃を放つ

DLCキャラは やっぱり強い!?

―― DLCのキャラクターたちは、やはり強めに設定されているのでしょうか?

臼田 もちろんゲームバランスが破綻するほどではないですが、意識はしています。新しいスキルも強力で、ゼロの「滅殺」は最後まで調整を続けていたほどです。オボロの「カウンター」も、ガードすることで相手にスタンゲージが発生するのでかなり便利ですよ。

―― なるほど、いろいろな手段でさらに自軍を強くできるわけですね。待望のペガサスナイト以外の槍キャラも使えるようになりましたし。

早矢仕 発売後のユーザーの皆さんの声もありましたし、僕らも実際にプレイしているうちに「歩兵の槍が欲しい!」と思うことは多かったので、この「ifパック」を早い段階で出すことができてよかったです。

―― 今まで使える槍キャラがペガサスナイトしかいないというのは、攻略的にはアンバランスな印象がありました。

早矢仕 最初に参戦キャラを決めた時点で「槍がペガサスナイトしかいないのはどうなんだろう」という懸念はあったんです。ただ、キャラ1人1人の顔ぶれというよりは、全体としてのラインナップを見ると……。

臼田 例えば、ティアモの代わりにオボロを入れるのも何か違うなという気がしたんです。「ゼロはどうするの?」とか、「さらに『if』キャラを増やすのか」とか、「アクアはあきらめたよね!?」とか、さまざまな理由もありました。

早矢仕 開発が進むにつれ、「三すくみ」が想定していた以上に重要なシステムになっていった、というのもあります。非常に難しくはありましたが……。仮にもう一度決められるとしても、参戦キャラのラインナップについては同じジャッジを下していたと思いますね。

―― アクアとオボロは2人とも歩兵の槍ですが、性能も技もまったく異なりますね。

臼田 はい。アクションは『if』本編を参考にしていまして、アクアの踊る、歌うような動きもその再現です。歌は大きなポイントで、蓮花さんの歌を使用している箇所もありますし、Lynnさんにも鼻歌のようなボイスがあったりします。

―― アクアは無双奥義でもバッチリ歌を再現していますが、白夜と暗夜バージョンの両方が見られるんですね。

臼田 白夜・暗夜両方の衣装があるんですが、アクション担当の希望で、どちらを着ていても無双奥義のときは2つの衣装、両方を交互に見られるようになっています。

オボロのキャラクタースキル「カウンター」。敵の強攻撃をガードすると衝撃波を発し、相手のスタンゲージを表示させる

オボロとゼロの強烈な個性

―― NPCとして初期から登場していたオボロとゼロですが、この2人の登場の経緯は?

早矢仕 王族以外での人気キャラであることと、個性の強さが決め手でした。

臼田 本編でNPCとしては登場してるので、プレイアブルとして出さないわけにはいかないでしょ! という。この2人の絆会話も早く聞いていただきたいです。

―― 今回の絆会話にはどのような組み合わせが?

臼田 「ゼロとフレデリク」は、堅物のフレデリクがどのような反応をするのかが見ものですね。「ゼロとレオン」も、ゼロのレオンに対する忠義の深さが見て取れる内容です。「オボロとティアモ」はいい感じの女子トークになっていますし、「オボロとレオン」も、“レオンは服を裏返しに着たりする”という話をオボロらしい視点から拾っていて、個人的には好きですね。ちなみにアクアはリョウマ、マークスの2人との絆会話が用意されているので、妹として兄として、お互いがどのような会話をするのか、注目していただければと。

―― 本編ではワンセンテンスの会話でしたけど、しっかりセリフを聞くとまた違う魅力が出てきますね。

臼田 オボロは絆会話でも「魔王顔」を見せてくれるんですが、あの顔の時は声のトーンも変わるので台本にもその箇所には「魔王」と書いてありました(笑)。

―― 喜怒哀楽のほかにさらに「魔王」が(笑)。オボロはNPCのときとは技なども大幅に変わっていますね。

臼田 NPCの時点では専用のアクションがほぼ無かったので、今回はアクアとはまた異なる、ベーシックな槍歩兵のアクションを入れています。

―― ゼロはやはりその「言動」が魅力ですが、彼をシナリオ上で扱うときに意識されていた点は?

