【開発者インタビュー】『ヨッシーとフカシギの図鑑』ふかしぎな遊びと生き物が生まれたワケ
ちょっとヘンテコでおもしろい「ふかしぎな生き物」たちをヨッシーのアクションを使って調査する、Nintendo Switch 2 ソフト『ヨッシーとフカシギの図鑑』。これまでも数多く「ヨッシー」シリーズを手がけてきたグッド・フィールと任天堂がタッグを組んだ本作のウラ側を訊いてみました。
※本記事は「ニンテンドードリーム」2026年9月号に掲載したものです
※本記事では『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』=『ヨッシーアイランド』、『ヨッシー ウールワールド』=『ウールワールド』、『ヨッシークラフトワールド』=『クラフトワールド』と表記します
目次
【はじめに】『ヨッシーとフカシギの図鑑』ってこんなゲーム
ある日、ヨッシーはしゃべる図鑑の「フカシギ」と出会い、図鑑の中に入って生き物の調査を行うことに。
図鑑の中にはいろんな特徴を持つふかしぎな生き物たちが暮らしていて、「たべる」、「タマゴをうむ」といったヨッシーならではのアクションを活かしながら、独自の調査方法で生き物たちを調べていくアクションゲーム。▶︎公式サイト


開発を担当したグッド・フィールとは?
「もっと、いいかんじに」をモットーに、ゲームの企画・制作を行っているゲーム会社。
自社製作の代表作は『御伽活劇 豆狸のバケル 〜オラクル祭太郎の祭難!!〜』(Nintendo Switch/2023年発売)など。
任天堂発売タイトル開発も多く手掛け、Wii『毛糸のカービィ』、Wii U『ヨッシー ウールワールド』、Nintendo Switch『ヨッシークラフトワールド』、Nintendo Switch『プリンセスピーチ Showtime!』などの実績をもつ。
▶︎公式サイト
ヨッシークラフトワールド
◾️Nintendo Switch/2019年発売

ヨッシー ウールワールド
◾️Wii U/2015年発売

登壇者プロフィール
松宮 信雄さん(任天堂)

おもに任天堂とグッド・フィールの間をつなぐ役割で、『ヨッシークラフトワールド』に続く形で本作にも携わる。『プリンセスピーチ Showtime!』ではプロデューサーとして携わっている。
野上 恒さん(任天堂)

これまで携わってきた主なタイトルは「どうぶつの森」シリーズ、「スプラトゥーン」シリーズなど。過去には『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』にも携わっている。
山本 真裕さん(グッド・フィール)

『ヨッシークラフトワールド』に引き続き、今作でもディレクターを務める。過去にはDSiウェア『立体かくし絵 アッタコレダ』、カーナビ連動ソフト『クルマでDS』などを制作。
蛭子 悦延さん(グッド・フィール)

