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日暮 央さん『バテン・カイトス Ⅰ&Ⅱ HD Remaster』キャラクターデザイン秘話(キャラかみ 2023年11月号より)

ゲームキューブで発売された『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』と『バテン・カイトスⅡ 始まりの翼と神々の嗣子』の2作品が1本になってNintendo Switchで復刻された『 バテン・カイトス I & II HD Remaster』。シリーズのキャラクターデザインといえばこの方!日暮 央さんの登場です。
ニンテンドードリーム2023年11月号より)

【キャラかみとは】ゲーム雑誌「ニンテンドードリーム」の不定期連載コーナー「キャラクターの神様」、略して「キャラかみ」。ゲームに“キャラクター”という形で命を吹き込んでくれる絵描きさんに、そこに込めた思いをうかがいます!

日暮 央さんへのインタビューを再録

日暮 央さん


フリーのイラストレーター。『バテン・カイトス』シリーズキャラクターデザイン、『ゼノブレイド2』レアブレイド、「ウカ」デザインなどのゲーム作品のほか、「ラストクロニクル」、「戦国大戦」、「ガーディアン・クルス」といったスマホ、トレーディングゲームのカードイラスト作品も多数。「蒼き狼 地果て海尽きるまで」や『モンスターハンター』関連書籍など漫画も手がける。

イラストを描くようになったキッカケは?

母に聞いたところによると、2歳ごろから絵を描くのが好きな子供だったようです。小学校の卒業文集に綴った将来の夢はイラストレーターで、中学校の卒業文集では漫画家になり、以降だんだんと大好きな「ゲーム」を作る業界への憧れが強くなり、やがてゲーム会社に就職しました。
学生時代は雑誌へのイラスト投稿もかなりしていましたし、同人誌も作っていました。ごく普通のオタク系絵描きです。

メインイラストについて

今回のメインイラストについては、過去ビジュアルより技巧にすぐれた絵を描くのではなく、ファンの皆様の思い出に寄り添うものにしたいと思いました。
比べるものではなく、共に横に並び立てるものに。加えて、令和の世における新規ユーザー様にも興味を持っていただくものにもしなければならず、“変わらないもの”“あえて変えるもの”のバランス取りにはかなり時間を割きました。

バテン・カイトスⅠ&Ⅱ メインイラスト
バテン・カイトスⅠ メインイラスト
バテン・カイトスⅡ 攻略本表紙イラスト

『バテン・カイトス』シリーズのデザインのコンセプトは?

『バテンⅠ』のキャラクターについては、過去に出版されました設定資料集のほうで既にいろいろとお話しさせていただきましたので、今回は簡単にまとめてお話しさせていただきます。開発中は本当に楽しかった思い出しかないです。勿論、大変なこともあったでしょうけれど、それから現在に至るまで「『バテン・カイトス』の日暮さん」と覚えていただいたり、令和の世にこうしてリマスター版を発売していただけたりもして。これで文句など言おうものなら、バチがあたってしまいます(笑)。

今、各キャラクターのデザインをあらためて見返してみると、あの当時じゃないと描けない線だったな、としみじみ感じます。時代という意味でも、自分の能力や勢い的な意味でも。“男の子は青、女の子はピンク、お笑い担当は黄色”というカラーリングからして、現代のセオリーとはまったく異なりますし、ミローディアの邪悪な目つきやゲルドブレイムの高笑いなどの表情が、今の私に描けるかどうか? もしかしたら難しいかもしれません。
若かりしころの自分がよくやってくれたな、そんなふうに思ったりもします。
ちなみに、現在の私がカラスを描くと、穏やかな顔のきれいなカラスになってしまうようです(笑)。今の自分の年齢が、物語中の彼とあまりにも離れてしまったからでしょうか(笑)。

『バテンⅡ』も開発当時からかなりの時間が経過しているので記憶が曖昧な部分もあるのですが、「その人がその土地で生まれ育ち生活している」ということを大切にしつつデザインしたのは、『バテンⅠ』のころから変わっていなかったと思います。『バテンⅡ』はPC(プレイヤーキャラ。サギ、ミリィ、ギロ)、NPC(ノンプレイヤーキャラ。街の人など)共に指定があまり細かくなかったような記憶があります。サギ、ミリィ、ギロの3人についても、比較的自由にデザインさせていただけていたかもしれません。

中でもミリィのデザインは特に今でも気に入っています。パンツスタイルとスカートスタイルの両方を同時に表現できました。ギロは声を聞いたときに驚いた記憶があります。男女が同時にしゃべっているあの表現、最高ですよね。動きも独特なので、キャラクターの印象を形づくるものは決して絵だけではない、そのことを強く再確認したキャラクターでもあります。そして、ミリィとギロにとても愛されているサギ。3人の関係も最高です(笑)。

バテン・カイトスⅠ 設定画

カラス

シェラ

リュード

ミローディア

サヴィナ

ミズチ

ギバリ

昨年、ギバリ役の声優・梁田清之さんの訃報を耳にしました。
梁田さん、ステキな演技をありがとうございました。オリジナル版『バテンⅠ』の思い出を色濃く胸に残しているプレイヤーのひとりとして、心から御礼申し上げます。

