Nintendo Switch版『逆転裁判123』発売記念!ディレクター巧 舟さん×キャラクターデザイナー岩元辰郎さん特別対談

カプコンから2月21日に発売されたNintendo Switch版『逆転裁判123 成歩堂セレクション』(以下『逆転裁判123』)のリリースを記念して、17年前にゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』『逆転裁判2』『逆転裁判3』を手掛けた巧 舟さんと岩元辰郎さんの特別対談を、ニンテンドードリーム4月号(2月21日発売)との連動企画でお送りします。
本誌のみに掲載している情報もありますので、あわせて手にとっていただければと思います。

(NDW×ニンテンドードリーム4月号 連動企画)

・本対談は本編シナリオの内容に触れており、少しだけネタバレの内容があります。未クリアの人はプレイ後にご覧ください。


巧 舟さん(写真右)
カプコン所属のゲームデザイナー。『逆転裁判』~『逆転裁判3』では企画・脚本・監督・成歩堂の声を担当。読売テレビ・日本テレビ系で放送中のアニメ『逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~Season 2』の監修なども行っている
Twitter:takumi_gt

岩元辰郎さん(写真左)
フリーのキャラデザイナー。カプコン在籍時にゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』~『逆転裁判3』のデザイン・原画・御剣の声を担当。カプコン退社後はフリーの立場から『逆転裁判』シリーズや『逆転検事』シリーズのイラストを多数手がけている
Twitter:iwamoto_tatsuro

Nintendo Switch版『逆転裁判』

オリジナル版を手掛けた2人が語る成歩堂三部作の思い出

―― この対談は2019年1月23日に行っています。そんな本日は…。

 ちょうど15年前にゲームボーイアドバンスで『逆転裁判3』が発売された日なんですよね。制作当時は、15年で時効が成立する時代で、初代『逆転裁判』(以下『逆転裁判1』)の物語は発売した2001年の15年後という設定になったんです。今はまさに、『逆転裁判3』の最終話の事件に向けて事態が進行中で、そんな時期に『逆転裁判123』が発売されるなんて、なんだか運命的ですね(笑)。

―― 『逆転裁判』が最初に発売されたのが2001年10月12日でしたね。発売日当日のことって何か覚えていますか?

 ゲームショップを見に行きましたよ。

岩元 僕も。量販店を3軒ぐらい回って1本ずつ買ってました。

一同 (笑)

ゲームボーイアドバンス版『逆転裁判』

岩元 生まれて初めて自分が作ったゲームでしたしね。あと、ゲーム雑誌に情報が載ると、僕が描いた梅世とかが掲載されたのですが、僕が描いた絵が生まれて初めて印刷されて雑誌に載ったのは感動しました。巧さんはベテランで慣れていたでしょうけど(笑)。

 いやいや。そのへんは変わらないよ。自分のゲームという意味では『逆転裁判』が初めてだったし。

―― 『逆転裁判』のタイトルが決まった時のお話も聞かせてください。

 企画当初、僕は『サバイバン』(※1)というタイトルを用意してました。「サバイバル」な「裁判」ということで。

※1 『逆転裁判1』の企画書は最初『サバイバン』という名称でした

岩元 僕も『サバイバン』で慣れていましたね。

 でも、開発も終盤になった頃、僕たちの一番偉い上司の方から「そろそろタイトル決めようか」って言われて。「じゃあ『サバイバン』で」と言えるムードではなかった。周囲から「なんのゲームがわからない」と言われてたし。僕としてはそれが狙いで、最初は聞きおぼえのない『サバイバン』が、いつしか世間に浸透していく、みたいな図式を思い描いていたんだけど。最終的にみんなで集まってホワイトボードを囲んで話し合ったとき、さっきの偉い上司の方が「巧、ちょっと『逆転裁判』って書いてみてくれ」と。それで決まったという。