臼田 セリフには際どいネタも多いんですが、単に下品にならないようにと気を使っていましたね。女性から見ても、男性から見てもセクシーで、格好いいキャラクターを目指しました。

ゼロとフレデリクの絆会話。生真面目で堅い性格のフレデリクは、ゼロにとって格好の嫌がらせの対象になってしまったようだが……

初期から入れたかった服剥ぎシステム

―― システム自体はアップロードで追加されていますが、やはり「服剥ぎ」についてもお聞きしなければと(笑)。以前のインタビューではキャラクターの造型についても熱いお話を伺いましたが、せっかくの作り込んだモデリングを「服剥ぎ」で剥いでしまうのはもったいないのでは……?

臼田 いやいや! 服剥ぎ後の姿も一からデザインしているんですよ。元から見えている部分、アンダーアーマーになる部分など、すべて考察しながら作りこんでいるんです。

―― 作る手間は倍になるわけですよね。

臼田 今回のDLCには新しい衣装が追加されるキャラもいますが、新衣装にもそれぞれの服剥ぎ後の姿があるんです。ディレクターとしては、服剥ぎ後はみな同じでもいいかなとは思っていたんですが、CGスタッフから「デザイン上、同じだとやはりおかしい!」という意見もありまして。

早矢仕 スタッフみんな、ノリノリで作っていましたね(笑)。

―― 皆さん、それだけの気合を入れて作成されていると(笑)。服剥ぎシステム導入のそもそもの経緯は…?

早矢仕 もともと原作の『if』にあったシステムでしたし、開発現場では初期から入れたかったんですよ。ただ、「ストーリーのエンディングまでは、誰かの鎧が壊れるのはやめない?」というのもありまして。

―― 確かに、ストーリー展開中ではちょっとミスマッチかもしれませんね。

早矢仕 発想は『if』からでしたが、開発中にリリースされた『FEヒーローズ』でも被弾時のイラストがあって、それが盛り上がっていたんですね。ならばこちらもDLCで入れましょう、と。『FEヒーローズ』が受け入れられたという事実がなければ、実現していなかったかもしれないですね。『FE』シリーズのいろいろな展開に併せて、リアルタイムで仕様を決めていきました。

―― 攻略面でも、強敵をアーマーブレイクさせられればかなり役立ちそうですね。

臼田 メリットもあるがデメリットも大きいという、少々玄人向けのニッチな調整を入れたかったというのもあります。

―― 改めて見てみますと、新システムに新キャラクターに加え、ヒストリーモードも3人分が追加されましたし、DLCは本当に盛りだくさんですね。

臼田 ボリューム的には『ゼルダ無双』のDLCくらいは入っていなければならないだろう、と。3人を1つのマップに登場させるより、3人それぞれのエピソードにしたほうがよりキャラの個性や魅力を描けるというのもありましたね。

―― 追加アイテムの「絆のお守り」も便利そうです。

臼田 1回のバトルで上がる絆には上限があったんですが、絆のお守りがあればその上限も無くなるので、かなり強力です。「絆」があまり簡単に深まってしまうのも……という思いはありましたが、絆会話をコンプリートしようとするととてつもない道のりになってしまいますし。

服剥ぎ(アーマーブレイク)
無料更新データVer.1.2.0で追加された要素。武器特性「破鎧の一撃」を持つ武器で必殺の一撃を放つと、受けた相手は守備と魔防が下がった「アーマーブレイク」状態になり、外見も変化する。Ver.1.2.0ではシオンとリアンがアーマーブレイク時のモデル変化に対応している。さらに今回のDLCでは、『if』シリーズに登場するキャラクターたちも対応している。
強敵と戦う際に有効だが、敵からの攻撃にも注意しなければならない

DLC発売によせてのメッセージ

―― では最後に今回のDLC、また第2弾以降の内容について一言お願いします。

早矢仕 おかげさまでご好評いただいていますし、キャラクターに関するご要望にもDLCでお応えできるかと思います。今後の参戦キャラはすでに決まっているんですが、皆さんの期待に応えられるラインナップになっていますので、ぜひ楽しみにしていただければと。新しい要素を追加して遊びの幅を広げる、というのも今後のDLCの課題としていますので、ご期待ください!

臼田 さまざまな機能、キャラクターやスキルも増えて攻略の幅も広がっていくので、ぜひ購入していただいて、いろいろな戦略を試していただきたいですね。アップデートで入れられるものはどんどん入れていくつもりですので、ぜひご要望をお寄せください。

発表時からのインタビュー特集はこちら
DLC第2弾のインタビューはこちら
DLC第3弾のインタビューはこちら
開発を終えてのファイナルインタビューはこちら


関連リンク
ファイアーエムブレム無双 公式サイト


ⓒNintendo / INTELLIGENT SYSTEMS ⓒコーエーテクモゲームス All rights reserved. Licensed by Nintendo.

トップへ戻る