『逆転裁判6』開発者インタビュー Vol.2 “キャラクター誕生秘話”(2016年7月号より)

逆転裁判6』発売時に行われた開発者インタビューを再掲載。全体のお話とキャラクター誕生秘話の2回に分けてお届けします。この記事では登場人物たちのデザインや誕生過程についてのインタビューとなります。メインキャストから始まり、後半は1〜3話までの各話に出てくる主要人物たちを解説・掘り下げていきます。

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
・ネタバレを含んでいる場合があります。

触ってわかった集大成たる理由(全体編)はこちら


<開発者プロフィール 左から>

プロデューサー 江城 元秀●ディレクターを経て、DS『逆転裁判2 Best Price』よりプロデューサー。DS『逆転検事』シリーズ、3DS『逆転裁判5』と、シリーズ全体をプロデュースしている/ディレクター 山﨑 剛●DS『逆転検事』シリーズでディレクター、『逆転裁判5』でシナリオディレクターを担当し、本作では再びディレクターに。入社してからずっと『逆転』に携わる/COディレクター 布施 拓郎●DS『逆転検事2』でイベントカット、3DS『逆転裁判5』のアートディレクターを経て、今作ではアートディレクター兼COディレクターに。山﨑さんと現場を取り仕切る

正義の弁護士
成歩堂 龍一

布施 デザイン的には『逆転5』から1年後の話なので変化はないです。

山﨑 でもゲーム中の3Dモデルは、『逆転5』からリファインして、よりかっこよくなっています。『逆転5』と比べてみてもらうとよくわかると思うんですけど、本当に全然違います。とはいえ、最初はいじるつもりはなかったんですけどね(笑)。

布施 こだわりが出てきて、つくり直さなきゃと思いまして。

—— どのタイミングで、ナルホドくんをはじめとしたメインキャラもつくり直そうと思ったんですか?

山﨑 レイファをはじめとした新規のメインキャラたちが出来上がってきたときですね。そういったキャラと横に並べて見たときに「あれ?」って(笑)。

江城 当然、『逆転5』をつくったときよりもスタッフスキルが上がっているんで、新キャラをつくった後に並べると違和感があるんですよ。

布施 やはり『逆転5』と『逆転6』のキャラクターで差が生まれてしまうと、ユーザーさんに冷められてしまうので、そうならないよう統一するためにメインキャラもリファインしていった感じなんです。

江城 それが結局全部のキャラクターにまでおよんで、スケジュールや予算などを管理している僕としては、本当に「ひーひー」状態だったんですけどね。(山﨑さんたちに向けて)「いじらない」って言ってたのに!

山﨑 いいでしょ! もうそんな話は!

一同 (笑)

山﨑 でも、そんなこだわりが3Dモデルには詰まっています。キャラクターの描き方については、シナリオのときにお話ししましたけど、スーパー弁護士・成歩堂が強大な敵に挑むというもので、それを王泥喜が見ていくという対比ですね。

左が『逆転5』で右が今作。こうやって並べてみると、3Dモデルがいかに手を加えられてリファインされているかがわかります


熱血弁護士
王泥喜 法介

山﨑 オドロキくんのデザイン面については、ナルホドくんと同じでとくにいじっていません。当然、3Dモデルには手を加えていますけども。またキャラクターの描き方としては、今回はオドロキくんの成長物語でもあるので、そこをしっかりやりたかったんです。なので、2話の話など成歩堂不在で頑張らなきゃいけないシチュエーションを用意して、彼自身の話を描いていくように舵を切りました。

—— 『逆転5』以上にスポットが当たっていましたね。

布施 はい。でも『逆転5』の王泥喜は活躍するとはいっても、成歩堂という主人公の裏、つまり陰の主人公でしたよね。けれど、今回はダブル主人公ということで、ちゃんと土俵にあげたわけなので、活躍の場を前回よりもちゃんと用意した感じなんです。あ、あと(山﨑さんを見ながら)彼が王泥喜のこと大好きなんですよ。

—— それは外から見ていても伝わってきます。

一同 (笑)

山﨑 あとは心音とのコンビがうまくハマりました。先輩後輩コンビというのが、王泥喜を立たせるのにとても効果的で、しかもそうすることで心音もキャラ立ちできたので、いいバランスになったんじゃないかと思っています。