岩元 僕は『サバイバン』派でした。何がいいのかって理由は覚えていないのですが(笑)。

 ありがとう(笑)。チームではけっこう長くそれでやってたから、最初は違和感があったかも。今になってみれば、『逆転裁判』というタイトルのすごさは身にしみるよね。カタカナや英語のタイトルが多いゲームの中で、あえて漢字四文字。しかも、一発でゲーム内容と面白さのポイントが伝わるという、「これしかない」タイトルだと思う。なにしろ「逆転」する「裁判」だもんね。

『逆転裁判123 成歩堂セレクション』タイトル画面

岩元 裁判もののドラマのセリフとかでも『逆転』ってよく出てきますよね。

 うん。セリフだけじゃなく、新聞とかで全然関係ないニュースの見出しでも『逆転』って字面が目に入ると敏感に反応しちゃう。一生背負う十字架だろうね(笑)。

一同 (笑)

 あとすごく嬉しいのが、『逆転裁判』とあわせてゲーム機本体を一緒に買う方を見たとき。1作目が発売された時は当然、無名だったわけだけど、『逆転裁判3』の頃は、ゲーム機ごと買ってくれる方をそれなりに見かけるようになって。そこまでして遊ぶ価値があると思ってくれたということで、感激の目で眺めていました。相変わらず発売日はゲームショップに出没してましたから。

岩元 当時『逆転裁判3』で終わりって言ってましたけど、『逆転裁判1』が完成したときもこれで終わりって思ってましたもんね。開発が終わって「じゃあ巧さん、いつかまた!」みたいな気持ちでしたし。

―― 『逆転裁判』が3年連続で新作が立て続けに遊べたのは、ファンにとってすごい幸せな時代でした。

岩元 今、そのペースで作るのって、たぶん無理ですよね?

 とにかく、信じられないスピード感だったね。もちろん、最近の高性能で大容量のゲーム機と違って、シンプルなゲームボーイアドバンスというハードだったことも大きい。いろいろ制限があって、単純に今の膨大な作業量の開発とは比べることはできないけど。たとえば、グラフィックをすべてカラーにするとデータ量が大きすぎるので、証拠写真や回想シーンをモノクロにして容量をかせいだり、そんな工夫が要求された時代だったね。

―― それは何作目のお話ですか?

 1作目からそうですね。データ容量を圧縮するために、あの手この手の工夫をしました。

岩元 巧さんとプログラマーの方がたいへんな思いをしていましたね(笑)。

 当初は漢字の文字数も制限されていたね。『逆転裁判』はよく「カタカナの使い方が特徴的」って言われるけど、若干、その影響があったかもしれない。

―― 収録漢字の数を減らして容量を節約していたんですね。

 でも、その頃を経験しているから思うんですけど、『制限』って、もの作りにとって決してマイナスじゃないんですよね。そこで工夫することでプラスに変えるアイデアや表現が生まれることもあって、そこが作り手の腕の見せ所だと思います。

岩元 『逆転裁判1』の開発は、最初だからいろいろムチャをしてましたね(笑)。弁護席や検事席でカメラを振るために、わざわざ法廷を3Dモデルで作って動かしたり。…実はその法廷を作ったの、僕なんですけど!

―― そうだったんですか!

岩元 入社して3か月間の研修で学んだ3D技術で法廷を作って、カメラの動きをムービーで作ったんです。容量が異常に大きくなって…怒られましたね(笑)。

 カメラを振ったときの立体感にこだわってたんだよね。たとえば、証人席の後ろに旗が2本、前方に向かって突き出しているのは、カメラを振ったときダイナミックに見えるよう計算したデザインだったり。

岩元 それが『逆転裁判2』以降は、高速でスクロールする1枚絵に変更されました。

 ほとんど違和感がなくて、正直ショックだった(笑)。

一同 (笑)

 3Dムービーを使ったバージョンは、オリジナルのゲームボーイアドバンス版の『逆転裁判1』でしか見ることができないという。

岩元 そういえば。実は僕って、最初『逆転裁判2』に参加する予定はなかったんですよ。だからみんなとサーカスを見に行っていない。

 あれ。そうだったんだ!

