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マリオ、ゼルダ、DQX…キャベツ!? 漫画家の山田孝太郎さんとゲームの話をする会

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「想像を膨らませて、それで漫画家になったのかもしれないです」

りふぁ:
そもそも、宮本さんのサインを自慢げに持ってこられたのは驚きました。…山田孝太郎先生といえば、現在ニンドリ読者的には「ファイアーエムブレム(以下FE)』でおなじみ、という感じだと思うんです。
山田:
はい、最近ではTCG「FE0(サイファ)」にスマホアプリ「FE ヒーローズ」と、描いたキャラの数もかなり多くなりました。
りふぁ:
そういうなかでご縁ができましたが、実は私が印象深かったのは、「山田先生がニンドリを、『ドラゴンクエストⅩ(以下DQX)』のインタビューを読んでくれている!?」っていうことをTwitterで知ったときでして。

参考記事 『ドラゴンクエストⅩ』オールインワン パッケージVer.1-Ver.4が7月26日発売
山田:
『DQX』は、今はなかなか時間がなくなってしまいましたけど、バージョン3くらいまで結構遊んでいたんです。バージョン2のセレドのお話とか好きでしたね。
りふぁ:
『DQX』は、どんなところを楽しんでいたんですか?
山田:
ハウジングなどにハマってやってました。家具の配置とか、結構細かく自分の好きなように置けるのが楽しくて。テーマを考え工夫しだすと何時間でも遊んでいられちゃうんですよね。

※ハウジング=プレイヤーそれぞれが自分の家を持つことができ、家の外装・内装・庭をカスタマイズして楽しむ遊び

りふぁ:
家具を自分で作ったり?
山田:
作ってはいなかったんですけども。高い家具をフレンドさんから出産祝いでいただいたこともありましたね。
りふぁ:
すごい!
山田:
…あとは、深夜にキラキラ拾いをやったりとか。
りふぁ:
深夜(笑)。

※キラキラ拾い=フィールド上に落ちている素材を拾い集めること。落ちている場所がキラキラ表示されるためこう呼ばれる。キラキラの場所と拾える一定のアイテム、再度取得できるタイミングが決まっているため、欲しい素材を求めて拾いに行ったり、自分なりのルートや効率のよいルートを巡回したりする

山田:
頭をぼーっとさせる時間ってほしいんですよ。仕事のあとにぽけーっと。
りふぁ:
脳をリセットさせるためにも大事ですよね。でも、それがキラキラ集めとは…。ということは、素材をコツコツ集めて、コツコツ家具集めをして…みたいな楽しみ方だったんですね。
山田:
そうですね。コツコツレベルを上げるのも、もともと好きでしたし。昔『ドラゴンクエストIII』とか、1日1つレベルを上げるぞって、全部99とかにして。
あとはチームでのチャットとかも楽しかったですね。かんたんな挨拶、インのときの「こんばんは〜」とログアウト時の「またあした〜」だけでも。学校に通っていた時代のなにか懐かしい感覚のようなものを味わわせてもらえました。
でも『DQX』の場合は、コロシアムにこもっていた時間が一番長かったかもしれないです。
りふぁ:
えっ、コロシアムですか? ちょっと意外です。

※コロシアム=他のプレイヤーと対戦できる施設。原則4対4のパーティ同士で、制限時間5分間バトルをしてポイントを競う対人戦コンテンツ

山田:
ドキドキを味わいたかったんですよね。HP1ポイントが勝敗を左右するギリギリの戦い。戦況に応じて装備も変えていかないとですし、攻撃のタイミングも重要で。『DQIV』の戦闘曲で戦えるのがほんと燃えました。コロシアムは苦手だって人も多いと思いますが僕は大好きで、作っていただけて開発陣に感謝しかないです。
僕自身、PvP(対人戦)がわりと好きなのかな。『スプラトゥーン』も好きですし。
りふぁ:
ああ、コロシアムから『スプラトゥーン』へ、っていう(プレイヤーの)流れがあるんですね!
山田:
レートがあるものが好きなので、『テトリスDS』とかもずっとやっていましたね。「一番上のランクにいたい」というか、レートが落ちた自分が許せない!っていう変なプライドがあって。
りふぁ:
じゃあ、『スプラトゥーン2』で「ウデマエX」が解放されたときはどう思ったんですか?
山田:
これは楽しみが増えたぞと。目標ができて嬉しかったですね。

※ウデマエX=ガチルールにおける最高ランクであったウデマエS+を超える新たなウデマエとして追加されたもの

りふぁ:
…振り返ってみれば、『スプラトゥーン2』の発売時にはニンドリの企画として記念イラストを描き下ろしていただいてましたけど、ゲーム自体はそんなふうに楽しんでいたんですね!