ココロを救う弁護士
希月 心音

山﨑 オドロキくんの良きパートナーです。『逆転5』よりは一歩下がった立ち位置ではあるんですけど、かなりいいパートナーとして、活躍してくれたなぁと思います。

布施 安定したポジションを確立できたので、さらに安心できるキャラになりました。

—— ココロスコープがメインシステムなの? というぐらい、重要な描かれ方をする話もありますし、今回の心音もかなりの活躍をすると思いました。

江城 ええ。おいしい立ち位置ですね。

山﨑 システムに関していえば、クライン王国の霊媒ビジョンに対して、日本の法廷ではココロスコープというふうに住み分けることができたので良かったです。

—— 2つの『逆転』を遊んでいるような、お得感がありました。

江城 ただ、いろいろなシステムを入れると、説明も含めてユーザーからは邪魔になる可能性もあるわけで。「それもういいよ!」って言われたらおしまいですから、導入に慎重なところもありました。でも、今回は開発がキチッとおさめてくれたなぁと思います。


帰ってきた霊媒師
綾里 真宵

布施 先ほど話したように、まず真宵を出すということが決まっていて、そこから霊媒で活躍することも話に出てきたんです。なので、その話が出た頃から、舞台であるクライン王国と並行してデザインを始めました。

—— まずはどこからデザインを考えていったんでしょうか?

布施 やっぱりどう成長させるかというところで相当考えました。というのも、『逆転5』での春美ちゃんみたいに、最後の登場から9年経過しているので、ユーザーさんそれぞれの中にいろいろな28歳の真宵ちゃんがいると思ったからなんです。

—— なるほど。

布施 なので、まず初代の頃の真宵ちゃんを自分で描いて、そこからどう変わっていくかのアイデアを出していきました。なぜ初代を描いてからかというと、最初から昔と全然違う顔というのは考えていなかったからなんです。姿もガラッと変える気はなくて、皆さんが思い描いてる真宵を壊すような突拍子もないものは避けたいと思っていたんですね。なので、これまでの真宵の延長線上のデザインにはなるんですけど、どこの部分なのか? というのを探すのに時間がかかった感じでしょうか。

山﨑 それこそ、今よりももっと昔の真宵に寄ったものから大人っぽいものまでたくさん顔が描いてあって。その中から、ちょうどいいところを選んだ形になります。

—— イメージを崩さず、成長した真宵の案出しをたくさんされたわけですね。

布施 はい。例えば、千尋さんみたいになっている真宵ちゃんとか、全然変わらない姿のままだったりとか。そんな感じで描きながらアイデアを出していったんですけど、結論として千尋さんっぽさもありつつ、もともと真宵ちゃんが持っている魅力というのをなくさない方向で現在の形になっていきました。

—— 服装についてはいかがですか?

布施 服装は基本的には昔と変えていません。どちらかというと、今回彼女が家元になるためにクライン王国へ修行に来ているという理由があるので、家元だったお母さんの舞子のデザインに少し寄せるようにしています。裾が伸びているところとか、胸の数珠を増やしたりといった、以前よりも位が上がったことが伝わるように取り入れています。

江城 結果、出来上がった真宵のイラストを初めて世の中に出したとき、ユーザーさんからの評判がとても良かったので本当に良かったです。

—— つまりユーザーからは「これが僕らの考えていた真宵ちゃんだ」と受け入れてもらえたと。

江城 「かわいくなってー」って(笑)。9年越しに見たあの子が、こんなに大人になってという親心目線で見ていただけたようで、このデザインで良かったなと本当に思いました。

布施 物語の一部や会話をしているシーンを一緒に見せられればまた違うんですけど、最初の発表はどうしてもこの絵だけが世間に広まっていく、つまり勝負するわけじゃないですか。だから、僕はドキドキで死にそうでしたけどね。

一同 (笑)

—— シナリオのほうもお聞きしたいんですが、山﨑さんはじめ、シナリオ班の方々も真宵のセリフを書くのって初ですよね。

山﨑 ええ。そりゃもうすごいドキドキして書きましたよ。でも、きっと真宵ちゃんは昔と基本は変わらないだろうと考え、ところどころに成長した姿を見せられるシーンを入れるぐらいにして書いていきました。もちろん、すごく大人っぽくするという選択肢を考えたときもあったんですけど、やっぱり誰も求めていないなって思って(笑)。あのときのあの真宵ちゃんが帰ってきたって思ってもらわないと意味がないですからね。で、成長したシーンを入れたのにももちろん理由があって、なんだかんだいってもう28歳ですから、さすがにあのときのまますぎるとちょっとしんどいだろうなという(笑)。

