『逆転裁判6』山﨑ディレクターと振り返る第2話「逆転マジックショー」(2016年9月号より)

『逆転裁判6』発売後、ニンテンドードリームで行われた連載を再掲載。山﨑ディレクターに『逆転6』を実際にプレイしていただきながら、細かいところまで解説してもらうというディープな内容となっています。今回は第2話「逆転マジックショー」編。ぜひ、ゲームをもう一度遊びながら、一緒に楽しんでみてください。

第1話「逆転の異邦人」編はこちら
第3話「逆転の儀式」編はこちら

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
ネタバレを含んでいます。

ディレクター 山﨑 剛
DS『逆転裁判 蘇る逆転』からシリーズに参加。DS『逆転検事』シリーズのディレクターを経て、3DS『逆転裁判5』でシナリオディレクターを担当。本作で再びディレクターとなる。
「先日『逆転6』の打ち上げでビンゴ大会をやったんです。そのビンゴの賞品のひとつに、ヤマシノPの持っているコーヒーカップと同じロゴマークが入ったタンブラーをスタッフが作ってくれて。僕は当たらなかったんですけど、なかなか粋な賞品でした。」


【今回の事件】第2話「逆転マジックショー」


成歩堂の養女みぬきは、日本でマジックショー「ミヌキ in アルマジカルランド」を開催しようとしていた。しかし、本番前のゲネプロ中に共演者Mr.メンヨーの死体が現れる。王泥喜と心音の2人は成歩堂不在の状況でみぬきを弁護することになるのだった!


オープニングアニメ

山﨑 オープニングアニメは、パッと見たときに『逆転裁判』に見えないぐらいのインパクトをもたせたいと思って作りました

山﨑 だから、みぬきの服装を変え、ドラゴンも登場させてアニメ映えのする内容にしました。もちろんこれはステージ上のマジックショーのシーンなのですが、お客さんにはこういうイメージに見えているのだと思っていただければ(笑)。

—— 題材もマジックですから違和感はないですね。

山﨑 マジックを題材に選んだのには、いくつか理由があります。一番は、とにかく“みぬきの話”をやりたかったということです。『逆転5』のときは、成歩堂の復活や王泥喜の成長を描くのに精一杯で、みぬきの話を描く余裕がありませんでした。そのため、みぬきには事務所でプレイヤーを待っていてくれるマスコット的な役割しかさせてあげられなかった。なので、今回は彼女のために1話分使って、過去作で描けなかったことをやりたかったんです。すると、題材はマジックしかなかったですね。あとは、第1話がどうしてもシリアスな話にならざるを得なかったので、第2話は楽しい感じにしたかったというのもあります。

—— 「ミヌキ in アルマジカルランド」。これは「アリス in ワンダーランド」的な?

山﨑 そうです(笑)。「不思議の国のアリス」の世界をモチーフにしたマジックショーにしているので、オープニングアニメのみぬきの衣装もアリスっぽいですよね。あと、クライン王国でのお話と差別化するために、日本が舞台の話では現代的なものを要素として入れていきたかった。そこで、マジックだけではなくて第2話ではテレビもキーワードとして入れることにしました。

—— W主人公のひとり。王泥喜登場! そういえばオドロキくん、弁護士2年目なんですね。

山﨑 2年“ほど”です(笑)。丸3年は経っていないんです。

—— 心音も第2話で初登場に。

山﨑 王泥喜と心音のコンビも板についてきた感じがありますよね。2人は先輩後輩コンビですが、ちょっと似ているところもあるのでお互いぶつかりあって背伸びし合う関係性でもあります。『逆転5』のときからですけど、成歩堂&真宵の関係性とは違うものを作れたと思います。お互いの遠慮がなくなってきて、掛け合いもさらにさせやすくなってきました。


みぬきに会いに楽屋へ

—— みぬきは有名なマジシャンになっていました。

山﨑 地道にやってきたんでしょう。『逆転4』で「或真敷一座」の興行権を手に入れているんで、そこから1年経過してここまでたどり着いたんだろうなと。今回、みぬきの3Dモデルもかなり修正されているので、だいぶかわいくなっています。このテヘッのポーズも、きっとみぬきじゃないと許されないでしょうね(笑)。

