『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ディレクター 桜井政博さんインタビュー1 SPECIALに込められた意味に迫る!

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『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下『スマブラSP』)。
発売から少し経ち、発売後の様子も含めてディレクターの桜井政博さんにお話を伺った。


大ボリュームの『スマブラSP』は、「Switchで『スマブラ』を出したい」という任天堂のオファーのもと、桜井さんを中心とするゲーム開発会社ソラとバンダイナムコスタジオの共同開発で制作されたもの。シリーズ5世代目となる。

発売前には「Nintendo Direct」の映像配信で桜井さん自ら『スマブラSP』をプレゼン。「私はいったいいつ休めるんでしょうね」とジョーク(?)を飛ばしながら、現在も追加ファイターの制作中だ。

そんな桜井さんにインタビューを行った、ニンテンドードリーム3月号の特集。
ここではその内容を(多少のアレンジを加え)数回に分けてお届けする。

桜井政博
1970年8月3日生まれ。ハル研究所在籍時代、『星のカービィ』シリーズや『スマブラ』シリーズを世に送り出したゲームデザイナー/ゲームディレクター。現在は自身の設立したゲーム開発会社、有限会社ソラの代表。

『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ディレクター 桜井政博さんインタビュー

その1:SPECIALに込められた意味に迫る!(2/15更新)
その2:新ファイターについて迫る!(2/17更新)
その3:そのほかの気になるところに迫る!(2/19更新)

その4〜?:スピリッツについて/桜井さんは休めたの? など
(2/21発売 ニンテンドードリーム4月号にて掲載、3月以降NDW掲載予定)

※インタビュー内容は18年12月25日(誌面掲載は19年1月21日)のものです


■初週500万本へ最速!反響もスペシャル

桜井
どうも、あけましておめでとうございます。

―― あけましておめでとうございます(笑)。そうですね、ニンドリ2019年最初の号になりますから、そこからですね。(編注:月刊誌の1月21日発売号)

…それではさっそくなのですが、『スマブラSP』発売後の状況を見てのご感想はいかがですか?

桜井
やっぱり、とてつもない反響ですよね。

特に本数は、これまでの任天堂の据え置き機の中では最速の初週500万本(世界累計売上本数)を突破したことも発表されました。

―― おめでとうございます。

桜井
ありがとうございます。

多くの人が遊んでくれているということもありますが、多くの人が関わっている作品でもあるんですよね。
スタッフもそうですが、何よりもそれぞれのキャラクターを作った人たち、あるいはそのファン、そういう人たちが少しずつ関わっている作品ですから。

それが特定のファンだけが遊ぶ嗜好性の偏ったものではなく、非常に多くの人が楽しめるものになったことが、非常にありがたいと思っています。

―― そういう手ごたえも、いつも以上に感じられたと。

桜井
反響等々についてはある程度皆さんもご存じかと思います。

Nintendo NYストアの『スマブラSP』発表時の映像などを見られた人もいると思いますが、「祭り」としては成功したんじゃないかと思っています。

とある山手線の駅の広告。駅によって違うファイターの組み合わせを見ることができ、発売が近くにつれワクワク感をつのらせた


1月末には、販売本数が、5週間で1000万本を超えたとの発表も!

―― それに、発売後もすでにいろいろな大会やイベントが行われていますね。それらを見てのご感想はいかがでしょうか。

桜井
自分はついつい運営側として、うまくいっているところと反省すべきところを見てしまうので、期待されているような答えにはならないかもしれませんが…。

そういうイベント等々については自分も監修に入ることもあるし意見をすることも多いので、どんどん洗練されていったらいいなと思いますね。
腕に関わりなくいろいろな人が遊べる本作の側面を伝えていければと思います。

―― 初心者も、プロの人もいっしょに楽しめるような大会を、と。

桜井
基本的にはそれを考えるのは任天堂さんですので、自分が舵取りをするわけではないのですが、自分としては全方位に手を伸ばしていければいいなと考えています。

―― ニンドリ読者には初心者とプロの中間層が多いと思うので、そこはぜひよろしくお願いしたいです。

桜井
中間層!?
わりとプロじゃないですかね(笑)。
熱量のある人が読む雑誌、という印象でしたけど。

―― それこそ攻略を求めるだけでなく、キャラクター愛や写真撮影なども含め全方位に熱量を注いで楽しんでいるのではと思います。

桜井
腕前という意味ではない強さですね。

ニンドリ本誌(1/21発売3月号)では、「全員参戦イラスト制作秘話(任天堂 中野祐輔さんQ&A)」「カメラモードのテクニック」「パックンフラワーの魅力に迫る」など、多方面から楽しむ記事を展開しています!