江城 そのバランスが絶妙やったな。

山﨑 正直バランス加減は難しくて、少し試行錯誤はしましたけどね。

—— 28歳のヒロインですもんね。

山﨑 なかなかないですよね。

—— 主人公が30代半ばっていうのもなかなかないですから。だから、真宵ちゃんももう「ちゃん」じゃないな、「さん」だなって思いました。

一同 (笑)

—— しかし改めて考えると、実際に年数が経って、さらに歳をとっていくゲームって珍しいですよね。

山﨑 たしかに、普通はそういうふうにしないですよね。実を言うと、それがシリーズを続けていくうえでの悩みの種でもあるんですけど。1歳ずつ必ず年齢をとっていきますから。なので、ふだんの会話は真宵ちゃんを楽しんでもらいつつ、成長したところを見てこの何年間かでいろいろあったんだな、って想像してもらえるようになっていると思います。

—— ちなみに『逆転5』のとき、山﨑さんは初めてナルホドくんを書くことになったわけですが、それと比べて真宵ちゃんはどうでしたか?

山﨑 緊張感という意味では同じぐらいありました。というか、口調にわかりやすい特徴があるタイプのキャラではないので、難しいんですよね。なので、その雰囲気っていうのをどう出すかみたいなのは、過去作を見ながら確認していきました。

成歩堂と真宵のタッグも復活! ファンはこれだけでもうれしい!


クライン王国の姫巫女
レイファ・パドマ・クライン

—— 名前の由来からお願いします。

山﨑 これはそのままです。霊力の霊が由来ですね。で、パドマはサンスクリット語で蓮の花という意味です。一応、王族だけがミドルネームを持っている設定にしてありまして、パドマというのは蓮の花なんですけど、クライン王国では蓮の花が巫女の象徴という設定なんですね。なので巫女さんになるとパドマという名が付くと。(江城さんに向けて)ダジャレじゃなくてちゃんと考えてますから!

一同 (笑)

—— ではレイファ自身のキャラの成り立ちを教えてください。

山﨑 敵ヒロインという立場で、今までのシリーズにはいなかった特殊な立ち位置の女性キャラです。

—— 霊媒システムをやることが決まってから生まれたキャラだったんですか?

山﨑 いや、布施とはその前から何かしらの新しいヒロインキャラを出したいという話はしていました。その流れのなかで布施のほうから「敵ヒロインってどうですか?」というアイデアが出てきたんです。

布施 はい。まだクライン王国が決まっていない頃は、キーマンとして物語の軸に描かれる女の子が欲しいというものでした。ですが、霊媒などの要素がだんだん決まってきて、それに合わせて外見も決まっていきました。

山﨑 たしか初期は霊媒をする立場の巫女っていうキーワードだけが決まっていたような気がします。

布施 ですが設定が巫女だけだと、デザインにパンチ力がなくて、なかなかまとまらなかったんです。そうしたら姫というキーワードも出てきて。それが最終的には、クラインの姫巫女様になってしまったというわけなんです。

—— そういう流れだったんですね。

布施 そこからは、物語的にもどういうことをする人なのかというのも含めてガーッと決まっていきました。敵側のヒロインということは、成歩堂から見ればクライン王国という、アウェイの地にいる人なわけですよね。さらに姫巫女ということは、そのなかでも強いポジションの人である王族だったりすると。そんな感じでレイファのデザインの方向性は決まっていきました。

山﨑 そうですね。クライン王国のなかですごく強い、この人の発言で何か起こってしまうんじゃないかっていう感じに描かれています。

—— ちなみに、このラフの頃は?

布施 このラフは姫の要素を入れ始めた頃のもので、デザイン自体は固まってきはじめているものですね。

レイファのラフ画。たしかに目がだいぶ違いますね

江城 僕は「目を変えてくれ」って言った覚えがあります。このラフと完成イラストの目って全然違いますよね。このラフがきたときは、目が冷たすぎると思ったんです。敵側のヒロインとはいえ、そんなにバリバリに敵対されても、プレイしている側からしたらテンションが上がらないので、やっぱりかわいらしさはいるでしょうと。

布施 このラフは敵側に思いっきり振ったときのものなんです。そこから江城の意見も取り入れて、もう少しヒロインというか、フラットな方向に寄せていったんです。

江城 かわいらしさの中に意志の強さを入れれば敵側に見えるので、目の形とか大きさを考え直してくれって言ったんですよ。だからラフを経ていくと、目の大きさや位置が少しずつ違っていきます。

—— そのバランスは難しそうですね。

江城 ええ。だから、そのバランスはすごく苦労してつくってくれています。それこそ髪を結う位置とかも含めて、ものすごく計算されてつくられていますよ。

—— キャラクターのしゃべり方といった設定はどう考えましたか?

