『ヨッシークラフトワールド』開発資料も公開! スタッフに訊くウラ側のはなし

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ヨッシーが主役になるトコロから クラフト世界での活躍まで

工作の世界をヨッシーが冒険する『ヨッシークラフトワールド』。
発売から少し経ち、「2本でお得 ニンテンドーカタログチケット」対象のソフトでもある本作のインタビュー記事をお届けします。ウラ側の開発秘話だけでなく、開発資料も掲載していきます。
まずは今作に関わる任天堂の皆さんと、開発会社のグッド・フィールのお2人のプロフィールからどうぞ。(ニンテンドードリーム5月号より)

手塚 卓志 任天堂執行役員。古くから『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズ等に関わり、『ヨッシー』シリーズの生みの親としても知られる。本作もプロデューサーを務める。

松宮 信雄 任天堂企画制作部所属。『ヨッシー ウールワールド』『Hey! ピクミン』などに携わり、今作ではアソシエイトプロデューサーとして任天堂とグッド・フィールの間をつなぐ

渡辺 恵未 任天堂企画制作部所属。コーディネーターとして『毛糸のカービィ』『ヨッシー ウールワールド』などに関わり、今作ではアソシエイトプロデューサーを務める

蛭子 悦延 グッド・フィール ゲームス代表取締役社長。グッド・フィールの制作責任者。今作では、グッド・フィール側(ディベロッパー側)のプロデューサーを担当

山本 真裕 グッド・フィール ゲームス制作部所属。本作のディレクターを務める。過去のタイトルではDSiウェア『立体かくし絵 アッタコレダ』、カーナビ連動ソフト『クルマでDS』などを制作

グッド・フィールとは……
「いい感じのモノづくり」をコンセプトに、ゲームの企画・制作を行っている株式会社グッド・フィール。Wii『毛糸のカービィ』や3DS「すれちがいMii広場」のあそび『すれちがいシューティング』などを制作


『ヨッシー』シリーズといえば、探索の遊びと独特のアクション

ニンドリで『ヨッシー』シリーズのインタビューは、じつは久しぶり。まずは、ヨッシー誕生秘話と主役になるところからお話を訊きました。さらには、グッド・フィールさんにお話を訊くのも稀なこと。そのつながりをうかがっていきます。

マリオは馬に乗りたかった!? 相棒ヨッシーの誕生

—— まずはヨッシーが生まれて、ヨッシーが主役になった経緯を教えてください。

手塚 そうですね、ずいぶん過去の話にさかのぼりますが…。ヨッシーは、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』から登場するんですけど、宮本(茂)さん※1から「マリオを馬に乗せたい」という案が、その前からあったんですよ。宮本さん自身が描いた、マリオが馬に乗った絵を自分の机の近くにずっと貼っていて…。見せつけられていたんですね。だから、いつか馬に乗せなきゃアカンのやろなぁと。

一同 (笑)

手塚 ただ、そのまま登場させてもマリオの世界には合わないので、世界観に合った乗り物を作ろうと当時のデザイナーだった日野(重文)さん※2と相談して考えました。最初はワニのように口がギザギザした姿だったりとか、いくつかの変遷を経て今の姿に決まりました。

—— ミニスーパーファミコンのインタビュー※3でも語られていましたが、ヨッシーって…カメなんですね。

手塚 はい。カメだと言い張りました。

一同 (笑)

手塚 マリオの世界にとって違和感の無いキャラクターとして、カメにしようと。宮本さんが言ったのかもしれません。ちょっとあやふやですけど。

—— ヨッシーの家で見られるメッセージには「スーパードラゴン」と書かれていたので、恐竜なのかと。

手塚 あまり深く考えないで書いていたのかもしれません(笑)。

『スーパーマリオワールド』より、ヨッシーの家で見られるメッセージ

『スーパーマリオ』とは違う『ヨッシー』ならではのアクション

—— 『スーパーマリオワールド』が出たあとに『ヨッシーアイランド』が出て、『スーパーマリオ』シリーズと『ヨッシー』シリーズが分岐したイメージがあります。

手塚 『マリオワールド』でヨッシーが登場して、ヨッシーの操作自体も特徴があるので、これも大事にしたいなという気持ちがあったんです。だから、この後もヨッシーに乗ったマリオだけではなく、ヨッシーを独立させたシリーズを作りたいという考えがありました。

—— それでヨッシーが主役になることが決まり、『ヨッシーアイランド』の制作にあたってヨッシーならではのアクションを考えていったのでしょうか?

手塚 そうですね。最初からすべて決まっていたわけではなく、時間をかけて少しずつヨッシーらしい仕様を作っていきました。ヨッシーは舌を伸ばして食べることができるので、食べた後に何かできないかなって思って、下ボタンを押したらタマゴを産むというアイデアが生まれました。で、タマゴができたら投げたいよねって思って。でも、ヨッシーを操作しながらタマゴを投げるのは難しい。

—— 思った方向に投げるのが意外と難しい、と。

手塚 はい。だからといって、真っ直ぐ投げるだけというのはやりたくなかったんです。シューティングゲームのようになってしまうので。ここでもすごく悩んで、時間がかかりました。そんなときに宮本さんから「せやったらカーソルが勝手に動いて、好きなタイミングで投げるってしたらええやん」と提案してもらって、まとまっていきました。ふんばりジャンプも、ゲームの初心者に対してなるべくやさしくしてあげたいと思って、ふわっとしたジャンプと着地ができれば遊びやすくなるんじゃないかなと。ゲームの操作感自体を『マリオ』とは変えたかったという想いもありました。

—— 『マリオ』シリーズと『ヨッシー』シリーズの、意識的な違いってどういうところになるのでしょうか?