・・・

SPECIALに込められた意味と開発経緯

■『SPECIAL』制作の経緯と開発チーム

―― ファイターの「全員参戦」は発表時はすごいインパクトでしたが、全員参戦を決められたのは?

桜井
それは当然いちばん最初、企画書になった時点からです。制作の途中から「全員出すことにしよう」と決めるなんて、できませんから。

大きいプロジェクトというのは、大きいお金と人が動くということなので、計画の時点から崩しちゃいけません。

なので、最初からです。

―― 全員参戦は、タイトルに『SPECIAL』と付くだけの特別感だなと感じます。

桜井
制作という意味でも、本当に特別だと思っていますから。

海外ではアルティメット(ultimate)って言うんですけど、アルティメットという言葉は日本ではどうも受け入れられにくいので、あえて分けさせてもらいました。

―― (日本では)少しマニアックな印象が付くかもしれないですね。

桜井
「デラックス」もそうなんですけど、馴染みのある言葉にしたいというのがありました。

ただ、テレビの番組表などを見ていると「スペシャル」だらけで、使われ過ぎている言葉かなという気もしましたけれど(笑)。

「デラックス」は、すでに『スマブラ』は使ってますしね。デラックスの上を行くものといったら…。

―― 「スーパーデラックス」もありますけどね(笑)。いろいろな理由をすべて含めての『SPECIAL』であると。

桜井
自分もこの名前でよかったと思っています。「2」とか「3」でもないですし。

―― 開発スタッフの方は、前作から引き続き参加されているのでしょうか。

桜井
結果的に前作『スマブラfor』の経験者ではない方もいっぱい入ってきてはいますけれど、基本的にはバンダイナムコスタジオさんの『for』のメインメンバーがこぞって開発に関わっています。

―― 開発の雰囲気はいかがでしたか?

桜井
そうですね、「最初の説明が必要ない」ということは非常に楽ですね。

いちばん最初に『スマブラfor』を作り始めた時は、一から説明したり、資料を用意する必要がありました。

『for』を作っている時は『スマブラX』までしかないわけで、その時点で、『スマブラ』を作ったことが無いスタッフが、『X』から『for』へのビジョンを正確に持ち得るというのは、普通は無理じゃないですか。

延長線上というか、キャラクターが増えただけと思われるかもしれないですし。

そのいちばん最初の説明というのがおおむね必要ない状態で始められるのはよかったですね。

―― こなれた感じで制作することができたと。

桜井
人もそうですし、ツールもそうですね。前作の反省点をそのまま生かすことができました。

パラメータ1つを入力するツールにしても、昔に比べるとだいぶ洗練されているんです。同じことをやるにしても楽さが違うし、楽さが違えば多くこなせます。

―― 同じ問題を繰り返さずに済むわけですね。

桜井
ただそうは言っても、組み合わせは莫大なんです。
組み合わせというのは掛け算で、何かの要素が増えたら、増えた分だけ不具合が生じたりとか、デバッグが必要になるとかというのはありますね。

■ここが変わった!大乱闘のテンポ感

―― 今作の大乱闘は、過去作と比べてどのように調整されていますか?

桜井
ちょっとだけ、慣れてる人寄りにしたというのはありますね。3DSではある程度制限をかけていたところを、少しだけ緩和したというか。

『スマブラDX』ほどスピード感があるようにはしていませんけれど、ある程度はテンポ感のある対戦を楽しめるようにはしていますね。

―― 具体的にはどのような?

桜井
着地の隙が少なかったり、ジャンプのいちばん最初の溜めが少なかったり、アイテムの出る頻度だったり、最後の切りふだが5秒以内に終わるようになっていたり、勝利のファンファーレが短くなっていたり…といった点ですね。

―― 遊んでいて、いちばん気持ちいいテンポになっていると。

桜井
いや、それがそうとも言い切れないんです。自分が当時、『スマブラX』や『スマブラfor』のときのスピード感が適切だと思っているのは、「初心者が多い」という理由からでした。