『ヨッシークラフトワールド』に引き続き、今作でもグッド・フィール側(デベロッパー側)のプロデューサーとして携わる。
ヨッシーのアクションであれこれ試したくなる遊び
次の「ヨッシー」はどうする?
―― 『ヨッシークラフトワールド』のインタビューは手塚卓志さん(※)にプロデューサーとしてご登場いただきましたが、今回は野上さんがお越しくださいました。手塚さんも本作のプロデューサーとしてスタッフクレジットに記載がありましたが、どのような関わり方だったのでしょう?
野上 企画の初動段階では、手塚が関わっていまして、山本さんと手塚と松宮で遊びの方向性をすり合わせていたのですが、途中で手塚が『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』の開発で忙しくなってきたので、それで僕が本作の手伝いに入りバトンタッチすることになりました。
僕自身も、『ヨッシーアイランド』や『ヨッシーストーリー』など、シリーズの開発にスタッフとして携わっていた経験があるんです。
―― そうだったんですね。そして松宮さんやグッド・フィールの蛭子さん、山本さんとは2019年の『クラフトワールド』以来久しぶりにお話を聞くことになりますね。
※手塚 卓志さん :ファミコン黎明期からゲーム制作に携わり、宮本茂さんとともに初代『スーパーマリオブラザーズ』や『ゼルダの伝説』を手掛けた。『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』ではディレクターに就任。以後、「どうぶつの森」シリーズや「スーパーマリオメーカー」シリーズなど、数多くのタイトルのプロデューサーを務めた。2026年6月26日付で任天堂の執行役員を退任。今後もプロデューサーとしてゲーム開発に携わり続けることを公表した。ちなみに前回に登場いただいたインタビューはこちら
―― 今作の開発は、どちらのお声掛けでスタートしたのでしょうか?
松宮 任天堂側ですね。そろそろ次の「ヨッシー」をどうしようか、というところで、2作続けてグッド・フィールさんといっしょに作った流れがありましたので、次もぜひお願いしたいとお声掛けしました。
蛭子 はい、それで手塚さんや松宮さんといろいろ話をさせていただいて。
―― 開発ははじめからNintendo Switch 2 向けにスタートしたんですか?
蛭子 最初はSwitch向けに開発していましたね。Switch 2 の発売が決まったことを受けて、途中から方針を切り替えました。せっかく出すなら、最新ハードに向けて作ろうと。
ヨッシーとはなにか? を考える
―― 「図鑑」という要素は、企画のはじめの段階からあったのでしょうか?
野上 ありませんでした。最初にあったのは、ヨッシーのアクションを使って繰り返し遊べるものにしようとか、そういうところでしたよね。
山本 はい。うちではこれまで『ウールワールド』や『クラフトワールド』を作ってきましたが、この2タイトルはモチーフからヨッシーのアクションを考えました。毛糸だったり、工作だったり。でも今回はまず、ヨッシーという存在がどういうものなのかを考えることが出発点でした。
松宮 山本さんや手塚といっしょに企画を練るなかで、たとえば「スーパーマリオ」シリーズとの違いとしては、「ヨッシー」シリーズには時間制限がなく、探索の遊びを楽しむ点に重点が置かれているよね、とか。
そういう「ヨッシー」のゲームがどうあるべきかというすり合わせは、少し時間を使っていっしょにやっていきましたね。
―― 手塚さんから野上さんに引き継がれた際には、ヨッシーらしさについてなどなにか託されたものはあったのでしょうか?
野上 とくになかったですね。(笑)。僕自身もシリーズには関わっていてヨッシーのことは理解しているつもりでしたし。それに、手塚に明確なコンセプトがあったというよりは、山本さんからのご提案を確認することが多かったようです。
山本 そうですね。僕が「これはどうですか?」と聞いたことに対しても、「これは僕好きだなぁ」とか、そういう反応で返してくださるんです。
これは手塚さんご本人からうかがったことがあるのですが、「こうしてはどうか」ということを自分からは言わないようにしているのだそうです。やっぱり手塚さんの発言って非常に重たいものになりますので、手塚さんが意見を言うとそれが決定みたいになってしまいますから。
野上 なので手塚からは核心的なことは言わず、反応を参考にしつつも山本さんが仕様を固めていった感じでしたね。
松宮 そういうなかでも、「繰り返し遊べるものにしたい」というのは、手塚がわりと毎回言っているテーマです。今回もそういうゲームにしたいというリクエストはあったと思いますね。
―― もともと図鑑とか調査といった仕様があったわけではなくて、繰り返し遊べるヨッシーのアクションゲームをつくろう、と。
山本 そうですね。そこで出来上がったのが、ヨッシーの「能動的アクション」というコンセプトです。
―― 能動的アクション。
山本 プレイヤーが能動的にあれこれ試してみたくなる。これがヨッシーらしい遊びだと思うんです。
ヨッシーって、すごい高性能なキャラクターなんです。「食べる」「ふんばりジャンプ」「タマゴを生む」など、ヨッシーができるアクションは多彩です。これらを使って自由に遊んでほしい、と思いました。
コースはひとつの大きな遊び場であって、ヨッシーを自由に操作して遊んでいただく、というイメージです。これを、我々は本作のコンセプトとして「能動的アクション」と呼んでいます。
―― ヨッシー本来のアクションを生かし、自由に遊べるものにしていくと。
山本 たとえば、路地裏にぽつんとボールが転がっているとします。それを拾って、投げたり蹴ったりする。壁に当てたボールをキャッチして遊ぶ。
そういう、楽しみを自分で見つけていくことをゲームにしよう、というのが一番のコンセプトなんです。…とはいえ、本当に路地裏でボールを見つけたとしても、それでいろんな遊びをしてみようとは実際はなかなかならないですよね。
―― 自分から遊びを見出すのは少しハードルが高いですよね。
山本 なので、どのようにすれば能動的に遊んでいただけるかを考えました。
見つけたのがボールではなくて、生き物――たとえばかわいい子犬だったら、近寄ってみたり、声を掛けたり、なでてみようかなとか、いろいろな行動が自然と考えられると思ったんです。
―― たしかに、ボールよりだんぜん想像しやすいです。
山本 そんな感じで、プレイヤーの方が思わずやりたくなるような「能動性」を誘うためのなにかが必要で、そこで生まれたのが「ふかしぎな生き物」でした。
ちょっと食べてみようだとか、踏んでみようとか、生き物たちが能動性の誘発につながるものになると思いました。
―― では生き物というアイデアが生まれたことで、能動的な遊びが生まれる手応えがみなさんのなかで感じられたと。
野上 手応えは確実にあったのですが…最初はまだちょっと薄いかな、という感じだったんです。
「能動的に遊ぶ」というのは、誰でもいきなり楽しめるものではなく、試しに社内のスタッフに遊んでみてもらっても、なにをしていいかわからないという人もいたので、どうすれば生き物たちに興味を持ってもらえるのか、試行錯誤が始まりましたね。
山本 でもコンセプトとしては間違いないと確信していたので、おもしろく作り込んでいけばいいという信念で進めて、ヨッシーのアクションを試したくなるような生き物をいろいろ考えました。
―― 蛭子さんも、そういった試行錯誤を要所要所でご覧になってたんですか?
蛭子 そうですね。試行錯誤の段階から関わっていました。私はどうしてもゲーム全体の目的やシステムから考えてしまうのですが、コンセプトから生き物に着目して、ぶれずに進められたことがよかったと思います。
“能動的な遊び”を導く生き物たち

