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イラストレーター・岩元辰郎さんが語る『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界と魅力


『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の魅力を、岩元さんに語ってもらおう!ニンテンドードリームのバックナンバーより掲載します!

岩元辰郎さんが描く、語る『BotW』

多くの人を魅了した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下『BotW』)。その世界ハイラルには、プレイヤーそれぞれの視点から見た物語と風景とがあります。
今月号は、そんな中のおひとりとしてイラストレーターの岩元辰郎さんが特別に登場、描き下ろしのイラストを披露していただきました。また、プレイした感想をうかがいます。

(ニンテンドードリーム 2018年6月号より)

 


岩元 辰郎(いわもと たつろう)
フリーキャラクターデザイナー、イラストレーター。
ゲーム『逆転裁判』シリーズ、『バクダン★ハンダン』、『D×2真・女神転生リベレーション』、アニメ「モンスターストライク」、リアル脱出ゲーム「歌舞伎町探偵セブン」等のキャラクターデザイン、TCG「ファイアーエムブレム0(サイファ)」カードイラスト等を手がける。小説「こどもの国」(徳間書店・アークライトノベルス)キャラクターデザイン、イラストを担当。
(Twitter:@iwamoto_tatsuro


●今回描かれたファンアートのイメージについて教えてください

岩元:
実は、最初にボツにしたラフがあるんです。
リンクの前に、老人がパラセールで降りてくるシーンなんですが、ゲームをプレイしたときこの老人の正体がガノンだと思ったんですよ。
だから老人が焚き火の前に座っているときも、いきなり攻撃されるんじゃないかと後ろをそーっと通ったりとか。
そうしたら…、とんだミスリードでした(笑)。
そんな思い出を振り返って絵にしてみたんですが、あまりに序盤のシーンだから「実は遊んでいないんじゃ」って思われるのもくやしいのでやめました。
それで、選んだのはやっぱりライネルです!
最初は隠れながら矢を拾うだけなので、これは2回目くらいに戦いにいったときのシーンですね。空から向かっていったら…弓で狙われている!? っていう。
そして撃ち落とされる、あの恐怖!!
うちのリンクはこんな顔をしていたと思います(笑)。
とはいえリンクを強くした今では楽勝なので、その時の印象をがんばって思い出しながら描きました。
それと、描いている途中で、ライネルの利き手が逆なのに気がついて直しました。
左利きなんですね。

●『BotW』をどんなふうに遊んでいたか教えてください

岩元:
始まりの台地から出た直後は苦労したんですよ。
神獣も最初にいったゾーラのところが、どうしていいかわからず一番苦労したし。最初のうちは説明が少ないですからね。
そのあとは、ガンガン寄り道しまくりながら進みました。
とにかく弓で、獣の狩りをしてましたね。隠れてそっと近づいて射る、という。あの感覚がたまらないです。…魔物の基地とかは、最初のうちは基本的に逃げてましたけど(笑)。
敵と戦うことよりも、あの世界で「生きる」っていうことが楽しかったですね。
神獣ダンジョンの順番なんかはまあふつうで、ゾーラの里、火山、リト族のところ、最後に砂漠ですね。
ただクリアするのがもったいなくて、ラストダンジョンは少しずつ探索してラスボスへは行かず、やり込みをしました。
祠はもちろん、コログの実も攻略を見ずにほとんど集めて。だから、かなり遊びましたよ。
もちろん追加コンテンツもやって、バイク※も手に入れてます
パラセールで滑空してから弓のスローモーションで狙うとか、操作感がとてもいいゲームだなと思います。

※バイク=追加コンテンツ第2弾「英傑たちの詩」をクリアすると手に入るマスターバイク零式。やり込んでいる証拠

●イラストレーターの視点から感じたことを教えてください

岩元:
デフォルメされているのにカッコイイ、というところですね。
たとえばこのライネルだって、体がすごく大きい割りには、足がちっちゃいですよね。
こんな難しいバランスなのに、カッコイイ。
ミファーなんて足は短いし、半裸みたいなデザインじゃないですか。でも、なんでかわいく見えるんだろう、というようなことを常に感じていました。
僕は歴代『ゼルダ』の中で『風のタクト』のビジュアルがものすごく好きなんですよ。
それと近い印象ですね。
人間キャラクターはそこまでデフォルメされているわけではないので、今出せる正解の世界がこのかたちなんだろうなあ。

●歴代の『ゼルダの伝説』で思い出のタイトルはありますか?

岩元:
(ゲーム制作の)プロになる前も、プロになってからも、一番面白かったタイトルは、って聞かれたら『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』って答えていたんです。
この回答には誰も文句のつけようがないじゃないですか(笑)。
グラフィックは先ほど言ったとおり『風のタクト』が群を抜いて好きですね。
とくにガノンドロフのルックス。長い袖で、二刀流で。
歴代ガノンドロフのなかでも、ダントツでかっこいい。
あの印象があったから、始まりの台地の老人をガノンだと勘違いしたんだと思います。
鼻が大きいし、ちょっと色黒で。
だから、フードが取れて白いヒゲがブワーっと赤く生え変わるんじゃないかと想像してました(笑)。

(左)リンクと老人/(右)『風のタクト HD』のガノンドロフ

 

まだプレイしていない人に『BotW』を勧めるとしたら、なんと伝えますか?

岩元:
いいから、やればいいと思うんだよなー。
絵描きとして、っていう視点からではなくなっちゃいますけども。
一見苦手かな、と思っても、面白くないはずがないからとにかく触ってください。
それで、このゲームの話をしようよ、と。
そう。話をしよう!


ラフ画&ボツ案も 見せていただきました!


1.今回のラフ 2.ボツラフ①。空から降りてきた老人を見てガノンドロフだと勘違いし、身構える岩元リンクの姿だとか 3.ボツラフ②。『風のタクト』のテイストで描いてみたというリンク
岩元:試しに描いたラフがもうひとつあって、『風のタクト』風に『BotW』のリンクを描く、っていうのをやってみたんです。なかなか良い感じに描けたんですよ。それで、このタッチでミファーとの子供時代のシーン…傷を治してあげるとか、そういうのを描いてみようとも思ったんですけど…これを自分がやる必要あるかな? って思ってやめました。もう同じようなものを描いている人もいるんじゃないかと思いますしね。


《最新情報》
●『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界をVRで楽しめる!
2019年4月26日より、Nintendo LaboのVRゴーグル Toy-Conに対応
臨場感のあるハイラルの世界に浸ろう!

●資料集「マスターワークス」、4月1日より4刷が発売に
ゼルダの伝説 30周年記念書籍 第3集 THE LEGEND OF ZELDA BREATH OF THE WILD:MASTER WORKS ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド:マスターワークス
アートワークのほか、ラフ(決定稿、検討稿)なども多数掲載。この世界を深く楽しんでいただくことはもちろん、イラストを描く人からは絵の資料としても好評です!
発売中 ゼルダの伝説 30周年記念書籍 第3集 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド:マスターワークス(Amazon)

●岩元辰郎さんの最近のお仕事
5月16日発売の小説「こどもの国」(徳間書店・アークライトノベルス)
担当したイラスト、キャラクターデザインは、「学生時代からやってみたかった」という違う絵柄への挑戦なのだとか。綴られた物語と、岩元さんの新しい表現をお楽しみください。

©2017 Nintendo

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