—— 定番の王泥喜いじりも健在ですし。

山﨑 『逆転4』のときからですけど、こちらもお互いの距離がもっと近くなって遠慮がなくなった感じです。で、おなじみのパンツですが、「小宇宙」から「ギャラクシー」にパワーアップしてしまいました(笑)。第2話から探偵パートが開始になりますが、今回は調べるメッセージも復活していますから、遠慮なく背景に物を置くことができて楽しかったです。

—— ここにあるマジック道具はショーで全部使うんですよね?

山﨑 そのはずですが(笑)。5000円玉もメンヨーがマジックに使うためのものですね。彼はコインを使ったマジックが得意という設定なんです。

—— 「アルマジカルカーニバル」のポスターも初お目見えです。

山﨑 アルマジカルって公演名に付けるのが、或真敷一族の伝統なんでしょうね。それにしても本当に懐かしいメンバーです。

—— みぬきは事務所で「練習に行ってきます」と言いますが、事務所に住んでいるわけじゃないですよね?

山﨑 違いますよ。ナルホドくんの娘ですから、彼と一緒の家に住んでいます。で、学校から事務所に帰って来て練習に出かけていると。


事件発生!!

—— 事件がアニメシーンで描かれます。

山﨑 このアニメはトリックに絡んでいるので、コンテ、脚本、原画、動画というすべての段階で、シナリオとの整合性を丁寧にチェックしました。あとから、「描かれるべきものが抜けていた!」なんてことになったら大変ですから。

—— 脱出マジックはデモシーンでも表現されていて驚きました。

山﨑 女性のアクターさんがモーションキャプチャーで演じてくれたんです。

—— ドラゴンがかきわりだったという事実も(笑)。

山﨑 アニメの中ではあんなにリアルに動いていたのに(笑)。第2話探偵パートの前半には、『逆転6』からの新しい演出が盛りだくさんです。オープニングアニメからはじまり、デモシーンでがっつりつかむという流れになっています。

—— トロンプシアター前に出されてしまいます。

山﨑 発売前のイベントでも解説したんですけど、外観が立体に見えるだまし絵になっています。


成歩堂なんでも事務所にて

—— 事務所に戻ってきました。

山﨑 『逆転4』のときからありますが、背景のスパゲティってなんであるんでしょう。マジック道具のはずなんですけど、あれで何のマジックをするのかが気になる!

—— ナポリタンをミートソースに変えるとか?

山﨑 そっち!?(笑)。

—— そしてナルホドくんのクラインでの活躍がニュースで流れてきます。

山﨑 第2話は、成歩堂不在の中で王泥喜が頑張って成長していくという話でもあるので、最初に「成歩堂はすごい」という王泥喜との差を見せたくて入れました。成歩堂不在が大きいことであることを伝えつつ、王泥喜に「オレも頑張らなきゃ!」と思わせるためですね。

—— みぬきの事件のニュースが続きます。

山﨑 ここで流れる動画はこの話のポイントにもなるわけですが、なかなか制作は大変でした。例えば、メンヨーの3Dモデルは被害者なので当然ないですから、この動画に映っちゃいけなかったりして(笑)。そんな制作上の都合もあって、みぬきの顔にカメラが寄るようになっています(笑)。あ、第2話では最初は事故からはじまり、途中から殺人になるというシリーズ初の展開に挑戦しています。事故のままでは、みぬきの追いつめられ度合いが下がってしまうので殺人の話に移行していくことになるのですが。しかし、今回の話でみぬきもやっと被告人になることができました。

—— 『逆転』のヒロインは被告人を通らないといけないみたいな。

山﨑 それはあると思います。まあ、真宵はちょっとなりすぎかもしれませんが(笑)。


留置所でみぬきの弁護を決意

山﨑 普通の探偵パートでは、キャラクターの立ち位置は1つしかないのですが、留置所はガラスの仕切りがあるので、被告人以外はその手前にいないとおかしいんですよね。だから実はガラスの外にいるキャラは大きめに表示されているんです。3Dで奥行きがわかるようになったので、『逆転5』からそうしています。