能動的アクションの象徴、パンジーさん
―― 生き物で遊ばせることを決めると同時に、その種類もできるだけ多くしなければというような課題があったのでしょうか?
山本 ひとつの章でだいたい6体くらいいるのがいいかなと考えていました。いくつか試したのですが、4体ではやっぱり少なくて、10体だと多すぎました。
―― 計算のうえでいまの数になっているんですね!
山本 それから、1章に1体は大仕掛けのあるボス的ポジションの生き物を用意しました。
遊びのルールとしては、クッパJr.とカメックをいっしょに出して、絡められるようにする、というところです。あとはヨッシーが乗り込むようなライド系のアクションで遊ぶ生き物をときどき登場させたりと、生き物の配置もバランスをとっていきました。
―― 『ヨッシーアイランド』からおなじみのキャラクターも登場しますが、任天堂側からリクエストを出されたりもしたんでしょうか。
野上 いえ、おもにグッド・フィールさんからご提案いただいています。
僕らとしてはシリーズのキャラクターを増やすより、今作の遊びにあわせて興味が持てる魅力を持った生き物を登場させることのほうが大事だと思っていました。その遊びにマッチしたキャラクターを出していただければ、それでいいかなと。
山本 といっても、やっぱりおなじみの生き物がたまにいたほうがいいと思いましたので、ひとつの章で必ず1体は『ヨッシーアイランド』由来のキャラクターを入れています。遊びのネタがうまくいったものを採用する形です。
野上 結果的には、シリーズおなじみの「パンジーさん」が、この能動的な世界を案内する生き物として一番いいキャラクターになりましたね。
山本 このゲームで最初に出会う生き物としてパンジーさんは最適でしたね。多くの発見ができる生き物であり、成長して多彩な姿を見せてくれますから。
蛭子 僕もパンジーさんは、ゲームの象徴的な生き物としての思い入れがありますね。最初のほうで、パンジーさんを背負って花を咲かせる、っていう発見がありまして。
―― はい。しかもパンジーさんの色によって違う色の花が咲くという。
蛭子 「アクションゲームの遊びのための道具」という設計上の考えがあるので、僕は生き物を、どうしても実益で考えてしまうんです。でもパンジーさんに触れたときに、「ただ花を咲かせるだけで楽しい」と感じられて。「発見の遊びってこういうことなのかな」と思えた最初のきっかけになりました。
―― 実益とは関係なく、発見の楽しさを見出せたと。
蛭子 まあでも、実益からいうと「ドリシシ」が好きなんですけどね。使いやすいから(笑)。
―― 生き物で大きな衝撃を受けたといえば、「わたげさん」が印象的でした!
山本 わたげさんは、“能動的な遊び”の極みみたいな生き物ですね。ちょっかいを出すとどんどん増えて、ふわふわ飛んで、着地したらまた増えて。
―― コース全面に増やせるのも驚きましたし、かわいい見た目して恐ろしい。かなりの序盤でこんなにも型破りな遊びができることにも衝撃を受けました。
松宮 僕もわたげさんが一番衝撃を受けたかもしれないですね。なんだかわからないまま、ずっと増やし続けてしまうみたいな。とりあえずコースをわたげでいっぱいにしてみよう、みたいなことをやっていました。
山本 生き物への興味を引き出すキャラクターという点では、パンジーさんよりインパクトが大きいかもしれません。それくらい“能動的な遊び”を理解するのに適していましたので、1章に持ってきたんです。
―― 路地裏のボール遊びが、とんでもないものになりましたね。
生き物全体から、ヨッシー主体へ
―― 最初のパンジーさんでは、“味”があることにびっくりしました。
野上 僕は最初、パンジーさんを食べることに抵抗があったんですよ。敵ではなく生き物だと思うと、かわいそうというか、申し訳ない感じがして…。
―― そうなんですか!? 誰もが最初に発見する洗礼みたいなものかなと…。
松宮 しかも食べるとその生き物はいなくなってしまうので、さまざまな遊びを試せなくなってしまうし、どうしようか…と。それに遊びのネタも、ゲームをクリアするために生き物をギミックとして利用する、みたいなものが多かったんです。

