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ラフスケッチも公開!? 『星のカービィ ディスカバリー』新大陸への軌跡インタビュー

3Dになって進化したカービィのアクション

3Dになってパワーアップ! 12種類のコピー能力

—— 本作のコピー能力は12種類登場、「ドリル」と「レンジャー」が新能力ですね。

熊崎 数は今回12種類なんですけど、全てを新能力と同じように作りました。例えばソードと言っても、おそらく多くのお客さんが3Dになってどういう能力に変化したのかなど、素振りしてみたりして確かめながら冒険したと思います。なので、今回の12能力という数に関しては、ソード1つにおいても、新3Dソード能力、みたいな覚悟で作りました。

神山 ソードは振り方を細かく見ると、過去作では縦振りだったのが、本作では横振りで3D空間でも当てやすくなっています。ボムは片手投げから両手投げに変えて、後ろから見ても狙いやすくしたり、ボムの丸い形状と3Dに広がる大地を活かして、転がる遊びを立たせました。カッターなら投げた後にいったん止めて、カービィが移動することで軌道を変えられるようになったり、すべて遊びの個性を全部見直したんです。個性を立たせて、それぞれのコピー能力で遊びが変わるようにしていったら、一番長くかかった能力で2年ぐらい完成まで時間を要しました。そんな感じですべてを見直して、新しく遊びを作り直したので、12種類というのが一番バランスが良いように作っています。コピー能力の実験の中で、能力の基本パターンには採用が難しい、クセの強いネタもたくさん出ました。例えばカッターだったら軌道が曲がるネタは進化能力のチャクラムカッターに採用されたり、壁に当たった際に反射するのも面白いな、というのがフルメタルカッターになったり。そのコピー能力の基本の遊びに慣れてからの方が活かしやすいので、クセがあるけど面白いネタは進化能力になっています。

—— そういうことだったのですね。

神山 能力自体は同じでも、進化すると遊びが変わるみたいなことが出来たのではないかなと思っています。

熊崎 その上で3Dになった本作にふさわしい挙動を入れたいというアイデアもあり、用意したものが「ドリル」と「レンジャー」です。どちらも3Dである点を活かしたのがポイントです。

—— 「ドリル」は地面に潜るのが楽しい能力ですね。

熊崎 3D空間に円を描くように動けばその場所をすべて攻撃判定にすることが出来るのも特徴ですね。「レンジャー」は見てのとおり、遠くにシューティングするという3Dならではの遊びのある能力です。2Dだと角度だけを決めて撃つところを、360度見渡して狙ったり、距離感を見て撃つという遊びを入れたくて作りました。ただ『星のカービィ』ですので、リアルな銃にはしたくありません。あくまであれは銃のようなものであって本物の銃ではなく、いつもの星形弾を放つ能力だという感じでまとめました。

二宮 初心者にも嬉しくて、「レンジャー」は遠くからじっくり狙って攻撃していけば敵を倒してクリアができるっていう選択肢を与えられたのは、いいことだなと思いましたね。

遠藤 序盤にかなり活躍しますし、進化すると強くなりますね。空全体を使った広い空間を攻略できるようになってるので、遊んでいていいなぁと思いました。対する「ドリル」は逆に地面を見ながら進む遊びになっていて、どちらも個性があって楽しくできました。

神山 あと「レンジャー」は新世界のモチーフに合うカービィの衣装が、探検家の新しいところを探検するぞっていう衣装にしたくて(笑)。ちゃんと岩が転がってくるステージに「レンジャー」で冒険出来るように配置しているんですよ。

熊崎 もしかしたらファンの方は感じられたかもしれませんが、「ドリル」を見たときに「アニマル」を彷彿とした方もいらっしゃるかと思います。本作の敵陣営はアニマルだらけなので、基本的にどんな相手でも「アニマル」の能力が得られるような見た目になってしまい、すごく悩みました。そこで文明と自然が融和した新世界ということで、この文明に近い新能力として「ドリル」にし、遊びの思想と合ったビジュアルにまとめました。

「アニマル」はDS『星のカービィ 参上!ドロッチェ団』で初登場した能力。地面を掘って宝箱をゲットしたりしました

カービィの新しい力 ほおばりヘンケイの秘密

—— カービィの体があんなに伸びちゃってますけど…平気なんですか!?

熊崎 本作を作る際、カービィの変幻自在で神秘的な点について見直そうと思っていたんです。「ほおばりヘンケイ」の仕様が生まれるよりずっと前です。新シリーズになるにあたり「カービィって何だろうね」ってことから話を始めたんです。既存の人間に近い体格のキャラクターたちには出来ないことを、カービィだからこそ実現したいと考えました。その結果、新シリーズに合わせてチャレンジもしたい思いと合致して生まれたのが「ほおばりヘンケイ」になります。カービィはどんなに伸びてもへっちゃらで、一体どんな体をしているのか? と皆さんが疑問に思うくらいのインパクトを目指しました。実は新世界という設定自体がここから生まれたのです。一番最初に描いたラフでは、謎の三角や四角をすいこんで変形しようと考えたんですけど、「なぜ飲み込めないのか」と「その形の物体は何なのか」という部分をもっと共感を得られるようにと考え、私たちの身近にあるもの、車とか公園にあるアーチのようなものや土管などを、飲み込まず丸ごとほおばる、という形にしました。

—— 見た目のインパクトはもちろんですが、どんな形になっても可愛いですよね(笑)。

熊崎 結果的にカービィのシンプルな姿が、丸・三角・四角とさまざまな形になり、そのままとことこ歩く姿も魅力があり、アクション性能もまったく違ったものを提供することが出来ました。これはこの特別な新世界だからこそ実現できたものですが、カービィ自身は全く気にせずへっちゃらなんですよ(笑)。

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