―― 『逆転裁判2』の3話にサーカスのエピソードがありましたが、実際に見に行かれたのですね。

 はい。『逆転裁判2』の制作に入る前、親睦を深めるためにチームのみんなでサーカスを見に行ったんですよ。

岩元 その頃僕はゲームボーイアドバンス『グランボ』に携わり、そのあと別のタイトルを担当する予定でしたが、当時のプロデューサーから『逆転裁判2』のチームに行けって言われて。

 知らなかったなあ。

岩元 なので、僕は『逆転裁判2』の開発は遅れての参加でした。だからサーカスが羨ましかったです(笑)。

 でも、みんなで裁判を見に行った時はいたよね?

岩元 『逆転裁判1』のときですよね。それは僕も行きました。

 カプコンの近くに裁判所があって、制作に入る前、みんなで見に行って親睦を深めました(笑)。あのとき、岩元くんは傍聴席でスケッチしてたよね。

岩元 僕は学生時代に傍聴しに行ったことがあったので、絵を描いても怒られませんよと話した記憶があります。

 『逆転裁判3』の時は、最終話にとりかかる前に(和歌山県の)高野山に一泊二日の修行体験ツアーに行ったね。震えながら精進料理を食べて座禅を組んでっていう。その時プロデューサー陣は近くの温泉で美味しい料理をたのしんだという(笑)。

岩元 わざわざ僕たちに電話かけてきましたからね(笑)

 あのツアーも楽しかったね。意味があったかどうかはともかく。

一同 (笑)

 ベテランだとスケジュールの常識とかあるけど、当時の我々にはそういうのもなかったんだろうね。

岩元 …そうですね。だから、未だにあの時どうやってたのかが思い出せないですね(笑)。

 どうやってたのかな。

岩元 すごい大雑把に「ここまでの期間に出せ」って指示だけで、それをやれるかどうかは先輩の判断だったかなと思います。『逆転裁判』は、その先輩のグラフィックリーダー研修の一環でもあって、それなら新人スタッフを下に付けなくちゃってことで、僕がチームに配属された形だったと思います。

 『逆転裁判1』はそもそも、若手の育成ラインとして始まったからね。新人を集めて、短期間でゲームを作らせてみよう、というのがテーマでした。そこにたまたま選ばれたのが我々だったという。

岩元 カプコンもゲームボーイアドバンスのゲームを作ること自体が初めてでしたし、どれぐらいの期間で作れるかよくわかっていない状態だったのかも。巧さんはあの時って入社して何年目だったんですか?

 あの時は…6年目だったね。その前はプレイステーションの『ディノクライシス』という恐竜のゲームを2本作って、頑張ったご褒美として『逆転裁判』を作れることになったという。

岩元 巧さんは恐竜に興味あったんですか?

 申し訳ないけど、ぜんぜん知らなかった(笑)。最初、ティラノサウルスとヴェロキラプトルの見分けもつかなかったし。

岩元 その頃は20代でした?

 うん。『逆転裁判1』のシナリオを書き上げたのが、30歳の誕生日の数日後で。20代のうちに完成させる! というつもりだったけど、間に合わず。

登場キャラクターにまつわる開発エピソード

岩元 『逆転裁判2』のマックス・ギャラクティカが無限に出すトランプとかの無限メガネとか、ループモーションをずっと考えるのが好きでした(笑)。

 無限メガネ? ああ、パリンって割れて、また戻すやつ。僕は『逆転裁判2』の被害者、霧崎哲郎先生が好きだったなぁ。

岩元 あれは芸術的でしたね(笑)。何かやる度に眼鏡が下がってきて戻すやつ。

 会話モーションの最初に眼鏡を戻す動きを入れておくと、セリフの合間で何度も眼鏡をいじるというワザですね(笑)。

岩元 待機モーションの頭にも入れていましたから。あれは楽しかったですね(笑)。あとは…病院のおじいちゃんとかも。

 堀田クリニックの院長。自称だから院長じゃないけど。あいつ、どこの誰なんだ。

一同 (笑)

