『ヨッシークラフトワールド』開発資料も公開! スタッフに訊くウラ側のはなし

オモテとウラの構想から、実際に作れる工作の世界づくりへ

お菓子の箱に合わせた ヨッシーのスケール感

—— 「工作の世界」を提案されたとき、任天堂側の印象はどうでしたか?

松宮 工作というモチーフはとても魅力的に感じましたし、オモテとウラを使って面白いことができそうだなという印象は当初からありました。

手塚 私も同じですね。「ここに出てくる工作は実際に作れるような形にします」と言われたときに、とても楽しみだなと思いました。

一同 (笑)

—— 「実際に作れる工作の世界」って、そんな高いハードルまで最初からあったんですね(笑)。

山本 そうなんです。ゲーム中に出てくる工作は実際に作ることが可能なように考えて作られています。工作を考えるときは、材料をどうするかがいつも悩みの種でした。牛乳パックやお菓子の箱を使うと工作感が出るのですが、牛乳パックを地形として使ったのでヨッシーが小さくなってしまい、しかけで使える工作の材料が少なくなってしまいました。

—— それでもお菓子の箱などを地形に使ったのは、それだけ見た目が魅力的だったということでしょうか?

山本 はい。牛乳パックやお菓子の箱を大きく使う方が材料を認識しやすく工作感を出しやすいと考えました。その世界で遊ぶためのヨッシーのサイズはこれくらいだろうと決まり、そのサイズ感で存在できるものは何だろうかと、しかけに使う素材を考えていきました。たとえばペットボトルのフタくらいであれば車輪に使えるんですけど、たいていのものは大きすぎてしまって。

—— 現実世界にあるものを、工作用の素材として選んでいるんですか?

山本 そうですね。“子供でも作れるモノ”ということを意識しています。手作り感を出すことで親近感が湧くと思いますし、多くの人が小さいころに工作を体験していると思うので、親子で遊んでも気持ちを共有できると思います。なので、使われている箱なども、架空のデザインではありますが、お菓子の箱の感じがでるように意識しました。

工作ワールド全体が、 幼稚園の展示会!?

—— お菓子の箱のデザインそのものも、何かコンセプトを持って作られているものなっているんですか?

山本 最初に世界観を決めるとき、“幼稚園児が作った工作”というテーマにしました。幼稚園で、幼稚園児が作った工作の中をヨッシーの人形を使って遊んでいる…。そういう世界観のイメージなんです。

—— 幼稚園!

山本 はい。ベビィマリオやベビィピーチたちがいる、『マリオ』の世界の中の幼稚園。そう考えて、この子たちが手にしているお菓子ってどんなものなのかなと意識して空き箱もデザインしています。あくまで、制作上のイメージですが。

—— それで「ヨッシーのクッキー」のようなものが…。

渡辺 細かいですが、牛乳パックの「モーモーファーム」は『マリオカート』シリーズに出てくるコースなんです。

コースのスケール感やオモテとウラの世界を実感するために、お菓子の箱も作られた

山本 それと、幼稚園の設計図も作ったんですよ。

—— ええっ!?

山本 外観はもちろん、内部まで考えてあって、どの部屋にどのコースがあるっていうのも決めてあります。 松宮 最初は、教室の中を歩くっていう設定もありましたね(笑)。

—— ではワールドマップ全体も、幼稚園のイメージが元になっているんですか?

山本 そうですね。作る上でのモチーフ設定としては、幼稚園全体を使った展示会です。ワールドマップはその入り口に置いてある案内図のイメージなんですよ。「ここに行けばこれがありますよ」っていう。1つのエリアに3コースぐらいなのも、教室に入るのはそれぐらいだろうと設定しました。それぞれの部屋から、屋外や体育館へ…。

—— だから、砂場や、水が流れるコースもあったんですね!