山﨑 姫であるということと、法廷の中で裁判長よりもエライという立ち位置から考えているので、あのしゃべり方になっています。クライン王国の代表キャラクターにならなきゃいけないので、ナルホドくんに手厳しいことを言ってくる。そういうことを考えていたら、ナルホドくんがかわいい女の子になぶられるような感じになっていきました(笑)。

—— レイファの動きでいえば、体験版でも一瞬出て来る上着を脱がすバアヤの演出も笑いました。正直、いい意味で「くだらねー」と思いました。

江城 いちばんいい褒め言葉です(笑)。

山﨑 ただつくるのは大変だったんですよ。すごくつくり直した記憶がある。

江城 誰かが出て来て何かをする演出って、これまであんまりないんですよね。

布施 まさに3Dモデルを使った2D的な演出ですから、テンポ感など、その微妙なニュアンスをスタッフに理解してもらえるまでが難しかったです。

—— しかし、遊んで思いましたけど、この子はきっと人気が出るんでしょうね。

江城 出てほしい。

山﨑 出るに違いない。

布施 体験版を触った方々の反応が思った以上に良かったので、うれしいです。

江城 しかもユーザーさんは、レイファの魅力のすべてはまだわからないんですよね。

山﨑 ええ。体験版で描かれているのはレイファのある一面だけですから。

布施 だからこそ製品版を触ってどんな反応がもらえるか楽しみです。

冷静で高圧的なレイファ。調査中、監視と称してナルホドくんに同行することも!


トムライの検事
ナユタ・サードマディ

江城 動画とか見てもらうとわかると思いますが、コイツなんで後ろの布がフワフワ動いてるねんっていうね。

—— 茜ちゃんは「フワフワ検事」って呼んでいましたが、クラインの人たち全員が布をフワフワさせているわけではないですよね?

山﨑 違います。ナユタだからこそできるんです。法力的な何かなんでしょう(笑)。

江城 位の高いお坊さんなんでね。

—— デザインからお聞かせください。

布施 ライバル検事は、まず「強そう」と思ってもらうことが大事なんです。前回は囚人という記号があって、「検事で囚人ってヤバい」というふうになりました。そういった流れで、今回のライバル検事は記号として「人知を超えた存在」をプラスして強さを表現しようということになったんです。というのも、まずクライン王国という異国の設定が決まったので、検事は必然的に日本と異国を行き来できる国際検事になりますよね。じゃあ、アジアのテイストでかつ、強い検事って何だろうと突き詰めていき、神がかった強さというコンセプトに行き着きました。

江城 法廷の因果の流れすら見通す強さを持っている相手ということになります。

山﨑 企画当初から、孫悟空が釈迦の手のひらで踊らされていた、みたいな感じを出したかったんです。だから、あのヒラヒラはその強さを表現するためにあると思っていただければと。

インタビュー中に語られる決定稿前のラフ。たしかに女性的な印象を受けます

布施 僕は最初の頃、三蔵法師のような性別すら凌駕する、仏様のように中性的なイメージを考えていました。今回お見せしているラフは、女性的なアイデアのひとつを出したときのものです。でも、江城に「もっと男性寄りにしてくれ」と言われて、修正していきました。

—— なぜ男性寄りに?