 『逆転裁判』はテキストを読むゲームなので、読んでいて眠くなってしまうのが一番怖いんだよね。現場を調べると証拠品が手に入るけど、何も手に入らない“ハズレ”もあるわけで。そのときのメッセージがつまらなかったら、調べること自体がイヤになってしまう。だから、ハズレのメッセージが面白いことは、アドベンチャーゲームにとって、とても重要だと思う。

岩元 わざわざ全部のハズレメッセージを探して読んでいる人もいますよね。僕はバグチェックの時に全部見ていましたよ(笑)。ハズレだから重要じゃないけど、大量にあるから書くのは手間がかかりますよね。

 そこはジレンマだね。「ハズレメッセージは他の人に任せたら」と言われたりするんだけど、決して軽く見てはいけない、本当に重要な部分だから。

―― ハシゴとキャタツ問題とか伝統になっていますよね(笑)。

岩元 あんな会話を入れたのは天才ですよ(笑)

 ああいうのは書いていて楽しいね(笑)。

―― 『逆転裁判』シリーズと言えば、個性的なライバル検事は欠かせませんよね。そのなかでも現時点で唯一の女性検事である狩魔冥について、お話を聞かせてください。

 『逆転裁判2』のラストで涙を流す印象的なシーンがあるよね。実はあれ、最初のシナリオでは存在していなかったんです。制作開始の段階でキャラクターの必要なアクションをリストアップするとき、こんな表情も必要かなと思って発注しておいたんだけど。いずれ泣くこともあるだろうと思ってたのに、なんだか泣きそびれたまま最後まで来てしまって。絵はよくできていたし、このまま使わなかったら岩元くんも泣くかもしれないと思って、急きょあのエピローグを作ったのです。

岩元 だからあの泣き顔はシナリオを読んで描いた絵ではないですよ。冥の年齢とか事前に聞いていたので、普通にツーッと泣くんじゃないだろうなぁと思って。ちょうど春美の泣いている表情を描くときに、泣き顔の研究をしていたんですよ。それで冥の泣き方はちょっと子供っぽい泣き方なんです(笑)。

―― そうだったんですか!

岩元 その結果、シナリオも相まってすごくいい感じになりました。奇跡ってあるんだなぁ(笑)。

ゲームとは違う仕掛けで魅せる「特別法廷」

―― 今ではすっかりファンおなじみとなった「特別法廷」についてもお話を聞いていきたいと思います。岩元さんはご覧になっていますか?

岩元 全てではありませんが、見ています。巧さんにこういう空っぽの会話を作らせたら天才だなぁっていつも思っていました(笑)。

 「空っぽ」って(笑)。

岩元 空っぽって言い方は誤解をまねきそうですが、巧さんの一番の才能はそこじゃないかとすら思ってます。

 僕の人間性が反映されているのかな(笑)。ちなみに最初の「特別法廷」は2005年の東京ゲームショウで公開したのですが、『逆転裁判 蘇る逆転』のPRのために作ったんです。ゲームボーイアドバンスSPの取説書なんかもネタにして。

―― 御剣がピンクのゲームボーイアドバンスSPを尻ポケットに入れていて、それが違法だって総ツッコミを受けてましたね(笑)。

 あれ、任天堂さんにシナリオを送って許可をもらってやってるからね(笑)。「特別法廷」は、意外に頭を使うけど、毎回が挑戦で楽しいかな。

岩元 「特別法廷」を見ていて、巧さんは『逆転裁判』を作るまでこういう才能を使っていないわけで、本人もその才能がわかっていなかったかもしれないんだよなぁって考えると、面白いなぁって思っていましたね。