―― コース上のアイテムを持ち運ぶみたいな。
松宮 なのでもっと生き物自体に興味をもって試してもらえるよう、ヨッシーの視点で行動したり、生き物の特徴を発見することに主体を置くようにシフトしていきました。
野上 ヨッシーが生き物を調査するということになって、発見のひとつに“味”がついたところで、味を知るためには食べるしかないから、まぁ食べてもいいか…と思えるようになりました(笑)。
―― ヨッシー主体の行動の、最たるところですね。
山本 とはいえ今までの「ヨッシー」シリーズを遊んでくださった方ですと、タマゴがほしいから食べちゃうと思うんですけどね。
―― はい。反射的に食べちゃいましたね(笑)。で、まさかの味があることに驚いて、最初の発見となりました。発見を集めていくのは、どの段階から生まれたのでしょうか?
山本 発見そのものは、当初からありました。
松宮 自分がやったことがどんどん記録されていくような形でしたね。
野上 こういうことを見つけたよ、という内容が画面に表示されるようにしていたんですよね。じゃあこれを集めていこう、という感じで“図鑑”というコンセプトが生まれました。
山本 遊びの主体が“調査”になったのは開発の最後のほうで、そこでようやく図鑑としてまとまりましたね。
―― プレイヤーからは主軸のように見える図鑑集めですが、今のかたちでまとまったのは最後の最後だったんですね。
増えるインパクト、でかさのインパクト
―― 途中から Switch 2 向けの開発に切り替わったとのことですが、生き物の作り方に変化はありましたか?
山本 いえ、考え方自体はそんなに変わっていないです。本体の性能が上がって、やりたいことをそのまま実現できたのは助かりました。
野上 Switchだとわたげさんのような、増え続ける生き物は大丈夫かな…と思っていましたが、Switch 2 なら増やしまくれるなと(笑)。
―― では、だいぶ“いい感じ”にできた感じですね。
山本 そうですね。より図鑑の中身らしいグラフィック表現だったり、生き物が増殖する個数だったりの制限がだいぶなくなったので、作りやすくなりました。なので、Switchで作っていたときよりも、よりコンセプトに合った表現がしやすくなりました。
野上 グラフィックの表現もかなりがんばっていただいて、図鑑の世界がより伝わるようになりましたね。
そこもSwitch 2 になった恩恵のひとつかと思います。あとは…グッド・フィールさんはなにか大きなものを出すというネタが、わりとお得意なんじゃないかなと(笑)。
山本 これはよく言われるんです。もっとその、驚きがほしいと要求されるので…(笑)。
蛭子 そう、困ったら大きいものを出していこうって(笑)。
―― そこは、インパクトですね(笑)。
山本 もちろんただ見た目が大きくなるだけではなくて、「ヤマズシン」は大きな生き物だからヨッシーが飲み込まれちゃうし、水も全部吸っちゃうし…というように、大きいからこそ可能な驚きがSwitch 2では表現しやすかったですね。

【閑話休題】インパクト抜群!! な生き物セレクト
ワラワラとたくさん出てきたり、ヨッシーよりはるかに大きかったり…とスケールの大きな生き物たちを集めてみました。
プチプチくん
謎の池の上で踏み続けていると、巨大化した姿のプチプチくんが登場。


ノモズ
大きな唇に挟まれて水中をスイスイ。水辺では怖いものなし!!