江城 結局、キーワードの「強い検事」というのに対して、このラフを見たときに「強い印象がない」と思ったんです。かわいらしさはあるけれど、威圧感があるわけでもなくて。だから強さという部分でいうと弱いんじゃないかと思ったんですね。だったら、もうちょっと男性に寄せるなり、コンセプトに寄せる形にしてみたらという意見を言いました。すると次のタイミングでは、決定稿に近い形のものが出来てきたんです。「口調はやさしいけど、犯罪者に対してはものすごく上から目線でののしるキャラなんです」と説明も受けていたので、このキャラだったらそういうことを発言しても受け入れられるなと思い、OKしました。今回、僕が言っていたのは「どう見せたいのか」「どうユーザーに感じさせたいのか?」ということで。山﨑たちからの提案に対して、「俺は少なくともそうは感じなかったからダメじゃない?」みたいなジャッジをしていったんです。

—— しかし、孫悟空の話を聞いてハッとしました。ゲームをプレイして見てほしいですが、あの演出はもしや…

山﨑 バレタ! そのとおりです。

江城 あえて言いませんけど、「なんでやねん!」ってネタでしょ。

一同 (笑)

江城 でもあれを見せられると、この布がフワフワしていても納得してもらえると思います。

—— ちなみに決め台詞である「サトラ」は、どうやって決めたんですか?

江城 そりゃもう山﨑が。

山﨑 「あきらめの検事」というキャラクターのコンセプトが最初にありました。お坊さんでもあるので被告人に対して「あなたは有罪なんだからあきらめなさい」「悟りなさい」と言ってくると。だったら、「さとれ!」という内容を決め台詞で言えばいいかなと思い、「サトラ!」と言うことになったんです。

江城 チーム内では最初、山﨑が何を言い出したかわからなかったよな。

山﨑 いやいやいや、わかりやすいじゃないですか! 悟りの検事が「サトラ!」って言うんですよ。

一同 (笑)

ナユタが相手を悟らせたいときに発するのがこの「サトラ!」。クライン語で書かれている。この後の印を結ぶ姿にも注目しよう

山﨑 で、その「サトラ」の後に呪文も唱えるんですけど、あれにも一応意味があります。ぜひ、何て言っているかみなさんに考えてほしいなって思います。いわゆる「悟りなさい」的な意味合いが込められているんです。

—— 日本語に変換できるんですか?

山﨑 できます。それを呪文にしてあって、ボイスも流れるようにしました。声優さんはちょっと大変そうでしたが(笑)。

—— 呪文に合わせて印も結びますよね。せっかくなので結び方を教えてください。

山﨑 そこはもう布施が!

布施 実は僕も早すぎて真似できないという(笑)。

—— では印はどうやってつくっていったんですか?

布施 素早く印を結ぶという演出は最初からやりたかったんです。目で追えないというのもコンセプトだったんで。なので、こまかくひとつひとつのポーズは指定していないんですよ。スタッフが作っていくなかで自然にポーズから指の形も決めていきました。だから僕も全部覚えてないという結論なんですが。

—— では、ナユタの名前の由来は?

江城 たくさんアイデアを出しましたね。

山﨑 はい。ただナユタというのは初期から候補としてあって、仮名でもナユタと呼んでいました。「ナユタ(仮)」みたいに。最終的に、彼の底知れない感じや神々しい感じを表現できる単語なんじゃないかなということで決定しました。

江城 名前で無国籍感が出るというのもポイントでした。日本語っぽくもあり、アジアっぽくもある。どちらかに振れすぎるとしっくりこなくて。

山﨑 わりと耳馴染みもあり、異国感もありますよね。

憎むべき犯罪者や弁護士に対して口が悪い。成歩堂、王泥喜、心音に対しても容赦ない言葉を浴びせてくる


第1話 逆転の異邦人 より

見習い僧侶
ボクト・ツアーニ & ミタマル

—— 名前の由来から教えてください。

山﨑 ツアーコンダクターなんで「僕とツアーに行こう」って…言わなくてもわかるでしょうよ!

一同 (笑)

山﨑 あと木訥という意味も入ってます。

江城 木訥な少年っていう。

—— ゲームを始めて初めて出会うクライン王国の人ですよね。

布施 はい。ですので、初期からつくっていたキャラのひとりになります。旅行ガイドなどの設定はあったので、クライン王国の国民はどんな人たちなんだろう、という部分でベースになったキャラクターですね。あの国に暮らしている普通の少年はどんな服装なんだろうか、とつくっていきました。

江城 ボクトから始まったといっても過言ではないほど、開発初期からいました。

布施 さっき言われたように、物語に最初に出てくる異国キャラなので、そこには気をつけてデザインをしていきました。

—— まさかこんなにキャラが立って活躍する子だとは思いませんでした。

布施 僕もです(笑)。

—— ボクトの飼っているミタマルは?