—— 留置所での会話は、みぬきの性格がすごく表現されているいいシーンですよね。

山﨑 これまであまり描かれてこなかったみぬきの本音の部分を描きたかったんです。彼女がなぜ隠された本音をあまり出さなかったのか。それは、マジシャンとしての矜持があったからだということを描きました。

—— そこに、最初の“みぬく”が登場します。

山﨑 これは大事な“みぬく”です。このシーンでいえば、“みぬく”でユーザー自らが、みぬきの本音を訊き出すという展開にしています。

—— みぬくを入れることで物語を動かせますし。

山﨑 サイコ・ロックもそうですけど、ユーザーがみぬくことによって、新しい情報やドラマなど、大きなリターンを得られるということを大事にして考えています。みぬきはなかなか複雑な生い立ちなんですけど、今まで彼女がどう思っているのかはちゃんと描かれてこなかったんですよね。

—— そして、みぬきは悲しげな顔に。

山﨑 みぬくで本当の表情が出てきたからこそ見せる、今回からの新モーションです。17歳の女の子ですから、ずっと笑顔なのではなく、こういった面もあるんだよって、描いてあげたかった。

—— ここからオドロキくんが弁護を申し出ますが、音楽も相まって最高に男前です。

山﨑 かっこいいところを見せる感じになってますよね。『逆転4』のときは、オタオタしているシーンが多かった王泥喜ですが、『逆転5』で成歩堂と対立する立場も経験しました。それを経て、こんなにいいことを言うようにもなったという成長を描けたかなと思います。

—— それを受けて、みぬきは下を向いて溜めてからの泣き顔になります。

山﨑 もう演出の担当者がこだわって作ってくれました。おかげさまで、みぬきの評判が上がったという声も聞こえてきているので、本当にうれしいです。


楽屋でみぬきの手帳を探す

—— いろいろ調べるところが多い楽屋に戻りました。サインなど、ゲーム中にはいろいろな文字が出てきますが、誰が書いた文字なんですか?

山﨑 開発スタッフの誰かですね。『逆転5』以降の話ですけど、このキャラの筆跡はこの人みたいな感じで、開発内でオーディションをするんですよ。先入観が入っちゃうんで、誰のものかもわからない状態で文字だけで選ぶんです。みぬきの文字は誰だったかなぁ…女性であることは間違いないです。あ、楽屋で言うと、みぬきの鞄の後ろに制服がかかってますが、その制服と鞄で高校に行っている設定です。ただ、みぬきの制服をセーラーにするかブレザーにするかは少し議論しました。以前『逆転1』のときに真宵がセーラー服を着たイラストがあったんで、今回はブレザーにしたんですけどね。

—— あの制服は衣装だと思ってました。

山﨑 実は制服だったんです。だから鞄も学校の物っぽいでしょ。しかも、よく見ると鞄にはボウシくんのストラップが付いているという。

—— ほかにも楽屋にはいろんな方々からお花が届いていますよね。

山﨑 牙琉のだけがやたらデカいっていうのが“らしい”ですよね。背景を考えるときにスタッフみんなで考えて、誰からの花束を置くかというのは自然と決まりました。

—— しかし、ファン的にはよくぞ或真敷をまた出してくれたという感じでした。なぜなら、たとえ題材がマジックだとしても、或真敷を絡ませないという選択肢もあったわけじゃないですか。

山﨑 あ、そうですね。でも、みぬきの本音や過去を描くとき、「わたしはマジシャンだから笑顔でいなくちゃいけないんだ」という信念は外せない。すると或真敷に触れないわけにはいかないじゃないですか。もちろん、もっと深い人間関係は過去作のネタバレにもつながるので、どこまで触れるかというところでは慎重になった部分はありますけど。


トロンプシアター前で茜登場

山﨑 王泥喜と茜の再会シーンの会話はどうしようかと、チーム内で議論しました。もともとすごく仲がよいというわけでも、仲が悪いというわけでもないのでどうしたもんかなと。結局“久しぶりに会った親戚のお姉さん”みたいな感じに落とし込もうという話になったんです(笑)。その感じ出てますかね?