今回ちょっと想定外だったのは、「思ったより売れた」ということです。売れた結果として、思っていたより初心者が多かった。

初めてプレイする人は、テンポがよくなった結果、考える時間の余地が短く、ポロッと落下しやすくなってしまうんです。

―― 初心者は、確かにそうかもしれませんね。

桜井
ただ『スマブラX』を玄人が1人でプレイして楽しいかというと、決してそうとも言い切れない。『スマブラDX』の速度感が恋しい人もいるのでは。

その辺りのさじ加減があった、ということです。

―― 今回はアドベンチャーでも「やさしい」を選べたりしますし。

桜井
「やさしい」でも大変…という人もいますけどね。
腕前を揃えることはできないし、今まで20年間やってきた人も、今日から始めましたという人もいるわけです。

その中でどのようなバランスが望ましいかということは、いろんな議論もあるだろうなと思われます。

ただ、ある程度の手ごたえがないと、スピリッツとかは面白くならないんです。

「何回やってもダメだ! だから、ちょっと後回しにしよう」という後ろ髪を引かれる感じや、「組み合わせを工夫したらカンタンだった!」という発見が、モノを集める遊びには不可欠なんじゃないでしょうか。

―― 歯ごたえのあるレジェンド級に勝てた時は、ものすごい達成感があります。

桜井
だけど、それも人によるんですよね。「ストレスがとにかくいや」という人もいるでしょうし。

―― 大乱闘だと、「チャージ切りふだ」がバンバン使えるのもうれしいシステムでした。

桜井
大ワザがどんどん出ると、やっぱり見ていて面白いですしね。

最後の切りふだの演出時間が短くなっているのも、チャージ切りふだを想定した仕様です。

―― とどめの一撃がスローになる演出も、メリハリがありますね。

桜井
あれは純粋に、あったら楽しいですよね。

『スマブラ』って本来は「ふっとばされて復帰できないところまで行ってしまい、がんばったけれども落ちる」というゲームだったはずなので、そういう場合は当然フィニッシュ演出は出ませんが、「気持ちよくふっとんで、楽しい」というのもゲームの幅の広さに一役買っていると思います。

■オンライン対戦事情

—— オンライン対戦の現状についてはいかがでしょう。
(編注:アップデート前、’18/12/25インタビュー、’19/1/21掲載)

桜井
今回は「VIPマッチ」がありまして、そこでのいろいろなものを見ていたりしますけど、モニター班や調整チーム等々から話に上がるのは「ネットの話はあまりあてにならない」ということですね。ネットで話が上がっているものは、あまり当たっていないそうです。VIPの勝率などから考えると、とっても強いと言われているファイターも案外そうでなかったり…。上に上がるような人は対策ができているということなんでしょうけど。

—— 追加ファイターもありますし。

桜井
そもそも、70体以上もいるファイターの組み合わせも考えなければなりませんし。大会で優勝しまくるファイターがいて、「このキャラ強いんじゃないか」と思ったら、その人だけが強かったというケースもあります。ただ、すべてがバランス優先になってしまうと面白くなくなってしまう、というのもあります。

—— それでもVIPマッチに上がっているような人は、どのファイターが強いか把握しているんでしょうか?

桜井
それは、必ずしもそうではないですね。分布については言えないですけど、ものすごく誰かに偏っているというわけでもないです。

—— まだまだ、強さの可能性を探している段階だと。

桜井
可能性を探し切ったと思っても、実際はそうじゃないということもあるんじゃないかと。

—— マッチングの仕様も変わりましたね。

桜井
今回は同期型通信を使っているので、回線が遅いと止まっちゃったりするんです。『スプラトゥーン』や『マリオカート』みたいに「自分の操作は確実にできるけど、周りが遅れる」ということはなくて、全部止まってしまう。なので世界戦闘力に加えて、とにかく通信距離の短さを優先するということになっています。これがどういうことかというと、つまり「地域性」が出る可能性があるんですよ。例えばの話ですけど、VIPルームで出てくる人出てくる人がシモンばかりだと「シモンが強いんじゃないか?」と感じますよね。けれども、離れている地域では全然別のトレンドになっているかもしれません。

—— なるほど、地域ごとに流行っているファイターが違っているかもしれないというのは面白いですね。

桜井
日本では近いユーザーが多いので、比較的そう感じにくいかもしれませんが。

—— 全国大会も楽しみです。

桜井
発売前の「Nintendo Live 2018」でも、勝ち抜いていくキャラクターがぜんぜん違っていましたよね。あれはなかなか面白かったです。

—— 新ファイターであるリヒターで勝ち抜いていく人もいましたし。

桜井
まだ発売されてもいないのに、という。最上位対戦も面白いけれど、みんなでわいわい楽しめる、というのがいちばんですよね。


次回「その2」は、新参戦ファイターについてのお話です!
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』インタビュー2 新ファイターの秘密に迫る!

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