山本 そうです。使われている工作の素材も、幼稚園児が使いそうなものを中心に選んでいます。中には、大人が使うようなものもありますけど…。

—— 工作に葉っぱが使われたりしているのも、庭があるから…。そういうイメージがあった上で、ゲームの中で表現されているんですね。

山本 はい。皆さんが遊ぶ上では、気にしなくていいことなんですけどね。

趣向を凝らしたさまざまなコースをめぐる…その舞台は幼稚園!?

—— 反対にいえばグッド・フィールの皆さんはこのことを意識して制作されていたということですよね。蛭子さんのほうでもこの話は共有されていたんですか?

蛭子 幼稚園ということはもちろん聞いていますけど、『マリオ』の世界の幼稚園がイメージになっていたということは今知りましたね(笑)。

1人で遊んだときはどうなる? 苦労のウラ側

—— 世界観が決まり、遊びとしてはどのように広がっていったんですか?

松宮 最初のコンセプトだと、オモテとウラを2人で遊んだときは楽しいんですけど、1人で遊んだときはどうなるの?っていう問題があったんです。コースのウラもスタートからゴールまで進む形式だったんですよね。右から左に進んでいき、しかけに出会う順番も同じで。

山本 はい。最初の構想では、オモテとウラの関係は等価だったんです。1人で遊ぶ場合、オモテを遊んだ後にウラを遊び、オモテとウラを何度も交互に遊んでヒミツを発見していくという作りでした。たとえば、最初のコースにあった汽車はもともとウラ用のしかけだったんです。オモテでも乗れるのですがとくに意味が無く、ウラのコースで初めてその意味に気付く、という作りでした。

松宮 だからオモテを遊んでフラワーが全部揃わなくて、「これ、どうやったら取れるの?」って聞いたら「ウラで取れます」と。そうなると、自分が見落としているのか、それとも用意されていないから取れないのか、わからなくなってしまうんです。遊んでいて、もやもやしてしまうんですね。

渡辺 それに、オモテを遊んだあとにウラを遊んでも、オモテのコースをしっかりと覚えていないとピンとこない部分もありました。私はあまりゲームが得意ではないほうなので、そういう立場から見させてもらっていたのですが…ピンとこないわけです(笑)。

山本 だからオモテとウラの関係は何度も見直していくことになりましたが、そのバランスを崩すまで長い時間がかかりました。その結果、オモテはヨッシーの正統なアクションゲームとして遊べるようにし、ウラは驚きを残しつつもオモテを邪魔しない作りにしました。そこで、コポチを探すという新たな遊びを用意し、コポチの隠し方もウラならではの、フラワーとは違う隠し方を意識しています。

松宮 ウラをどうするかっていうのは、長く考えていましたね。

山本 オモテを『ヨッシー』の正統なアクションとして、納得してもらえる落としどころを目指していきました。最終的に、ウラはオモテと等価ではなく、工作というテーマをより深めていくために使うことにしました。オモテとウラが等価ではなくなったので2台を使ったオモテ・ウラの同時プレイも無くなりましたが、結果的には工作を強めることができたと思います。

ゲーム中は、ウラで確認。オモテにもお菓子の箱で作られたカンバンが!


設定資料大公開

幼稚園 設計図 園舎には、いくつかの部屋が。外に出ると庭園、裏山、プール、ホールなども

設定画ではないけれど、つまり背景に見えているタイル。ここは手洗い場だったということ!?

水車 牛乳パックにビニール。テープを巻いて作られている。支えているのは竹串とストロー


さまざまなオブジェクト

木の板材に、丸や四角の形がぶら下がったモビール。ダンボールで形をつくり、表面にフェルトを張っている。顔は毛糸

紙皿、厚紙で作った起き上がりこぼし。左右に揺れてお見送り…シッポはウラ側にテープで貼り付けられている

丸太や太い枝の上に飾られたクリーチャー

書き割りに描かれているキャラクターや小物、そしてイスにチケットらしきものも

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