スナマトイ
まるで鎧のように全身を覆っている土岩を壊すと、本体が出現。


ヒントと遊びやすさ
―― ヒントのおかげで、誰もが遊びやすいゲームになってるなと思います。子供もわかるようにとか、なにか意識したことがあるのでしょうか。
野上 いつも思うんことなんですけど、お子さんって本当に色んなことをひらめくし、アクションゲームの上達も早いんですよ。
誰でも楽しめるようにということはもちろんですし、そこにはお子さんも含まれているんですが、特別にお子さんを意識して作ることはあまりないんですよ。
蛭子 そうですね。間口を広くして遊びやすく、でもやり込みたい人はがっつりやり込めるように。誰でも楽しめるようなゲームというのは、どのゲームでも心がけています。
―― たしかに、調査はむしろ大人のほうが気付けないこともあったりするかもしれないですね。ヒントの出し方も絶妙で。
山本 ヒントはかなり調整しました。僕はどちらかというとヒントを渋るタイプなので、最初はシルエットが表示されるだけで言葉のヒントがない状態でした。シルエットを見るために100コインくらい必要だったのですが…渋すぎるという意見がありまして。
一同 (笑)
松宮 実際にプレイしながら、このヒントの出し方だとわかりづらいのでは、もう少し遊びやすくしましょう、みたいなことをアドバイスさせていただきましたね。
山本 それで20コインでシルエット表示、100コインを使えばシルエットだけでなくヒントが表示されるように変更しました。
が、それでも松宮さんからは「これは“ほぼ解答”にしましょうよ」と提案されて。
松宮 はい。なるべく答えがわかるようにしてください、ということは言わせていただきましたね。
だって、シルエットのヒントではわからなかったから、さらに100コインを払うわけじゃないですか。それってけっこう、自分の中のプライドと戦っての決断だと思うんです。
そんな覚悟をしても見られるものがまたヒントって、これでひらめかなかったらどうするんですか!? と。
山本 覚悟して100コインも払うのだから、もう教えてくださいよって。それで、ヒントの文章はほぼすべて書き直しましたね。

生態的な表現を熟考した無垢な生き物たち
ゲームオーバーとゴールがない理由
―― ダメージを受けてもゲームオーバーにならないいっぽう、骨太のアクションを要求される箇所があるなど、そういった難易度はどういうふうに決めていったのでしょう?
山本 難易度を意識したつもりはそんなにないんです。遊んでくださる方の能動性を維持させて、いかに「生き物調査」に興味を持っていただくか、ということを常に考えていました。
野上 開発中、ヨッシーがダメージを受けていた時期はありましたね。
山本 そうですね。でも、うちの開発スタッフも任天堂さんも、もともと能動的な人ばかりなんですよ。試しに遊んでもらうと積極的に調査を進めていて、ダメージを受けることもいとわない。するといつのまにか、…やられちゃってるんです(笑)。
―― (笑)
山本 いろんなことにチャレンジしてもらうのが大事なのに、やられて残りのヨッシーが減ったりゲームオーバーがあったりすると、危ないことができなくなるじゃないですか。ですので、そういう要素はなくしました。
野上 生き物とどう絡むかということが一番大事だったので、ダメージを受けたりするような失敗は、生き物調査の遊びにとってはあまり意味がなかったんですよね。
山本 だから、ダメージを受けたり穴に落ちたりしてもその場で復帰できるのは、難易度を下げたかったからではなくて。能動的に調査してほしい、という考えなんです。コースにゴールを設けていないのもそのためです。
発見をし続けていただきたいので、ゴール地点がなければ調査への意欲をより保ってもらえるかな、と。
―― たしかに、ゴールにたどり着くことが目的になると、いろいろ試さずに先に進んでしまうかもしれないです。ただ、中盤で一度スタッフロールが入るじゃないですか。あれはどのような意図なのでしょうか?
山本 これも、能動性を発揮してもらいたいという意図があります。ほかのゲームでもそうだと思うのですが、エンディングを迎えたあとって、なにをやってもいい、自由な世界だ! という気持ちになると思うんですよ。
―― (笑)
山本 だからこのゲームでは、いち早くその気持ちになってもらいたかったんです。
―― けど、後半でもう一度エンディングがありますよね。
山本 最初は2回目のエンディングはなかったんですよ。でもストーリーとして終わったあとにもちゃんとスタッフロールがほしいよねと思い、入れました。
野上 もう1回くらいあってもいいか、って(笑)。
山本 ただ1回目とまったく同じだとおもしろくないので、ゲームリザルトという形で生き物の調査ランキングを加えました。今までやってきたことの結果が見られるので、その変化を楽しんでいただけたらと思います。