山﨑 ミタマルは布施が「チベタン・マスティフを出したい」って言うから…もうここは完全にアートディレクター権限ですよ。だって、最初はシナリオ上にもいなかったですし。

布施 まぁ僕、犬が好きなんですよ。

一同 (笑)

布施 鳥と犬が大好きなんです。それで前回は鳥を出せたので、今回は犬だろうと。「出したい!」って言って。

山﨑 わ、わかりましたって(笑)。

布施 もちろん、ボクトというキャラクターを深めるという意味もありましたけどね。ボクトを際立たせるためのひとつの記号として考えました。最終的に、ミタマルもあんなに活躍するとは思っていなかったんですけどね。

江城 出る以上は出る意味を持たせようと言うことです。

山﨑 そこはシナリオ担当と考えました。

江城 人気が出てほしいなぁ。

—— 出るんじゃないですか? これまでで言うところのミサイル的なポジションになるんじゃないかと思いました。

江城 それぐらいまでいってくれるとうれしいですね。ただね、実際のチベタン・マスティフってめっちゃ怖い犬ですからね。

山﨑 大人になるとね。

江城 調べてみたら、えええええって。ミタマルも大きくなったらこんなんになるんか! と。

布施 ケルベロスみたいになりますから。

一同 (笑)


放浪の検事
亜内 文武

山﨑 今回の1話は異国なので、相手検事をどうしようかとちょっと悩んだんです。そうしたら、たしか日本を追い出されたヤツがいたなって(笑)。

江城 アイツがいた!

山﨑 これはもう使うしかないと、本当にちょうど良かったです。

—— 『逆転5』で御剣がいい仕事をしてくれたなと。

山﨑 いやぁ、いい仕事をしてくれました。で、登場させることにしたんですが、亜内のことだから、きっと弁護士のいない国なんで調子にノッているに違いないということで、どこまでそれを表現するかを突き詰めていきました。

江城 最初はもっと地味な色味だったんですが、主席検事で調子づいてノリノリということで、金ピカになりました。

一同 (笑)

—— 「全勝の亜内」と呼ばれているんでしたっけ?

山﨑 ええ。弁護士がいないですからね(笑)。そりゃもう金ピカですよね。

布施 一応、クライン王国に馴染んでいるつもりなんです。亜内的にはクラインの宗教観をタスキとか、えらそうな感じに捉えているわけなんです。


住職にして音楽家
ポットディーノ・ニワカス

—— 名前の由来から教えてください。

山﨑 遊んでもらえればわかると思いますが、コイツも解説する必要のないヤツじゃないですか!

江城 ポット出のニワカ。

一同 (笑)

—— それにしてもポポポのメッセージ演出にびっくりしました。

江城 ポポポで歌うっていうね。耳に残るわ! って。

山﨑 サウンドスタッフに無理を言って、やってもらったんです。

布施 サウンドすごいですよ。コイツだけで容量をえらく使いました(笑)。

—— 1話からここまでやるかというインパクトがありました。そもそも音楽系でいくのは決めていたんですか?

山﨑 異国感を強調したかったので、その手段のひとつとして民族音楽的なものを出したかったんです。あと、レイファの奉納舞などもあったので、そこと関連付けられないかなというところから始まっているんですよね。

—— つまり1話全部を使って、クライン王国を表現したわけですか。

山﨑 そうです。ユーザーに対してのクライン王国のプレゼンテーションというか。

—— 持っている楽器はダマランという架空のものなんですよね?

江城 ええ。でも僕は本当にあると思ってたんですよ。

山﨑 まぁ別に「そんな楽器はない」なんて説明しないですし(笑)。

江城 そう。あとで「ないっすよ!」って聞いて。まじかーって。

—— 音はどういうふうにつくっていったんですか?

山﨑 音は民族楽器の音をいろいろと合わせました。

布施 デザインのベースにした楽器を伝えて、なんとなくそんな音が鳴るだろうというものをサウンドスタッフにつくってもらいました。

江城 だから僕はまんまと騙されました。

山﨑 (江城さんに向けて)騙そうだなんて思ってないですからね!

江城 逆に本当にありそうと思わせられたわけだから、「これはアリだな」と思いましたよ。

—— それにしても1話から非常に強烈なキャラでした。

山﨑 1話ですから、インパクトがあって怪しげであるというのが重要だったんです。

布施 「全力で怪しげにして」って言ってましたよね。

—— インパクトがあるといえば、1話の被害者であるミーマ・ワルヒトもだいぶ…。

江城 よし。名前の由来を聞きましょう!