 ありがとう。その前に『ディノクライシス』のシナリオを部分的に書かせてもらったけど、あれはあまり笑えないやつだもんね。

岩元 やっぱり、『逆転裁判』でバーンといったんだろうなぁと感じました。とにかく笑わせてもらった後、僕は『逆転裁判』の開発から離れてしまった時期があるので、当然寂しく思う時もありました。『逆転裁判』を作っていた頃は、『逆転裁判』の価値をわからなかったですし。

 そんなものかも。

岩元 カプコンは大きい会社ですから、入社した当時なんて社内には天才だらけなんだろうと思っていました。巧さんがどれだけすごい人だったとしても、そういう天才は何人もいるんだろうと思ったら…何人もはいないもんだなぁと(笑)。

 個性的な人の宝庫だったよね、カプコン(笑)。

岩元 離れてみて分かったのですが、なかなか巧さんみたいな人はいないですね。

 「特別法廷」は楽しいけど、前回と同じことはできないし、観てくれる人たちの期待度も上がってくるし、けっこう難しい。去年、東京ゲームショウ2018でやった「特別法廷2018」(※2)は、個人的にかなり傑作だと思います。イーカプコン限定版のDVDに収録されているので、ぜひ、みなさんに見ていただきたいです。

岩元 おお、「特別法廷」の最高傑作ですか!

 僕の中では、同じ限定版のために作ったドラマCD「逆転の裁判SHOW」と同じぐらい自信作です(笑)。

※2 イーカプコン限定リミテッド・エディションの特典DVDに収録

―― 「特別法廷2018」でゴドーのテーマに歌詞を作っちゃったのはすごいですよね。

 去年の4月、「逆転裁判オーケストラコンサート2018」があったのですが、そのステージで、ゲーム版の成歩堂を演じている声優の近藤孝行さんと御剣役の竹本英史さんのトークコーナーがあって。そこで竹本さんが「今度、ゴドーのテーマに歌詞をつけてみんなで歌いたいですね!」と冗談でおっしゃったんです。じゃあ歌ってもらおうじゃないか、と思ってあの「特別法廷」のシナリオを書いたという。

一同(笑)

 最初はどんな歌詞がいいのか見当もつかなかったのですが、ああなりました。

―― ちゃんとそれがストーリーに紐づいているところがさすがです。

 『逆転裁判』がミステリーである以上、絶対にゆずれない部分だし、それが書き手として僕の腕の見せ所ですよね(笑)。でも、ここまでくると、これはミステリーの『解決』なのかコントの「オチ」なのか、自分でもよくわからなくなっていますけど。でも、いつも観てくれるファンのみなさんも、きっとそこに期待しているのではないかと。

本編の物語を補完するTVアニメ「逆転裁判season2」
オリジナルエピソード

―― 放送中のアニメ『逆転裁判〜その「真実」、異議あり!〜 Season 2』ではオリジナルエピソードが3本オンエアされましたね。こちらについてもお話を聞かせてください。

 アニメは、企画の最初、全体構成を考える段階から脚本会議に参加しています。その最初の会議のとき、渡辺歩監督とシリーズ構成の冨岡淳広さんから「今期はオリジナルエピソードを増やす挑戦をしたい」とうかがったんです。それは面白い、ということで、今回、5話ぶんで3つのエピソードを作ったのですが、とても楽しかったです。「DL6号事件(※3)から数年後、御剣の中学生時代」「いつもの法廷を飛び出して裁判をする特別法廷」「春美と成歩堂の初めての珍道中」というキーワードやイメージが最初に挙げられて、そこから具体的な物語に作りあげていく感じですね。今期のメインは『逆転裁判3』なので、オリジナルエピソードも、すべてその大きな物語を補完するような内容になるよう考えました。おかげで、ぼくにとっても物語を深めるいい機会になりましたし、実際、よいものになっていると思います。先日、最後のオリジナル「逆転の潮騒が聞こえる」(※4)も放送されましたが、どれも愛着がありますね。

岩元 この対談が掲載される頃は、かなりクライマックスですよね!

―― 配信サービスでなら、今までのお話がいつでも見られますし!