「ミクロの世界」と「月の世界」
―― 後半は変わった世界も多いですね。「ミクロの世界」は、見え方ががらっと変わったり。
山本 もともとミクロの世界という章をつくりたいと思っていたんですが、「ミクロの世界」に登場する生き物たちを決めたのは、けっこう最後のほうなんです。
―― これまで登場していた生き物にもクローズアップして、新しい一面を発見できるのがおもしろいなと。
山本 わたげさんは最初から登場させると決めていました。あとは、たとえば「バネバッタ」はいろんなコースの背景で跳ねている小さな生き物ですが、最初からミクロの世界の生き物として設計したわけではありませんでした。
生き物はすべて、アクションのアイデアから考えていますから。けど、ミクロの世界に登場する生き物はその前から見かけた生き物じゃないと…ということで、その辺のコースにいた小さなバッタをバネバッタに置き換えたんです。おかげで、いい伏線になりました。
野上 「メキメキさん」なんかも、同じく序盤からこっそりと登場していますね。
山本 そうなんですよ。メキメキさんもミクロとか関係なく、かなり初期につくった生き物です。ですから、ミクロの世界に入れようと決めたあとからいろいろな場所にメキメキさんを生やしていきました。
野上 よく見たら地下とかにいっぱいいるんですよ。
―― 10章「月の世界」は、浮遊感があったりとまた違う感覚でヨッシーのアクションが楽しめますね。生き物も独特で。
野上 「キューちゃん」は月の世界にぴったりでしたよね。
山本 キューちゃんは珍しいタイプでした。『ヨッシーアイランド』由来の生き物はすべて遊びの仕組みがうまくできたキャラクターを採用しているんですけど、「月の世界」はどうしようと考えたとき、月へ行けそうなのはキューちゃんしかいないな…となりまして(笑)。そこから能動的な仕掛けを考えました。だからわりと苦労しました。
野上 でも見せていただいたときには、重力を使って星間をどんどん飛び移るみたいなものができていて、とてもキューちゃんらしい遊びだと思いました。
松宮 ただ、ああいう宇宙空間は見た目の特徴がつけづらいんですよね。同じような星が散らばっていて、最初はどっちへ行ったらいいかわからないという問題がありました。
なので、なるべくわかりやすいルートだったり、ランドマーク的なものを作りましょうと提案しましたね。

【閑話休題】「ミクロの世界」にズームイン!
同じ生き物でも見えかたが変わってくるのがおもしろい「ミクロの世界」。インタビューにも登場した生き物たちを、ふだんの姿と見比べてみましょう。
バネバッタ
ふだんはそこらへんの草むらでぴょんぴょん飛んでいます。ミクロの世界では、バネバッタに乗っかり、まるでホッピングのようにあたりをぴょんぴょん跳ねながら探索します。



メキメキさん
じつはメキメキさんも序盤の章から地中や日陰などにこっそり生えています。上に乗っかると柄の部分がメキメキと伸び出します。
メキメキしている間は傘が赤色に変化する。



おなじみのキャラクターもふかしぎな生き物に
―― 『ヨッシーアイランド』由来のキャラクターは新たな生態や設定が追加されていることになりますが、任天堂側から助言したことなどはありましたか?
野上 いえ、グッド・フィールさんから提案いただいた時点で、『ヨッシーアイランド』を遊んだ人にとって違和感のありそうな生き物はいなかったなと思いますね。
「かるがーも」も、親に子供を返すような本編を思い出す遊びになっていますし。「ノモズ」がある意味一番おもしろかったかもしれないです。『ヨッシーアイランド』では敵だったのが、味方になったような感じだったので。
松宮 ノモズはわりとトラウマのように言われることもあるキャラクターですけど、今回なぜか仲よくなっていっしょに泳いだり…。あれはけっこうよいなと思いました。

