エレキコミック今立進の「ファミコン カセッ党」|第3回1985年【ファミコン40周年記念コラム】

Nintendo公式YouTubeチャンネル「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」にも出演中のエレキコミック、今立 進(いまだち すすむ)さんのファミコン連載コラム第3回(実質は4回目)。今回は1985年へワープ!
そもそもファミコンとは? という方はこちらへ。

▼初めての方は自己紹介を兼ねた第0回からご覧ください!

第3回 ファミコンを語る上で欠かせない『スーパーマリオブラザーズ』が発売された1985年

どもっ、酔っ払った帰りにコンビニでカップアイスを買い、冷凍庫に入れるのを忘れて寝て、起きたら案の定、溶けていて……もったいないので、三々九度のように飲んでみたが何だか油分が強くて途中で断念したイマダチです。
何度かやっちゃってる失敗なんですが、再度凍らせても美味しさは戻ってこないので「覆水盆に返らず」同様「覆アイスもとに戻らず」ということを皆様にお伝えしておきます。

さて、無駄な話をしたところで、今回は1985年(昭和60年)イマダチ(以下ダチ)が小4のときのお話。

昭和60年は電電公社がNTT、日本専売公社がJTとなり民営化されたり、阪神が21年振りにセ・リーグ優勝、日本一になったり、国際科学技術博覧会「科学万博つくば’85」が開催された年。
昨日会った人の名前もおぼろげなのに、「つくば万博」のマスコットキャラクター「コスモ星丸」は今だに脳の引き出しの1段目に入っていて、すぐ出てくるんですから幼少期の記憶というのはスゴイですよね。
私も1段目には世界の歴史や名著の一説、化学式や微分積分などインテリな記憶を入れておきたかったんですが、若かりし日に粗大ごみで出してしまったのか、そもそも脳に入れていないのか、どこを探しても見当たらず、小4の記憶の棚を開けたら出てきたのは「ビックリマンチョコ」でした。

人気のシール付きお菓子で、発売は1977年と古く「どっきりシール」「まねまねシール」「まじゃりんこシール」と仕様を変えながら、この年1985年から始まったのが、現在に続く「悪魔VS天使シール」シリーズ。
当時1個30円と駄菓子価格でありながら、チョコとピーナッツを挟んだサクサクのウエハースが美味しく、これだけでもとを取れるレベルで、そこにシールが付いてくるんだからコスパ最強。しかもシールはランダムで、中にはヘッドやキラと呼ばれるレアなプリズムシールもあるってんだから、ウブな子供の収集欲と射幸心を煽りまくり大ヒット。
店では1人3個までに規制されたり、このあとシールだけ取ってチョコを捨てるという罰当たりな行為が頻発し問題になりますが、無料でお菓子が食べられると1円も持たずに駄菓子屋で待機する「チョコ待ち男子」(そんな呼び名はない)も少なからずいましたね。
夏休みの公園でけたたましいセミの鳴き声をバックに見た、捨てられたチョコが地面で溶けてそこに虫が群がる様は、ダリの溶けている時計を描いた「記憶の固執」と同じ脳の引き出しにしまっています……はっ! すみません、またファミコンと関係ないことを長々と書いてしまいました。

1985年はファミコンが……いや、日本のゲームが世界を席巻する起爆剤であり、今だにその凄さを誰もが語り合う『スーパーマリオブラザーズ』(以下『スーパーマリオ』)が発売された重要な年。

この年はファミコンブームに乗って、前年20本だった発売ソフトが69本と大幅に増え、多種多様なジャンルのゲームをプレイヤーが選べるようになりました。
任天堂で言えば『バルーンファイト』『アイスクライマー』『サッカー』『レッキングクルー』などが、『スーパーマリオ』の発売の数か月前に発売されました。これらは『マリオブラザーズ』から続く、協力プレイもできるが、どちらが相手を先にゲームオーバーにするかという、対戦的な楽しみ方もできる幅の広さがあり、小学生を楽しませ、時に泣かせ、時に絶交状態(もって2日だが)にしていました。

『スーパーマリオブラザーズ』……今さら説明する必要もないですね
1985年には周辺機器「ファミリーコンピュータ ロボット」も発売されています。実際に動いている様子が「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」 第8回で観られます

家にファミコンはなし……ではどうやって遊ぶ?

小4のダチもテレビCMや持っている友達の話からゲーム熱がどんどん高まっていましたが、家にファミコンはなし。では、どうしていたかというと、持っているヤツの家に泊まりに行く!