 アニメはやっぱり視聴率がとても大事なので、よかったらリアルタイムで見てほしいですね。…って、「お前、どの立場だよ」って感じですが、実際、一緒にずっと作っていると、勝手に強い仲間意識を感じちゃいますね(笑)。それはアニメに限らず、舞台などでも同じ感覚です。

岩元 それはもうわが子同然ですね(笑)。

※3 『逆転裁判1』の4話で語られる重要な事件。
※4 大切な思い出の貝を壊してしまった春美のために、成歩堂が新しい貝を探すエピソード

現実にも広がる『逆転裁判』の世界

 最初に『逆転裁判』を扱っていただいたのは宝塚歌劇でしたね。第1作が2009の2月だから、ちょうど10年前。

岩元 ニンテンドーDSで『逆転裁判4』が出た後ですよね? いま振り返ってもすごいよなぁ…。

 その後、2012年に実写映画が公開されて、その次の年からは現在までつながる舞台のプロジェクトも始まって。

岩元 巧さん、映画にゲストで出演してましたよね?(笑)

 なんだか一瞬、傍聴席で見かけたね(笑)。とにかく、幸せなことに、『逆転裁判』はこれまでいろいろな形のプロジェクトがあって、ぼくも実際にそれに関わる機会もあって。そこでいつも思うのは、本当に、すべてのプロジェクトは一期一会だということ。時期やスタッフやスケジュールやその他もろもろ、いろんな事情や条件が奇跡的にピッタリ重なって走り出す。それ自体が奇跡的なことなんだと感じるね。

岩元 宝塚はすごかったですね。うわーってなりましたもん。

 僕、初日で観て泣いちゃったからね。でも、東京の千秋楽の舞台は観られなかった。カプコンは大阪だから。

岩元 東京にいる僕はシッカリ観ましたよ(笑)。あの後、宝塚ファンと『逆転裁判』ファンで、お互いに異文化交流があったみたいですね。

 宝塚ファンの方が『逆転裁判』を遊ぶきっかけになったり、その逆のことがあったみたいだね。僕自身も、『逆転』の世界の新しい広がりを感じて、インパクトがあった。

岩元 僕はただ羨ましかったですね。『逆転裁判3』が終わったとき、「これで終わりだね。次は別のタイトルで」って言ってたじゃん、って。それもあってカプコンを辞めたってのもあるのに(笑)。もちろん、理由はそれだけじゃないですけどね。

 どんな理由だったんだろ(笑)。

岩元 とにかく、作ったものが高く評価されているのは誇らしかったですが、その場にいてみたかった、というのはありましたね。

 でも、その後も『逆転』シリーズに参加してくれてたよね?

岩元 『逆転裁判4』の制作は最後に少しだけ参加させていただきました。その後『逆転検事』ですね。『逆転裁判3』が終わった時、いまの展開はありえないと思っていました。

 本当に、ありえなかったよね。

岩元 「いいなぁ」という気持ちと「幸せだなぁ」という気持ちが入り混じっていますね。

 みなさんが求めてくれるから、なるほどくんたちは今も存在し続けられる。『逆転裁判1』で終わらなくて本当によかったね。

岩元 本当にそうですね。

最後はニンドリ恒例の質問!
最近食べた美味しかったものは?

 今から2日前に舞台「逆転裁判 -逆転のGOLD MEDAL-」が終了して、その打ち上げでスタッフ、キャストのみなさんといただいた食事です。何を食べたか全く覚えてませんが、最高に嬉しかったです!

岩元 僕は舞台の際に差し入れで頂いた「おいなりさん」です(笑)。


ニンドリ4月号では、『逆転裁判 蘇る逆転』『逆転裁判2』『逆転裁判3』のゲーム内容や、「コレクターズ・パッケージ」に同梱されるサントラCDの岩元さん描き下ろしイラストに関するお話を掲載しています。こちらもぜひチェックしてくださいね。


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逆転裁判123 成歩堂セレクション 公式サイト

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