—— 「かりんとうともお別れした」って言うからショックでした。まぁ、仕込みだったわけですが。

山﨑 そうです(笑)。チームの中では「科学捜査官になったわけだから、かりんとうはもうやめよう」という意見もあったんですよ。でも、やっぱりあれがないと『逆転4』以降とキャラ性が変わっちゃうので、なんとか入れる理由を探すことにしたんです。

—— カガク捜査と茜登場はどちらが先だったんです?

山﨑 同時ですね。ユーザーアンケートで「カガク捜査がほしい」という意見があり、「じゃあ茜出そうよ」って。あと刑事役をどうするかという問題もあったので。

—— イトノコの選択肢はなかったんですか?

山﨑 もちろん考えたんですけど、普通にイトノコが捜査をすることに違和感があったんです。「年齢的にまだ現場にいるの?」みたいな。だから、イトノコは立場的には今は何をしているんだ? という設定の難しさもあり、今回は茜にしました。

—— 茜はここでナユタのことをにおわせます

山﨑 ナユタのコンセプトは優しそうに見えるけど厳しいというギャップだったので、シナリオ側でもそういった方向に演出しています。今回、第3話以降のクライン王国でも茜が刑事ですが、最初はクライン王国側にはクライン人の刑事を用意するという案もあったんです。でも、そうなると茜の登場シーンが半分になってしまうので、描ける部分が弱くなってしまう。そこで一本化することにしたんです。すると、茜がクライン王国にまでナユタに引っ張っていかれることになり、ナユタとの関係性も深まりました。おかげで、ナユタにイライラさせられることで、かりんとうを復活させることができたんです。茜にとっては、いい迷惑かもしれませんが(笑)。

—— クライン用の刑事はどんなデザインで?

山﨑 本当に初期の頃なんですけど、アジア風の男性キャラのラフはいくつかありました。ナユタが三蔵法師のイメージで作られていた頃だったので、お供の孫悟空のような刑事でしたね。ナユタに唱えられると頭の輪っかがギューッとなるみたいな。


現場調査と3D指紋検出

—— 現場での調査ですが、茜との会話が終わるとそのまま背景に茜が登場します。

山﨑 『大逆転裁判』で背景に人が立つというのをやっていたので、僕らもやろう! ということになりました。小さいキャラがいると臨場感があがるので効果的ですよね。また、この場所が最初の3D探偵パートになるので、3Dで調べがいがあるようにいろいろと変化に富んだギミックを用意しました。

—— それにしても被害者のMr.メンヨーこと伏木直人さんのネーミングは素敵ですね。

山﨑 そのまんまですけどね(笑)。ふしぎなマジックをする人なんです! わりとすぐ思いついたんですよ。

—— どういうときに名前は思いつくんですか?

山﨑 とにかく必死で考えます(笑)。例えば、大阪出張で新幹線に乗ったときに、2時間半ずっと携帯で調べたり、思いついたものをメモしてひたすら見比べたりとかして、それでも一人も決まらなかったこともありました。実は名前を決めるのには、地味に時間がかかっているんです。あ、Mr.メンヨーつながりで言えば、彼ってイケメンだと思うんですけど、これは布施(拓郎さん。アートディレクター)が「イケメンが描きたい」って言ったからなんです(笑)。正統派のイケメンって、なかなか『逆転』では出せないのですが、被害者だったら出せる! というのがあったんじゃないかと。

—— じゃあ、なんでうつ伏せで殺したんですか!

山﨑 (爆笑)。ほかにも出てくるシーンがあるじゃないですか! ちなみにメンヨーの色は、或真敷メンバーの中でかぶらないものから選んでます。

—— そして茜大活躍の新システム、3D指紋検出です。

山﨑 指紋検出をパワーアップさせるアイデア自体はすぐに出たんですが、操作方法として快適に遊んでもらうための調整には時間がかかりました。今回はボタンで粉を吹けるんですが、それを実装しようかも悩みました。カガク捜査って、ゲームとしては“捜査ごっご”をする体験の遊びなので、そこは自らの息で吹いてほしくて。

—— 照合システム起動中に表示される指紋って、もしかして開発の人のものですか?