―― ノモズの体内にも入れて。
野上 それは『ヨッシーアイランド』にゲロゲーロってカエルのボスがいて、そのオマージュみたいな感じかなと思っていたんですけど、「ヨッシー」らしくていい感じでしたね。
―― 「ヘイホー」は、ほかの生き物と比べて文明的なものを感じました。
山本 ヘイホーってちょっと人間っぽさがあるじゃないですか。だからヨッシーに対してなにかを“お願い”することもできるなと。
ヘイホーは「能動的アクション」としてはレーダーの役割なんです。ヨッシーに対していろいろと指示を出してくれて、ヘイホーのお願いをヨッシーが叶える、というのがヘイホーの遊びになっています。
―― それは、背中に乗せられる仕組みがあったうえでですか?
山本 そうですね、けっこう初期段階から「背中に乗せる」アクションはありました。
野上 背中に乗せるとヨッシーになにか新しい性能がついたり、操作が変わったりするんですよね。そこにヘイホーというレーダーがくっついたみたいになっているんです。
―― 「ヘイヘイホー」という別の生き物もいますよね。「ヘイホー」と分けたのは?
山本 全体を通して音楽に関わるネタが4つくらいありまして、ヘイヘイホーはリズムを刻んで、そのタイミングでアクションをする遊びになります。
いろんな楽器を持っているなら文明的だろうということで、ヘイホーの亜種にするのがもっとも自然に落ち着きました。
登場する6章の生き物はすべて『ヨッシーアイランド』由来にしようと決めていましたし、『ヨッシーアイランド』にはヘイホーが槍を持った「ヤリホー」という亜種もいますしね。
野上 ちなみに図鑑の世界って、あまり時間が動いていないイメージなんです。同じ図鑑の中にいるからといって、必ずしも同じ時系列にいるとは限らないので、ヘイホーとヘイヘイホーにどういうつながりがあるかは、謎に包まれていますね。


ふかしぎな生き物の生態づくり
―― 生き物を新しくつくるうえでは、たとえば「ヨッシー」の世界らしさなど遊び以外に意識したものはありましたか?
山本 どうでしょう。わざとかわいくしすぎたりとか、怖さを狙いすぎるようなことは考えていなかったですね。生き物が本来持っている「無垢さ」とでもいいますか。
野上 無垢であるからこそ、たとえばちょっと不気味さなんかもあるのが、ヨッシーの世界らしいなと思います。
松宮 今回、生き物たちが生活してるなかへ、こちらが勝手にお邪魔して調べにいくみたいな感じなんです。なので、生き物たちの息づく生態的な表現はがんばっていただきたいとお願いしましたね。
―― 虫の習性みたいな。
野上 そうそう。たとえば「ブドウバチ」もべつに悪さしているわけじゃなくて、ヨッシーが巣に向かっていくから攻撃してくるわけで。彼らからしたらヨッシーのほうが悪いのかもしれない。
松宮 「ダマシギリ」もすごく怖いんですけど、あれだけ怖いのにはちゃんと理由があったり。
山本 生態としては巣の中にいるものを捕食しているんですが、じつは母親なので、子供たちを守っているんです。自分の縄張りに入ってきたものになりふり構わず攻撃するので、怖いという。
―― アクションの遊びと、生き物の生態を両立させているんですね。
山本 生き物でできるアクションをみんなで考えているときに、プランナーがフィギュアを作ってくれたんです。アクションや遊びだけでなく、生き物の生態を考えるときにも気分を盛り上げてくれました。
野上 だんだん生き物に愛着が湧いてきますからね。作りたくなってくる気持ちもわかります(笑)。

「調査ツール」について
―― 後半から登場する「調査ツール」はどういった経緯で生まれたのでしょう?
山本 収集要素としてフラワーがあるのですが、その使い道として考えました。図鑑のモチーフに合うものが集められるといいかなって。そんなに役に立たず、より生き物に興味をもてるようなものがよかったです。
野上 一応、温度計は…「プチプチくん」のマグマが熱いということがちゃんとわかります(笑)。
―― 絶妙に機能しているのですね(笑)。好きな位置に置けるのも楽しいですし。
野上 あったらちょっとうれしいけど、なくてもいいかというあんばいなんです。
山本 たとえば現実のカプセル玩具なんかで、本当に写真が撮れる小さなカメラとか、時計のキーホルダーとか、そういうものってあるじゃないですか。実用性はさておき、機能することに価値がある。そういうものを目指して作ってみました。
デザイン的な飾りでよかったんですけど、やはり遊びの動線上にないと魅力がありませんし。
野上 温度や重さなど、画面だけでは読み取れないことがわかったりすると、この世界に厚みが生まれますよね。そこがおもしろいと思います。

「ヨッシー」の世界で好奇心の赴くままに遊ぼう

“能動的な遊び”の総ざらい、ゴクラクチョウ
―― 多くの生き物とふれあうなかでも、「ゴクラクチョウ」はそれまでに調査した生き物たちにあらためて向き合うきっかけになりました。
山本 ゴクラクチョウは、今まで得た知識を使って戦うのが遊びのコアです。
6章の最後に進むだけなら、調査をいろいろスキップしてもOKじゃないですか。でもそんな状態で挑むと、意外とむずかしいんですよ。ちゃんといろいろな生き物を調査してから来ればよかったな〜と思ってほしくて。
ようは、調査で得た知識が力になるんです。