手塚 『マリオ』はわりとスピード感やテンポが大事で、限られた制約の中でテクニックを駆使してゴールを目指すのですが、『ヨッシー』はもっと自由というか。時間制限も無く、好きなようにコースをウロウロしながらゴールを目指す。その間、探索ができる。『マリオ』が「いかに最適なルートを見つけるか」という遊びなのに対して、『ヨッシー』は「じっくり長く考えながら遊ぶ」ゲームだと思います。

—— 「探索する」ことから、今に続くスペシャルフラワーや赤コインを集めるっていう遊びが生まれたんですね。

手塚 はい。

『ヨッシーアイランド』より、タマゴ投げ。動くカーソルのタイミングを見て狙いを定める

※1:『マリオ』シリーズ、『ゼルダの伝説』シリーズなどの生みの親として知られる人物 ※2:入社2年目で『スーパーマリオワールド』に携わった他、『ピクミン』などを手掛ける ※3:任天堂ホームページのトピックスに掲載された、「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」発売記念インタビュー 第5回「スーパーマリオワールド + ヨッシーアイランド篇」

“緩い探索”の感覚に難儀した 『ヨッシー ウールワールド』

—— 前作、Wii U『ヨッシー ウールワールド』でグッド・フィールさんと一緒に『ヨッシー』を作ることになるわけですが、その経緯を教えていただけますか?

手塚 Wii『毛糸のカービィ』をグッド・フィールさんが作られて、その技術を使って新しいアクションゲームを作れないかと思っていました。それで…

蛭子 毛糸の世界でヨッシーを作れないか、とご提案いただきました。

手塚 実績もありますし、『ヨッシー』の世界観とも合うのではないかと思いました。

2019年3月7日にニンテンドー3DSで発売されたリメイク版、『毛糸のカービィ プラス』

—— 『ウールワールド』は、開発に関わった皆さんの手応えとしてどのように感じられましたか?

渡辺 たしか、見た目の部分を含めて模索している期間が長くて…。

手塚 最初は『毛糸のカービィ』のように、線でヨッシーを表現していたんです。

蛭子 その線のヨッシーがパワーアップしたらあみぐるみのヨッシーになるというアイデアから、かわいらしいあみぐるみの姿が生まれて、それが現在の姿になりました。

渡辺 『ヨッシー』は探索のゲーム、ということをつかむのも、苦労しましたね。

蛭子 ゲーム性についてはうちとしてもいろいろ研究しましたが、ヨッシーの“緩い探索”という要点を理解するのに時間がかかりました。

松宮 探索ということは、何かを発見すると嬉しいということが遊びの中心になるんですね。そうなると、ちゃんと見つけてもらうための隠し方が大事になってきて、そのバランスを模索するのが大変でした。

3DSのリメイク版『ポチと! ヨッシー ウールワールド』。毛糸のあみぐるみヨッシー

Switchでヨッシーを! 工作になるまでの道

—— そして本作『クラフトワールド』につながるわけですが、どういう始まりだったのでしょうか。

山本 最初に話があったのは、まだNintendo Switchが世に出る前で。そのときに「ヨッシーで何か作りませんか?」と提案されました。私自身は『毛糸のカービィ』や『ウールワールド』には関与してなくて、任天堂さんと一緒に作るアクションゲームに関わるのは今回が初めてです。それでまずは、伝統的な『ヨッシー』が、新しいコンセプトを持って生まれるNintendo Switchというハードで発売されるにあたって、どういう遊びが必要なのかなって考え…。あ、工作の話になるまで長いですよ。

一同 (笑)

山本 Nintendo Switchのコンセプトとして、1人で遊んでも楽しいけど、外に持ち出してみんなで遊んだらもっと楽しいというところがあったので、そういうものを実現する『ヨッシー』にしたいなという想いがありました。外にも持ち出せる家庭用ゲーム機にどういう可能性があるかと考えたときに、たとえばNintendo Switchを2台持ち寄って、コースの表側と裏側から同時に遊ぶ方法はどうだろうかと。そうするとみんなで集まって遊んだときに、それぞれ視点が違うから攻略の違いがあって、情報を交換しながら進むコミュニケーションが生まれるのではないかと。それが最初の着想ポイントでした。

—— 2Dというより、3Dに近いコースマップのイメージだったのでしょうか?

山本 そうですね。『ヨッシー』って基本的に、横長のコースじゃないですか。表側と裏側で遊ぶなら見えるものが違わないと面白くないですし、かつ、見た目はちゃんとゲームとして成立しなければならない。そこで考えたのが、「工作」の世界なんです。工作だったら、あえて裏側で作りを見せることによって舞台裏感を出し、表と裏で表現の違いを出せるのではないかと思いました。

—— 裏側を見せる世界として、工作がピッタリだったと。

山本 ほかにもいくつかモチーフを考えたのですが、工作だったら『ヨッシー』の世界観にも合っていると思いましたし、総合的に考えてこのモチーフを選びました。

—— ではオモテとウラという考えが、初期からあったんですね。

山本 はい。その考えがスタート地点で、それを活かすために工作というモチーフが生まれました。

工作だからこそ「ウラ側」っぽい!

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