考察『BotW』の世界「ハイラル城はなぜ陥落したのか」(2018年3月号より)

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今回はとことんハイラル城に迫る!! 本作のハイラル城は、洋のような、和のような、
変わった作りとなっている。そして過去のインタビューCEDECの講義では、開発中に「姫路城」を仮に置いていたことが明かされている。
そこで、城のプロフェッショナルに本作のハイラル城をリアルに分析してもらった。戦術面においては、どのような作りをしているのか? もちろん、魔物の脅威から守るべきハイラルにおいては現実的な分析だけですべてを語るわけにはいかないが、建設時や襲撃時の様子を想像できるに違いない。

解説・執筆:エンプティみかめ
お城の事を考える集団「TEAMナワバリング」の下っ端。『BotW』クリア後は魔物の基地やハイリア人の砦・お城について考察する日々。厄災ガノンはイレギュラーすぎて戦術のセオリーを崩してくるけど、リンクの戦闘力も大概だゾ!

・記事は修正している箇所もありますが、基本は掲載時と同じものになります。
・ネタバレも含んでいる場合があります。

美しさと強さを併せ持つ、天然の要害で守られた城

まずはハイラル城の立地を見ていこう。ハイラル城はラネール地方から流れ込む川を天然の水堀として利用した、断崖絶壁の上に立つお城だ。東はハイラル森林公園が、西は監獄跡がワンクッションとなり、容易く近寄ることができない。北は川を挟んで両サイドが断崖絶壁となっているため、普通の人間が攻め込むのは不可能だ。そのため広い平野に面した南側に城下町が展開されている。当然、敵が大軍を展開するのも南側以外にはありえない。だから城下町ごと城壁で囲み、外敵から守る構造になっているのだ。有事の際には城下の住民は城に逃げ込むことができる。元の地形を活かして弱点をカバーしたハイラル城の立地は、これ以上ないほど最高であると言えそうだ。次にハイラル城の構造を見ていこう。ハイラル城は主にその役割によって2つの構成に分けることができる。英傑叙任式が行われた上層エリア、そして攻めてきた敵を撃退するための下層エリアだ。上層エリアは謁見の間があり、主に祭事に使う。また遠くからでもその荘厳さが一目でわかる「ハイラルの象徴」としての役割がある。一方、下層エリアはかなり計算された軍事的構造を有している。


城の北側は攻める気もなくなる天然の要害! リンクをもってしても、リーバルの猛り(リーバルトルネード)頼みだね

絶対に本丸には行かせない! ヤル気満々の工夫を見よ!

では実際に下層エリアがどのような構造をしているか追っていこう。まずはハイラル城の外壁に注目。外壁には【図1】の通り7か所に物見櫓が設置されており、城外を監視できるようになっている。そして【図2】の射界が示す通り、周囲への警戒に抜かりはない。そうなると敵が攻め込むことができるのは南側の門だけになる。

ここからは攻め手側の視点でみていこう。ハイラル城攻めの第一の関門は【図2】の①分厚くて大きな城門だ。こじ開けるには破城槌のような道具と多くの人員が必要になる(リンクはマグネキャッチで開けられたけどね)。もちろんその間にも城門の上から矢でバンバン狙われるから覚悟が必要だ。


素早く城門を開けないと上から矢を射かけられてしまう

第二の関門は【図2】の②三の丸手前のヘアピンカーブだ。ここは外側の城壁と内側の崖に挟まれた谷になっている。つまり両サイドの高い位置からまたもや矢でガンガン狙われるというわけ。しかもカーブの頂点にある櫓からも狙われるので、三方向を気にしなければならない。走って通過しようにもカーブした坂道だから速度を出すことができない。しかも道沿いには訓練場に通じる出入口があり、ここから城兵が繰り出される。また、たとえ大軍で攻めこんだとしても道幅が狭いため一度に多くの兵が攻め込むことができず、前の兵から順番に倒されることになる。少々エグい言い方だが、後から攻める兵は死体の山を越えていかなければならないというわけだ。こうして命からがらヘアピンカーブを越えても、その先にある三の丸の上からも矢を射かけられ…!第二の関門にして最大の難所。両サイドの壁の上、そして奥の櫓の3方向から狙われる