ゲルドブレイム

バテン・カイトスⅠ
バテン・カイトスⅡ

『バテンⅡ』は『バテンⅠ』の続編ということで、お馴染みのあのキャラクターの子供時代といったデザイン作業もありまして、その作業は本当に楽しかったですね。
キャラクターという架空の存在に時間の経過や巻き戻りという要素が加わり、顔の皺も身長も体格も異なるが確かに同一人物である。デザインを通してそれをユーザーのみなさんに説明をして納得していただく、そういう作業でした。私はとにかくキャラクターという命を作り出すのが好きなんです。その人物の人生そのものをデザインできる機会なんてそうそうないので、実に幸せな仕事でした。

バテン・カイトスⅡ イラスト&設定画

▼サギ

▼ミリィアルデ(ミリィ)

▼ギロ

サギ、ギロ、ミリィ、ミーマイの4キャラにつきましては、もともと宣伝素材としてのキャラクターイラストが存在していませんでした。

『バテン・カイトス Ⅰ&Ⅱ HD Remaster』の初報を聞いた際に、描かせていただけないかとあらためてバンダイナムコエンターテインメント様にお願いをしましたところ、OKをもらいまして。当時最大の思い残しが解消されました(笑)。
『バテンⅠ』のカラスたちのキャラクターアートといっしょに並べた際に違和感が出ないようタッチを合わせ、かつ古臭くなり過ぎないようにも気を配りました。

ミーマイ

日暮央さんが「目指す絵」とは?

私の場合、仕事で描く絵については、“自分が目指す絵”を描くというよりは、作品ごとでそれぞれ変えているタイプだと思います。作品ごとにクライアント様が求められているものやターゲットユーザー層が異なりますので、制作進行上で自分の意思以外の要素がどうしても入ってきますよね。自分で好きに描くことができる趣味の絵においても……その時々で描きたいテーマが変わったりもするので、結局後者かもしれないです。
自分が目指すたったひとつの絵のみを追求し描かれる作家さまのことを、時折うらやましく感じたりもします。それもまた強みですよね。

キャラクター作りで一番大事だと思うことは?

絵そのものは二次元ですが、その世界にそのキャラクターの命が本当に存在しているつもりで組み立てること、そしてそのキャラクターの持つ感情を可能な限り想像し、ていねいに解釈することかなと思います。

◾️神サマ教えて!ショートQuestion◾️
1.人生で初めて描いたイラストは?
幼稚園のころのアルバムの表紙の絵(自分で描いたものをそのまま表紙にしてくれるものでした)、幼稚園のころに初めて作った糸綴じの絵本の挿し絵。

2.好きなイラストレーター・マンガ家さんは?
絵本作家のリチャード・スキャリーさん(※1)、画家のイワン・ビリービンさん(※2)、山田章博さん(※3)、吉田明彦さん(※4)。そのほかにも多数の偉大な作家様から感銘と影響を受けました。

3.好きなキャラクターは?
たくさん居すぎて絞れません。強いキャラクターを好む傾向はあります。自分も強く在りたい、という願望からだと思います…(笑)。

4.今まで遊んだ中で一番好きなゲームは?
ゲームが大好きなので、大変難しい質問です。ここはあえて、『バテン・カイトス』シリーズとお答えしておきます! 本当にファンとしても大好きですよ。

5.今遊んでいるゲームは?
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、『ウマ娘 プリティーダービー 』、『モンスターハンターライズ:サンブレイク』です。ほかに遊んでいる途中で止めてしまっているものがいくつか…もっと遊びたいので時間が無限にほしいです(笑)。

6.この仕事をしていなかったら今現在どんな仕事をしていた?
うーん、どうでしょう。想像もつきません…。来世があったら医療従事者になりたいとは思っています。それか、研究職、エンジニア。おもしろそうなので。

7.最近感動したことは?
身近にいる方が「今自分は人生で一番幸せだ」と話されていたこと。今が一番って凄いです。なかなかいいきれることではないですし、心からよかったと思い、うれしくなりました。私の知人友人のみな様、ぜひみな様の幸せ話をお聞かせください(笑)。暗いニュースが多い中、幸せな話はいつ、いくつ聞いてもよいものですよね。

※1:アメリカの児童文学作家。絵本「スキャリーおじさん」シリーズは世界中で出版されるロングセラー作品。
※2:ロシアの画家、イラストレーター。ロシアの民話や絵本の挿絵を数多く手がけた。
※3:漫画家、イラストレーター。代表作は小説「十二国記」シリーズイラスト、漫画「Beast of East 1―東方眩暈録 」など。
※4:ゲームクリエイター、デザイナー。代表作は『伝説のオウガバトル』、『タクティクスオウガ』、『ファイナルファンタジーXII』など。現在はCyDesignation取締役。

<関連リンク>
▶︎『 バテン・カイトス I & II HD Remaster』公式サイト

<商品概要>

バテン・カイトス I & II HD Remaster
対応機種:Nintendo Switch
発売日:2023年9月14日
価格:パッケージ版、ダウンロード版ともに5940円(税込)
ジャンル:君とはじめて出会うRPG。
発売元:バンダイナムコエンターテインメント
CERO:12歳以上対象
▶︎マイニンテンドーストア購入ページ

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