※『スプラトゥーン2』記念イラスト=『スプラトゥーン2』の発売を記念し、プレイヤーである山田先生に、ニンドリ掲載用に描き下ろしていただいたファンアート。画集にも収録

山田:
フェスよりもガチマッチ勢なんです。
りふぁ:
そんなガチゲーマー寄りな山田さんにちょっと聞きたいんですが、ニンドリ『ドラゴンクエストⅩ』のインタビュー記事はアップデートの新情報と開発の裏話とがありましたけど、どんな部分に興味を持って読んでくださっていたんですか?
山田:
やっぱり絵を描いたり物作りをしたりという立場としては、ゲームを作っている人がどんなふうに考えているのか、というところですね。こうやったら面白いゲームになるんだ、とか。
りふぁ:
そこに興味をもっていただけるのは、届けるこちらとしては嬉しいですね。
山田:
あと僕、子供の頃はゲームを作りたかったのかもしれないです。それで、作っている会社や人にもともと興味があったのかも。
[『DQX』インタビューのアーカイブについても今後更新予定。どうぞお楽しみに!]
りふぁ:
もうひとつ印象深いこととして、昨年末にお話ししたときに、山田さんから『キャベツ』の話が出てきてびっくりしたんですよ。まさか、幻のN64ソフト『キャベツ』の話ができる人がいるとは…。『キャベツ』のことって、どのくらい覚えてます?
山田:
たいてい糸井重里さんが(誌面上で)語っていて、ずうっと新作スケジュールにラインナップされていたのに、結局画面すら出なかったソフト…と(笑)。ただ『キャベツ』って言葉だけが印象的でしたね。
りふぁ:
そうそう。まず「64ドリーム」でも読んでいないと知らないようなタイトルじゃないですか。

当時の誌面より


山田:
ゲーム雑誌が好きで、いろいろ読んでいたんです。特に子供の頃は何本もソフトを買ってもらうことができなかったんで、雑誌や攻略本を読んで、想像を膨らませていました。
りふぁ:
そうですよね。自分も、ソフトは持ってないけど攻略本だけ買ったゲームもありました。
山田:
攻略本だけ買うケースもありましたし、そういうところから想像を膨らませて、それで漫画家になったのかもしれないです(笑)。
りふぁ:
昔のゲームはとくに、想像することでより楽しめましたしね。
山田:
N64については、『スーパーマリオ64』がやりたくてすぐに本体を買ったんですけど、発売されるソフトの数が少なかったじゃないですか。ロンチが3本で、羽生さんの将棋ゲームがあったり。そのあと『ウェーブレース』があって。
※NINTENDO 64のロンチタイトル=『スーパーマリオ64』(任天堂)、『パイロットウイングス64』(任天堂)、そして『最強羽生将棋』(セタ)

りふぁ:
はい。雑誌にも将棋ゲームが大きく載ってたりとかして…今となっては懐かしいです。
山田:
…そんな状況だったから、雑誌を読んで想像するしかなかったのかもしれないです。今どんなソフトが開発されているんだろう…って、64ドリームはそういう飢餓感をもって読んでいました(笑)。
りふぁ:
飢餓感!(笑)
山田:
…なぜか妙に覚えてるのが、『テュロック』とか発売されなかった『レブリミット』とか『ジャングル大帝』とか。
りふぁ:
ロクヨンソフトって、1本1本に妙な威圧感がありましたよね。それで、なんとなく頭に残っていたりとか…。
山田:
そう、1本1本がすごかったですよね。
64DDも、いろんなことができる夢のようなマシンというイメージでした。思い返すとあの頃の哲学っていまのゲームに引き継がれている部分あるなと。
りふぁ:
64DDは…『タレントスタジオ』とか、今こそ出して欲しいような良いタイトルだと思うんですけど、そもそも64DD本体はふつうに買えませんでしたからね。サテラビューとかもそうですけど。

※64DD、タレントスタジオ=64DDはNINTENDO 64本体を拡張する周辺機器。ディスクドライブを用い、ソフト間のデータのやり取りを実現した。『スーパーマリオアーティスト』シリーズのひとつ『タレントスタジオ』は、ポリゴンのキャラクターとそれを使ったムービー作品を作れるソフト。64DDの販売は会員制でスタートし、購入ハードルは高かった※サテラビュー=スーパーファミコン向け衛星データ放送サービス。テレビ番組を観るように、ゲームソフトが配信された

山田:
サテラビューとか、やってました?
りふぁ:
やれてないです。無理ですよ、子供には。謎のものでした。
山田:
謎ですよね。衛星放送がそもそもできないですし。
りふぁ:
今となっては、やっておきたかったし、動画(ビデオ)に残しておきたかったですけどね。

↑山田さんの仕事場(クリックで拡大します)。机周りには、仕事メモのほか気に入ったイラストの切り抜きが飾られ、刺激を与えてくれます。そして仕事部屋の一角はテレビ&ゲーム!

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