山﨑 見回る人ですよ! 見ればわかるでしょ! 警備員なんだから!

一同 (笑)

ポポポで歌うポットディーノと被害者ミーマ・ワルヒト


第2話 逆転マジックショー より

美少女魔術師
成歩堂 みぬき

山﨑 みぬきもデザイン自体は『逆転5』の流れがあるので、新しくはしていないんですが、今回はどうしてもみぬきの話がやりたいと思っていたんです。

—— どうしてですか?

山﨑 『逆転5』のときにまったくできなかったからですね。だから今回、ちゃんとみぬきの話をやろうと、それが2話に結実しています。

—— まさかここで●●●にスポットが当たるなんて。

山﨑 いろいろ言うとネタバレになっちゃうんですけど、ちゃんと活躍を描いてあげられたかなぁと思っています。

江城 みぬきもこれで完全にキャラ立ちしてくれたな、上手いこと落とし込んでくれたなと思いました。

ショーの公開リハーサル中に事件は起こる。事故の責任を問われ捕まったみぬきの無実を晴らすのが第2話の目的


駆け出しマジシャン
菜々野 美々

山﨑 美々ちゃんは2話の容疑者候補のひとりとして、女子の新米マジシャンを出したかったっていうのが最初ですね。

布施 たしか新米マジシャンであることと、いくつか設定が決まっていたんですが、最終的に2話のマジックショー自体が「不思議の国のアリス」を原型につくることになったので、そのなかでウサギというわかりやすい方向に落とし込んでいったんです。

山﨑 足の部分が人参なんですよ。

布施 だからオレンジなんです。ゲーム中はほとんど見えないですけど(笑)。

—— 名前の由来は?

山﨑 ウサギだから耳ということで美々。菜々野はウサギが草を食べるからです。

江城 もうそのまんまです。

—— 2話つながりで、せっかくなので被害者のMr.メンヨーについても、名前の由来をお聞かせいただけますか?

山﨑 面妖なっていう、不思議で怪しげな意味から来ています。

江城 こちらも直球です。


科学捜査官
宝月 茜

江城 彼女も結構久しぶりの登場です。

布施 山﨑念願の…

山﨑 科学捜査官! やっと叶えてあげられました。茜はそういった思いからこの形になっています。デザイン的にはパッと見で科学捜査官になったのがわかるようにしたかったので、布施のほうからもアイデアをもらったんです。

布施 『逆転4』からデザインを変えるのは違うだろうなと思っていたんですが、そこに加えて山﨑の言うパッと見たときに科学捜査官になったのがわかるデザインということで腕章を付けました。そこに要素を集約した形ですね。

—— 「かりんとうとはお別れした」とか言うから悲しくなっちゃいました。

山﨑 がっかりしたでしょ?

—— ええ。でも山﨑さんの手のひらの上で踊らされているのはわかりました。

江城 なんも言えないですけど、裏切らないとだけ言っておきます。

茜は現場の捜査を担当。指紋検出など、王泥喜たちに協力してくれる


名物プロデューサー
志乃山 金成

山﨑 名前の由来は山師のプロデューサーということで、業界人っぽく前後を入れ替えました。山師の、ヤマシノ、シノヤマと。

—— なるほど!

山﨑 業界人感をすごく出したかったので、前後を逆にして、氏名も逆にしているんですね。恰好つけているのに逆にしたことで悪いことになっているという。金成のほうも上下逆にすると成金になると。

江城 (2人を見ながら)プロデューサーは金にものを言わせてると思ってるんですよ。「シクヨロ−」って言って。

布施 ええ。僕の考えるプロデューサー像が火を吹きました。

—— 2人から見たプロデューサー像。

山﨑 まさに。だから(江城さんを見ながら)一瞬、腰にチェーンを付けようかと思ったんですよ。

江城 完全に俺のことディスってるよな!

