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FE無双 風花雪月 キーマンインタビュー 〜もうひとつのフォドラ戦記を尋ねて 後編〜

教えて岩田D!もっと訊きたい Q & A

インタビューの最後に、プレイするほど奥深い魅力を発見できる本作のゲームのより深い部分について岩田ディレクターにおうかがいしました。重要なネタバレはなしで読めますが、完全にまっさらな状態で本作を楽しみたい方は、クリア後にお楽しみくださいね。

Q.赤焔の章・青燐の章・黄燎の章について、物語を通して描きたかったことは?

岩田 本編とは異なる体験とするために、『FE 風花雪月』でやり残したことを描く、というのをテーマのひとつに置きたいとシナリオライターから話を受けました。赤焔であれば“闇に蠢く者”との対決、青燐であれば“ダスカーの悲劇”の真相に辿り着く、黄燎であればクロードの野望の実現への大きな障壁が現れる、です。いずれのルートも、ベレト・ベレスと出会わなかったことで起こる変化のその先を描こうとしており、例えばクロードに関しては彼のもうひとつの顔、野望の寵児としての一面に強くフォーカスしています。「多くの壁にぶつかりつつも、仲間に支えられながら己の野望の実現のためにフォドラを跳梁する」というものです。原作をプレイされたユーザーさんの心に響くものになると思いましたし、私自身も1ファンとしてぜひ見てみたいと強く感じましたので、任天堂さん、ISさんにご提案させていただきました。

『FE 風花雪月』では教団との戦いのため、帝国にはびこる“闇に蠢く者”の力を利用したが、本作では決別し己の力で道を切り開こうとする

ディミトリの父王や護衛の将たちが暗殺され、疑われたダスカーの民が虐殺された“ダスカーの悲劇”。仲間と因縁の深い事件の真相に迫っていく

異端者を拒絶する現在の価値観を変える、という野望を秘めたクロード。フォドラ全土を巻き込む戦乱の中で策を巡らせ、野望成就のために画策する

Q.エーデルガルト/ディミトリ/クロードについて、イラストレーターの倉花千夏さんにデザインをお願いする際に、原作との違いを出すうえで大切にしてほしいとお伝えしたポイントは?

岩田 級長たちは原作とは違う道をたどることになり、彼らを取り巻く環境も大きく変化しました。その変化をデザインに反映いただければと思い、エーデルガルトは“闇に蠢く者”との決別により生まれた「解放感」、ディミトリは早期に王位を継いだことによる「孤独な風格」、クロードは同盟やパルミラのしがらみに巻き込まれる中で打ち出さざるを得なかった「貴族のリーダー感」をキーワードとしてお伝えしました。

エーデルガルトは解放感、ディミトリは孤独な風格、クロードは貴族のリーダー感

Q.本作ならではの支援会話について、全体として意識していたことやテーマは?

岩田 原作から引き続き「フォドラのリアルを描く」がテーマでした。本作のストーリーでは士官学校がすぐに休止してしまうため、生徒たちは仲間と絆を育む時間、学級を越えて理解し合う機会を奪われます。その事実は、多くの生徒たちの人格形成に影響を与え、自ずと支援会話の内容にも変化が生まれました。もし「あれ? このキャラクターってこんな性格だったっけ…」と感じることがあれば、それはまさに本作の状況だからこそ生まれた差であると言えます。原作から通して徹底してきた、リアルな登場人物たちの造形を、体験として受け取っていただけたら幸いです。

原作では紋章に関わる暗い過去や女性への軟派な言動に関する内容が多かったシルヴァンの支援会話だが、本作では将としての思慮深い面が色濃く描かれている

Q.本作の戦場マップについて、制作で意識したことはありますか?

岩田 もともと『FE 風花雪月』のマップについても弊社に制作をお任せいただいていましたので、原作のマップリソースやデザイン資料をもとに、『無双』の遊びが実現できるよう再デザインを行っています。とはいっても、原作にもあったマップ(場所)については大きく印象が変わってしまわないようには配慮しています。戦闘の展開を作れるように地形の変更は行っていますが、象徴的な部分(ランドマーク)は可能な限りそのまま再現し、修正や拡張する部分については元のテイストにあわせてデザインしています。『FE 風花雪月』では見えなかった部分で、デザインだけはされている箇所もありましたので、そういったものも参考にさせてもらいました。なので、原作プレイ済みのユーザーさんは、「あ、ここは『FE 風花雪月』で見たあの場所だ」と懐かしく感じてもらえるのではないでしょうか。

水の都デアドラの水路や日傘まで、印象に残っている地形やランドマークが随所で再現されている

Q.ロドリグやホルストがプレイアブルキャラになったのは、ファンの声を受けてのことですか?

岩田 今作で登場するキャラクターは、プレイアブルのほか、新規に追加したNPCも含め「本作の物語を語るのに必要な人物」という視点で任天堂さん、ISさん、弊社の3社で話し合いながら選定しています。ファンのみなさまの意見を意識しなかったわけではないですが、追加キャラクターありきで物語を構成したわけではなく、結果的にこの人選になった、というのが正しいです。なので、必然的に追加キャラクターが活きるストーリー展開になっていますから、みなさまの期待に応えられるものになっているのではないかな、と思っています。

ヒルダの兄ホルストは、原作では姿を見せない“噂の存在”だったところからの大躍進! 勇将としての姿からコメディタッチな一面までたっぷり披露している

原作では知り得なかった内面や仲間たちとの関係性を垣間見られるとともに、物語上でも重要な役割を担う存在に

Q.選んだ仲間に笛を渡したときに、「相手側からお返しがもらえる」シーンが生まれたのはなぜですか?

岩田 キャラクターからのお返しのシーンは、「意中のキャラクターに対しては特別な何かがほしいよね」という理由で実装したものです。原作におけるべレト・べレスとキャラクターたちの物語や築いた絆を否定することに繋がってしまうので、本作では「支援S」はあえて実装していません。ただ、本要素を実装することで、「支援S」とは違う形で気持ちを満たしてもらえるように、という意図を込めています。キャラクター側からもアイテムを返してくれる、という部分はまさにそうした狙いから生まれたもののひとつです。

贈り物を「渡す」機会は多いが、贈り物を「もらう」機会は少なかった。ファンにはうれしいサプライズ

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前作『ファイアーエムブレム無双』
連続インタビュー特集ページ
DLC第2弾のインタビュー
DLC第3弾のインタビュー
開発を終えてのファイナルインタビュー

ファイアーエムブレム無双 風花雪月
■コーエーテクモゲームス
■2022年6月24日発売
■ストラテジー、アクション
■7,920円(税込)
■CERO12歳以上
互いの正義が交錯する戦場を描いた『ファイアーエムブレム 風花雪月』の世界と、数多な敵をなぎ倒す「無双」アクションが融合した、もうひとつの『風花雪月』の形。アクションとシミュレーションが融合した遊びを楽しむことができる。
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