ここで当時の私の置かれていた状況についてお話しておきますと、私、とくにそれ用に勉強していなかったんですが、お受験をして何の手違いか合格して、私立の小学校に通っておりました。
我が家は決して裕福ではなく、小4まで風呂なしのアパートに家族3人で住み、幼少期には2層式洗濯機(洗濯槽と脱水槽の2つに分かれてるもの)にお湯を入れ、お風呂代わりに入るような生活でした(入るの楽しかったけど)。
その後、大学で相方やついいちろうと出会い、その話をしたら「俺もだよ」と言われ意気投合したのですが、それはまた別の話。

通っていた学校は都心から少し離れていて、私が当時住んでいた「世田谷代田」(下北沢の隣駅)から毎日、電車で乗り継ぎ片道90分かけて通っていました。クラスのみんなも住んでいる場所はバラバラなので、放課後に遊ぶと言っても遠くて、家などには行けないため、土日に遊んだり、泊まりに行くのが主流でした。

その頃よく行っていたのが、高井戸のまーちゃん家。まーちゃん家は立派な2階建ての家に加え、キャッチボールができるぐらいの大きさの庭に犬と車という、子供ながらに「こりゃ金持ってるなー」と感じましたね。これで嫌なヤツなら「金持ちだからってナメやがってーー!」と、恨み節の1つでも吐いて私の性根も腐ろうもんですが、みんなに優しいんだからこちらとしては全面降伏。
そもそも金持ちって余裕があるから、性格良いんですよねー(個人の感想)。

そんな、まーちゃん家にファミコンがあるのは必然で、そこでやったのが『スターフォース』。1984年にテーカン(後のテクモ)で開発され、ハドソンがファミコンに移植した縦スクロールシューティングゲーム。
抜群の爽快感と弾避けの楽しさ、緊張感あるBGMにミスしたときの爆発からの無音、パーサーを取ったときの万能感、数々のボーナスや隠し要素、スコアアタックの楽しさ、などなど一気に魅了されました。

ある週末、その日もまーちゃん家に泊まり、ファミコンで遊んで就寝。
しかし、まーちゃんファミリーが寝静まった深夜。
寝ずに犯行を計画する者がいた……その名はダチ。
ふだんファミコンで遊べない彼にとって、数時間のゲームは劇薬。
彼の頭の中では、先程まで遊んだ『スパルタンX』(任天堂)の音声合成「アチョアチョアチョー、ハッ!ハッ!ハッ!」と、Mr.Xの笑い声「アッハハハ、ハハハ(音程下がる)」が鳴り響き、『いっき』(サンソフト)では、あそこで使えない「竹やり」を取らなければクリアできたのでは? と自問し、『スーパーマリオ』の4-1のジュゲムは高いところで倒せたらトゲゾーの危険もなくなるのでは? と。あぁ試したい……やりたい……という衝動を抑える間もなく体は動いていました。

まずは、誰かに見られても言いわけができるようにトイレを装い部屋を出て、誰も起きていないことを確認。それから、寝ていた2階からファミコンのある1階の居間に向かうため、階段を『カラテカ』(ソフトプロ)で十字ボタンの下を押したような「構え」の姿勢で歩くように、音を出さず慎重に降りていきます。
居間に到着すると、幸いファミコンは出しっぱなしでカセットには『スターフォース』。

テレビの電源を入れ、鳴り響く砂嵐(ホワイトノイズ)の音にビビり音量を0に下げ、ブラウン管の光を全身に浴びながら背徳のプレイ開始。
無音でやるゲームのBGMは、私のコントローラ操作の音だけ。何より誰かに見つかるんじゃないか? という恐怖で、気が気でなく即ゲームオーバー。カセットを変える度胸もなく、数分プレイしてすぐに寝床に戻りましたが、満足して寝たのを覚えています。

しかし、1週間の大半を過ごす我が家にファミコンはなし……その穴を埋めたのが「ファミマガ」こと「ファミリーコンピュータ Magazine」(徳間書店)。この年の7月に創刊された初のファミコン専門誌を、本体もないのに買ってもらい、穴が空くほど熟読。親に魅力を説明したり、ファミコンの絵を書いたり、まーちゃん家で遊んだ『スーパーマリオ』の面を思い出しては紙に起こし、鉛筆を弾いてアナログスーパーマリオをやったりと平日は座学、週末は実践という日々を送っていました。

ファミリーコンピュータMagazine 創刊号。ニンテンドードリームの前身雑誌のひとつです
創刊号の目次。今回のコラムに登場する『スターフォース』と『スパルタンX』の2大特集号!
『スパルタンX』
手書きマップの『スターフォース』

そんな努力も虚しく(勉強しろ)、この年も我が家にファミコンが来訪することはありませんでした。
おいおい、今年もかよ! とお思いの方も多いと思いますが、本体は来年買ってもらいます。とくに劇的なことがあって買ってもらった記憶はないので、先に言っておきます。来月の記事で本体購入の際におもしろエピソードが書かれていたら、捏造だと思って下さい(w

次回1986年は、とうとうダチ家にファミコンがやってきて、ダチ少年はファミコンガチ勢に成長していきます。
この年は安価でゲームを書き換えられる新機器「ディスクシステム」も発売され、まだまだ勢いが止まらない「ファミリーコンピュータ」! 
さて、どうなることやら、続きはBACK TO THE Next Year


今立 進(いまだち すすむ)
お笑いコンビ「エレキコミック」のツッコミ担当。
毎週土曜日25時、TBSラジオ「エレ片のケツビ!」、Nintendo公式YouTubeチャンネル「ファミコントークショップ コバヤシ玩具店」ほか、多数出演中。
ニンテンドードリーム本誌にて「イマダチススムのダウンロー堂」を連載中。▶︎ニンテンドードリーム刊行案内

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※画像は任天堂のサイトより引用しています。

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