山﨑 はい。誰の指紋だったかはもうわからないですが、僕のもまぎれていると思います。そうそう、この照合システム起動時に一瞬タイホくんが表示されるのは、デザインした子がタイホくんが好きだったからです。そういうこまかいところまでスタッフの愛が詰まっています。


ヤマシノP&ナユタ登場

—— きましたヤマシノP! 茜もヤマシノPも、スマホを使っているんですね。

山﨑 キャラクター性に合わせて使う携帯電話も変えています。心音もモニ太を使っているぐらいなので、スマホなんだろうとか。王泥喜の赤い携帯も何パターンもラフアイデアを出してもらって決めたんですよ。

—— ナルホドくんの携帯は、むしろ今どこで手に入るんだろうというぐらい年季の入ったものですよね。

山﨑 今でも使えるのがびっくりなぐらいの物持ちの良さですよね。成歩堂は、機械を扱うのが苦手なので、急に最新式になったら扱えなくなると思います(笑)。

—— 美々との会話で“みぬく”が発生しますが、“みぬく”を入れるタイミングはどう考えているんですか?

山﨑 全体のバランスを見て決めるんですけど、今回は第2話で“みぬく”をしたあと、次に登場するのがだいぶ後半になってしまうんです。もしも、第2話でチュートリアルの1回分しかなかったら、ずいぶん時間が空いてしまうのでユーザーが忘れてしまうかもしれないと思いました。そのため、2回目も第2話中でやるというのを先に決めて、シナリオに落とし込んでいきました。

—— さて、ここからみぬきを救うために法廷パートに移行しますが、その前にナユタの登場ムービーですね。

山﨑 登場ムービーのコンセプトは神秘的であることでした。ナユタの初登場はもともとアニメでやりたかったんですが、どこに挿入するかはいろいろと案がありました。『逆転5』のときは夕神が出てくる直前に入れたんですけど、また同じだとつまらないなと思い、探偵パートの最後にしたんです。茜がナユタのことを話すシーンで入れるという案もあったんですけど、ちょっと早いかなと思い、今の形に落ち着きました。


裁判開始! ナユタと茜

山﨑 最初はナユタの紹介でもあるので、どんなやりとりをさせるかは何度も修正を重ねた部分です。あ、そうそう「ド腐れ頭」になるまでにもいろいろありました。最初はもっとひどかったんです。

—— 一番ひどい時期のは何ですか?

山﨑 “ブタ”と呼んでましたね(笑)。犯罪者と弁護士に対してだけですけど。最初は本当に振り切ったところからスタートさせたんです。もちろん、ブタはいろんなところから猛反対がありまして(笑)。今回の検事は説法ネタ、毒舌ネタというところから、アイデア出しをしていった結果です。

—— 検事は必ずゲームで負けてしまうわけですが、その検事を強そうと思わせるポイントってどこなんでしょうか?

山﨑 一番大事なのはシナリオの構成です。いかに検事側が逆転してくるシーンを作れるかですね。ユーザー側が思いもしない反論だったり、論理的に正しく思える主張をさせることができるか。もしかしたらシナリオの中で一番難しいところかもしれないです。なぜなら、検事側は最終的には負けると決まっていますので、絶対に間違った主張をすることになりますよね。でも、その主張がされる時点ではすごく説得力があるように見せなければいけない。そういった意味では、ナユタは手強さを感じさせる逆転シーンを作れたので、第2話も第3話以降もよかったかなと。

—— しかし、ナユタと茜はいいコンビですよね。

山﨑 牙琉検事と茜の関係性が、お互いツンツンしている感じだったせいもあると思うのですが、茜が検事を無条件で敬っているような絵面は思い浮かびませんでした。茜は、御剣のファンなので、他の検事のことはそう簡単には認めないと思いますし(笑)。茜は、みぬきのことを犯人だと思っていないということもあり、ナユタに対してもツンツンしています。一方でナユタは、クライン王国に連れていってしまうぐらい、意外と茜を高く買っているという関係性にしてみました。茜も、連れまわされて大変だと思いながらも、評価されていることはまんざらでもないようです。


