カービィ30thフェス 感動の演出に直撃!スタッフ取材

すばらしい演奏と演出を届けてくれた、星のカービィ 30周年記念ミュージックフェス。
終了してなお、気になることがたくさん!

そこで、ハル研究所のスタッフであり本フェスのプロデューサー・岡田信志さんと、ラインプロデューサー・塩野佑莉さんの二名に企画・演出についてうかがいました。

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フェスのアートとグッズ

―― アートの方向性、グッズ、演出などはどのように進めていったのでしょうか。

岡田:
最初にサウンドスタッフがビッグバンド風の編成という指針を決めていたので、アートについてもそこからキャラや世界観、衣装を詰めていきました。

塩野:
アートにおけるカービィのポジションなのですが、25周年コンサートでは指揮者、でしたが、30周年カービィは、お客さまの代表としての役割も担ってもらっています。ペンライトを持ちTシャツとマフラータオルを身につけて。
カービィとおそろいのコーディネートでご参加いただけるよう、デザインや企画内容とあわせて、オリジナルグッズの展開を検討していきました。

岡田:
ペンライトはもともと、あれば面白いな、くらいに考えていたのですが、演奏に合わせて光の明滅や色を自動制御できるペンライトがあることがわかり、本イベントの演出の軸に据えようと決めました。

当初、配信環境でも自動制御が可能なペンライトを想定したのですが、のっぴきならない事情で実現が困難となり、会場限定の特別な演出として切り替えました。

―― ステージ上の装飾もかわいらしくて。

岡田:
今回は「フェス」というコンセプトということもあり、視覚的にも”楽しさ”や”プププランドらしさ”が、ぱっと伝わるような舞台装置にしたいと考えていました。
それで、ステージ上には、ゲームに登場する星ブロックやフィールドにある通称”アレ”がそびえ立っていました(笑)。

塩野:
あのオブジェのデザインは、ゲーム中でもこれといった決まりはないのですが、ステージ上で出演者のみなさまと一緒に見たときに自然な印象になるよう、星のかたちや、”アレ”のストライプの角度、スケール感の調整を重ねていき、あの形になりました。

実は、よく見ると、ブロックの星の部分や”アレ”の縁の部分は厚みを持っていて、ほんのり立体的になっていました。気づきましたか?

岡田:
舞台装置以外にも、カービィのぬいぐるみを配置したり、奏者さんにフェスTを着てペンライトを振っていただいたりと、舞台と客席の垣根を極力少なくして、一体感を得られるように演出しています。

ペンライトの演出

―― ペンライトの演出内容は、どのように進めていったのでしょうか?

岡田:
各楽曲ごとに、使用カラーや明滅などのざっくりとした仕様を切り、当日のオペレーションを担当したルイファン・ジャパン様に、細かな演出プランを計画していただきました。

大半がインストのゲーム音楽で、かつカービィ音楽は変拍子が多く存在するため、お客さんがノれるようなペンライトの演出が成立するかがネックでした。

今回は、主役であるカービィがお客さんの役割(先導役)も担っており、カービィにお客さんを引っ張ってもらうという構図で検討したのですが、お客さんにもわかりやすく伝わったんじゃないかと感じています。

塩野:
ペンライトの色決めについては、ゲームの中でカービィと一緒に冒険したとき、印象に残ったものは何だろう? そして、それを象徴するのは何色だろう?という疑問を軸に、使う色を探っていきました。

フェスの中でペンライトの色が象徴するのは、登場するキャラクターだったり、ステージだったりと、さまざまです。あえてルールを設けずに、各シーンにおける印象を最優先に決めていきました。

たとえば、『カービィのクライマックスバトルフェス』の「星の夢」のシーンですが、ずっとキャラクターとしての「白」色にするのではなく、ぐるぐる色の変わる背景にあわせて、赤・青・紫…と、不規則に明滅、点灯させることで、会場全体を、カービィのクライマックスなバトルに巻き込むような演出を目指しました。
こういった部分は、会場ならではの臨場感のある空間演出になったのでは、と思っています。


12色に発光する「カービィのペンライト(ウルトラレインボーデラックス)」。カラー名称も凝ってますよ!

スターホワイト
カービィピンク
デデデ大王レッド
マホロアブルー
ワドルディオレンジ
グリーングリーンズ
メタナイトパープル
マルクピンク
コックカワサキイエロー
エフィリングリーン
ソウルブルー
アナザーディメンションバイオレット

 

会場と演奏者の選定

―― 今回選んだ会場の決め手はなんでしょうか?

岡田:
社会情勢もあり、当初は1公演を想定していましたので、1公演で多くの観客動員をできる会場ということで、日本最大の劇場型イベントホールである「東京ガーデンシアター」が候補に挙がりました。
また、同会場の配席の特性として、どの席でも見やすくかつ舞台との距離が近いため、演奏の迫力を存分に味わうことができるということもポイントでした。

―― 演奏者はどのように決めていったのですか?

岡田:
最初にサウンドスタッフが編成を決めて、制作会社のハーモニクス・インターナショナル様にお伝えし、編成に沿った各楽器ごとの選りすぐりの奏者を選出いただきました。
著名なアーティストのバックバンドで演奏したり、海外ミュージシャンとコラボしたりするなど、多方面で活躍する錚々たる奏者の方々です。

サプライズ発表と無料配信について

―― アニメHD版の発表も大きなサプライズでしたね。

岡田:
もともと30周年期間中に発売する予定だったのですが、告知タイミングを慎重にうかがっていました。
今回のフェスは、とてもカービィへの思い入れが強く、熱量が高いお客さんが集まる絶好の機会でしたので、”サプライズ”として発表させていただきました。

アニメ「星のカービィ」の影響力は高いと思いながらも、20年以上も前の作品になりますので、正直、ここまでの大きな反響をいただけると思っていませんでした。素直にビックリしています。

―― そもそも、配信の視聴を無料にしたのは?

岡田:
より多くのお客さんに、カービィ音楽の良さを体験してもらいたかった、というのが大きな理由です。

配信での視聴は、もちろん会場の生演奏の体験には遠く及ばないのですが、何らかの理由で会場に赴くことができない方も、カービィのゲームを少しだけ遊んだことのあるライトな方も、世界中の人同士がつながってカービィの音楽を共感できる場所を創りたかったんです。

配信中に「カービィを好きで良かった」といったコメントがありましたが、むしろ、こちらこそ「カービィを好きでいてくれてありがとうございます」という気持ちでいっぱいです。

大勢のファンでいっぱいになった会場。
大成功の裏側には、たくさんの苦労と情熱がありました!

アニメ「星のカービィ」のHDリマスター版リリースも楽しみですね。

なお、フェスグッズは現在事後販売も行われています。(10/31迄、数量限定)
https://www.valuemall.jp/SHOP/291516/list.html

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