第二の関門を突破すると第三の関門、【図2】の③三の丸・二の丸が見えてくる。どちらも円形の施設で、言葉のニュアンスから城兵の待機場所として考えるのが妥当のように感じる。だが、道のど真ん中に攻めてくださいと言わんばかりにあるのがどうにも解せない。思うにここは敵を囲い込むためのエリアで、上部には弓兵が多数配置され、敵が入ったら360度方向から矢を射かける仕組みになっていたのではないだろうか。しかも二の丸は出口が90度右に折れているので、方向転換しているうちに狙われてしまう。リンクも閉じ込められてライネル相手にかなり苦戦したことだし、かなりエグい施設と言えるだろう。


ある程度の兵を誘い込み、閉じ込めて一網打尽にしたのかも。まさに袋の鼠状態だ

この三の丸と二の丸の間には二の丸に向かう道とハイラル城の西を迂回する道がある。西側には城内に通じる出入口がいくつかあるので、兵を分けて西の道を進むのもありかもしれない。しかし西側は高い位置から狙撃できるポイントが多く、しかも城壁と城壁が階段で連結しているため増援が補充されやすい。まっすぐ道を進んだとしても遠回りするだけ。というわけで西の道は無視し、三の丸・二の丸を突破したと仮定し話を先に進めよう。その先には第四の関門、【図2】の④反時計回りに大きく円を描いた坂道が待っている。ここも②と基本構造は一緒だ。本丸を視界に捉えながら、なかなか近づくことができない。焦って進むうちに狙撃されてしまうというわけだ。

奇跡的に④を越えたならあとは⑤90度カーブを右に曲がるのみだ! 当初、筆者はここまで敵が攻め込むのは不可能であると想定し、ここを狙撃するポイントはないと考えていた。しかしこの記事を書くために再度確認したところ、ばっちり両サイドからガーディアンに狙われた。当然ここは城兵の配置ポイントになる。しかも、⑤は崖の下の広い空間を見渡せる絶好のエリアだった。つまり⑤も狙撃ポイントとして活用できるのではないだろうか。


ここまで来ればもう狙われないと思っていたのに…最後まで抜かりない!

最後に注目したいのは⑥ゼルダ姫の研究室だ。もともと見張り塔として使われていたと推測できるが、なぜ西にだけあるのだろうか。それは城門を突破した攻め手と城兵が最初に激突するのが西側だからだ。見張り塔からは②付近がよく見渡せるので、戦況をいち早く本丸に伝えることができる。もちろん狙撃ポイントとしても使えるぞ。西側の城壁は連結していると先に記したが、これは見張り塔から戦況を確認し、各持ち場に伝令を派遣する際にも役立つ。このように大変重要な役割を持つ見張り塔だが、長い平和の中でその役割は薄れ、ゼルダ姫の研究室として利用されるようになったのだろう。

坑道や船着き場は有事の際にどう機能したのか

厄災討伐のためハイラル城に攻め込むとき、ほとんどのプレイヤーは東西の坑道や北の船着き場から城内に侵入したのではないだろうか。もしハイラル城が大軍で取り囲まれたなら、おそらく坑道はあらかじめ封鎖しただろう。リンクが侵入口として利用できたのは厄災ガノンがハイラル城に突如として取り付き、封鎖する意味も時間もなかったからだ。一方の船着き場は攻め込むには難しい北にあり、岸壁の奥にあるため外から気付かれにくい。平時は日用品や食料などの物資を運んでいたと思われるが、有事の際には籠城するための兵糧をこっそり運び込む場として、さらに脱出経路として活用する予定だったと思われる。敵が絶対に攻めようと思わない北側に置いたのも納得だ。


外堀から入れる船着き場。城内へとつながっている

これだけ工夫を凝らしたハイラル城が落ちたのはなぜか

お城を守るときに注意しなければならないのは兵の数だ。武器や兵糧のことを考えると、多く集めればよいという話ではない。そこでお城に効率よく敵を倒すポイントを作り、限りある兵力で火力を集中させることが重要になってくる。

さて、もうおわかりいただけたと思うが、ハイラル城はそんな工夫が随所にちりばめられた、かなりヤル気のあるお城だ。多くのプレイヤーがハイラル城攻略に苦戦したと思うが、それは当然のことなのだ。しかし実際は落城してしまった。その理由はもちろん、敵が想定の攻撃ルートを取らないイレギュラーな存在・厄災ガノンであったからだ。さらにハイラル城を囲むようにして出現した5本の柱から飛び出したガーディアンも無視できない。厄災ガノンに操られたガーディアンは四方八方から攻め込んできた。せっかく立てた防衛プランは無に帰し、ハイラル城は無念の落城を果たしたのである。

結論
ハイラル城は強いお城の必須条件が揃った完璧な城。
でも相手が悪すぎた!!

※すべて編集部独自の考察です


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