ココロスコープをはじめとした法廷演出

山﨑 企画の段階から、法廷ではクライン王国では霊媒ビジョン、日本ではココロスコープと区分けしていくことを決めていました。だからココロスコープを活かせるシナリオにするという前提で書かれています。実は、開発初期のころに、新システムとしてココロスコープをパワーアップさせるというアイデアもありました。モニ太が、ハイパーモニ太に改造されて、扱える感情の数が8つに増える! ……みたいな(笑)。ややこしいですし、別にいじらなくても完成されたシステムだったのでやめましたが。

—— みぬきのマジック証言にもびっくりしました。

山﨑 これもチャレンジの一環で、第1話は歌って証言、第2話はマジック証言という特殊な証言を入れました。マジック証言の動きもモーションキャプチャーで撮影しています。今回は、各話で特殊な証言や証人が出てくるので、そこも楽しんでいただきたいです。

—— 聴衆がこのマジックを機に態度を改めますよね。

山﨑 みぬきのマジックで法廷の状況がガラリと変わるというのをやりたかったんです。どんな窮地でも、笑顔とマジックで切り抜けていくみぬきの強さを表現したくて。最初のシナリオ段階では、“証言中にマジックをやって空気が変わる”ぐらいにしか書かれていなかったんですが、カメラを引きにして証言全体をマジックにすることで、とても見栄えのするシーンになったと思います。チーム全員の力の結実ですね。

—— というわけで、今回はここまでです。

山﨑 おー具体的なネタバレはないとはいえ、ここまでかー。まだ第2話全体の半分くらいですからね。ここからまたいろんな逆転があるので、ぜひプレイして楽しんでください!


最後に第2話を総括

—— ゲーム全体の中で第2話はどういう位置付けなんですか?

山﨑 第2話は、とにかくおもしろくなきゃいけないんです。というのも、第1話にも“冒頭のツカミ”と“チュートリアル”という重要な役割があるのですが、一番最初の話なのでみんなにプレイしてもらえるんですね。でも、このゲームを最後までプレイしてもらえるかは、第2話で心をつかんで、その続きをやりたいと思わせられるかどうかが重要なファクターになっているんです。ライバル検事も初めて出てくるということもあって、重要度がすごく高い話になります。また今回の第2話では、2章構成というチャレンジもしました。理由としては、第1話が短いので、第2話でいきなり4章構成だと差が大きくて長く感じられてしまうのではないかと思ったんです。それで1話2話3話とだんだんボリュームが上がっていくような構成に挑戦してみたんですが、シナリオを作成する時点からなかなか苦労しました。やっぱり2章分しかないので、1回の法廷パートで大きな逆転を起こさなければならない。そのための準備を1回の探偵パートでやらなければいけませんから。だから、短い中にぎゅっと要素がつまった話になっていると思います。

—— 結果、受け入れられていますよね。

山﨑 ありがたいです。恐れていたのは2章構成になったことで“短くて物足りない”と思われてしまうことだったんです。でも、1つの話としてうまくまとめられたので満足していただけたのかなと思っています。

新検事・ナユタのことを もっと訊いてみた!

●舞い降りてくる蝶について。
山﨑 クライン蝶ですね。しっぽのところがつながっているデザインで、その丸くなっているところで魂を運ぶと言われている設定です。

●手を合わせるパーンという動きについて。
山﨑 今までの検事はいろいろな方法で机を叩いてきましたが、あれは音を出して法廷にいる人たちの注目を集めるためなんですね。今回も新しい音の出し方のアイデアを考えている中で、布施が考え出してくれました。


第1話「逆転の異邦人」編はこちら
第3話「逆転の儀式」編はこちら


関連リンク
逆転裁判6 公式サイト
逆転裁判シリーズ 公式サイト


©CAPCOM CO., LTD. 2016 ALL RIGHTS RESERVED.

トップへ戻る