一同 (笑)

—— ひと昔前のよくあるプロデューサー像ですよね。

布施 そうですね。ちょっと古い時代のテレビに出てきそうなイメージです。

山﨑 カーディガンをかけて、素足に革靴という典型的な。

布施 本人はカッコイイと思っているんですけどね。

山﨑 ただ、その時代感が結構『逆転』シリーズには合うというのがあって。

布施 そうなんです。こいつだけの話ではなくて、全体的な話なんですけども。

—— たしかにそうですね。

布施 あと、コーヒーにもこだわりがあります。

山﨑 シアトル系コーヒーを常に飲んでいるみたいな。

布施 なんか恰好つけている感を出したかったんです。だから、そういう記号でとにかく固めたのがヤマシノPです。

—— でも持っているスマホはちゃんとフリック操作をしてましたよ。

山﨑 ほら、そういうのはできないと恰好つかないから。って、すごいところまで見てますね(笑)。


第3話 逆転の儀式 より

悲劇の未亡人
サーラ・アータム

山﨑 夫は、第3話の被害者であるマルメル・アータムさんです。

—— つまり名前の由来は…

山﨑 丸めた頭とサラサラの頭…

江城 これも直球です。

一同 (笑)

山﨑 キャラは未亡人というところから始まっています。

—— 第3話の被害者が夫というのが決まっていて、そこからつくられたキャラクターであると。

布施 というより、未亡人キャラをつくろうというのが最初から決まっていました。

—— 動きをすごく言いたいし聞きたいのですが、発売前のこのタイミングだとなかなか難しいですね。

山﨑 僕らも言いたいんですけどねー。ちなみにあの動きは最初はどうかなと思ったんですけど、おもしろいからいいやって。

—— 伏せながら進めますが、あのギミックはどうやって思いついたんですか?

布施 デザインと同時進行だったんですけど、シナリオ面では「夫が大好きだ!」というのがまずあったので、遺影を持たせるところから考え始めました。

江城 常に旦那と一緒にいたいんですよ。

布施 そういう流れから、あのギミックにたどり着いたんです。

山﨑 言えないのがツライ!

—— そこは読者さんに雰囲気で感じとってもらいましょう。もうこれ、ネタバレ解禁インタビューもやりましょうね!

山﨑 ぜひやりましょう(笑)。

遺影に話しかけ相談する。夫の声が聞こえる気がするらしい


謎が謎を呼ぶ謎の男
ナナシーノ・ ゴンビェ(仮)

山﨑 名前の由来も含めて、こいつ自体が触れにくいキャラです(笑)。

江城 まだね。簡単に言うと、のらりくらりとして謎のトカゲを食べる男です。

—— トカゲを食べる演出がありますよね。ドブトカゲでしたっけ? あれおいしいんですか?

山﨑 すごく食べてますからね、おいしいんでしょう。

—— しかし、いいキャラでした。聞けないなら、感想を言ってもいいですか?

山﨑 どうぞどうぞ。

—— 『逆転』シリーズ史上、こんなに簡単に崩せる証人っていないんじゃって。

山﨑 そうですよねー。証言がねー。

一同 (笑)

—— また彼には決めポーズがありますが、あれはどうやって決めたんでしょうか?

山﨑 決めポーズが欲しいよねという話になって、最初はみんなで考えていたんですけどなかなか決まらず。それこそ持ち帰りの仕事になるぐらい悩みました。そうしたら、企画担当ががっつり考えてきてくれて。

布施 「こうだ!」って、ビシッと実演してくれました(笑)。

江城 あのちょいダサイ感じがいいよな。

布施 そこを狙っていたんですけど、決め感はあるけどダサイっていうのはなかなか難しかったです。

謎の決めポーズをするすべてが謎の男


クライン王国の法務大臣
インガ・カルクール・クライン

山﨑 名前の由来は因果応報からです。

—— ミドルネームにはどんな意味が?

山﨑 法曹界を操っている人間なので繰るという意味になります。

江城 この人はデザインも含めて、圧倒的に悪い感じですよね。

—— 発注もそんな感じで?

山﨑 悪そうという直球でお願いしました。

布施 やっぱりクライン王国は敵に見えてほしいという部分があったので、エラい人たちが怖そうだというふうにしたかったんです。

山﨑 法廷のシステムが悪いというのは、それを作っている人間が悪いからだと。

布施 法を作っている法務大臣がこれかよ! っていう。

—— ほかに、現時点で何か話せることはありますか?

山﨑 うーん。マントを止めている部分に大臣と書いてあるとか?

布施 そう見えるだけです(笑)。

江城 あとは……。あ、これもまだ言えないやつか。

—— 今回、言えないやつ多すぎです。

江城 イエナイ・ヤーツ。新キャラ誕生です。

一同 (笑)

もちろん異国の弁護士・成歩堂のこともよく思っていない


触ってわかった集大成たる理由(全体編)はこちら


関連リンク
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