―― プレイヤーによっては、調査した数が足りなくてクリアがむずかしくなることも…?
山本 苦労するとは思いますけど、「ノモズ」と「ジェットクラゲ」がいればたぶんなんとかなります。
「ドリシシ」とか「ボカングリ」とか「ツッツキさん」とか、この辺りは調査しておくと戦ううえで有利ですね。でも、これらは先に進むだけならスルーできてしまう生き物なんです。
有益な生き物は、しっかり調査していないと出てこないようにしています。
野上 最初にゴクラクチョウの遊びを聞いたとき、コンセプトに沿ったとてもいいアイデアだと思うと同時に、作りきれるのか心配だったんです。「すごく大変そうですけど、本当にやるんですか?」って。
―― そんなにも大変なことだったんですね。
松宮 ふつうのアクションゲームでは、敵キャラクターとは別にギミックや仕掛けがあると思うんですけど、今回はそういったギミック的な要素も生き物たちの特徴に入れ込まれています。
だからゴクラクチョウは、あらゆるギミックをその場に対応させる必要があるので、チェックの物量が膨大なんです。
山本 このゲームでのいわゆるギミックは水とか泥とか自然なものが多くて、ギミックと認識できないものがほとんどですね。
松宮 わかりやすいスイッチみたいなのはあんまりなくて、すべてが生き物によって完結していますね。
―― たしかに、ふつうのアクションゲームだったらリフトだったり、ステージ限定で登場する乗り物だったりするものが、生き物になっているなと感じました。…あ、だからゴクラクチョウを登場させるということは、あらゆるギミックを登場させることに等しいわけですね。
山本 はい。なのでゴクラクチョウと相対することになるクッパJr.は、およそ60種あるすべての生き物に対応する必要があって、大変でした。大変だけれども、途中で変えたりせずやりきるんだ! ということを現場で話しました。
野上 ほとんどの方がまだ見られてないのでは? と思うようなクッパJr.のリアクションも用意されています。やっつけるのに便利そうな生き物を使ってクリアするだけではなく、いろいろな生き物で試してみてほしいですね。

いろいろな生き物に興味を持つことの遊び
―― 生き物たちの名前を、自分で命名できるのもおもしろいですね。
山本 命名は、図鑑というモチーフに決まってから入れたものです。
―― 本作オリジナルの生き物がたくさん出てくる中で、プレイヤーが自由に名前を変えられると、本来の名前が定着しないじゃないですか。すごいチャレンジだなと。
野上 とても遊びに沿った仕組みなので、純粋にいいなと思いました。
山本 いいとは思ったんですけど、作業の手間がけっこうかかるものだったんです。命名システムをどうしても入れてほしいという熱心なスタッフがいたんですが、作業コストの点では議論しましたね。
―― けっこう大変な仕組みなんですね。漢字も入るし、見た目もきれいになじんでおもしろいなとは思っていましたが。
山本 日本語だけならいいのですが、多言語対応もあって非常に作業工程が増える部分なんです。図鑑の見出しに表示されるだけでなく、説明文の中に別の生き物の名前が使われることもあって。
―― ああー…。
山本 言語によっては、単数形複数形の違いでまわりの文章が変わったり、男性名詞と女性名詞でもまた変わったりします。
野上 実装するのはたいへんだったとは思うのですが、自分で調査して、その生き物について名前を付けるという流れはすごくよかったですね。
松宮 そうですよね。自分で体験したことをもとに、この名前が合うなと考えるのがおもしろい遊びになるんじゃないかなって思いました。「自分はこういう名前をつけたよ」ということを、友達との会話でネタにしてほしいなと。
山本 SNSでプレイしてくださった方の投稿を見かけたのですが、大喜利みたいにもなっていたりして(笑)。
―― ちなみにそれぞれの生き物の名前って、命名ができるようになる前から決まっていたものなのですか? それとも命名できる仕組みを入れたことによって、付け直したり?
山本 最初から今の名前でしたね。
―― プレイヤーが付け直してくれるよう、あえて変えたくなる名前を付けていたわけではない…と(笑)。
野上 だいたい安直な命名ですよね。まあ、あれはぜんぶフカシギのセンスということにしておきましょう(笑)。
「ヨッシー」の世界を深めた ふかしぎな生き物たち
―― 図鑑のインパクトが強かったので、「ヨッシー」でできるアクションの遊びから、こんなふうに広がったとは思いませんでした。
松宮 最初にグッド・フィールさんのほうで決めていただいていたおかげで、アクションゲームの楽しさをすべて生き物に集約させることができたと思います。
山本 はい。なのでアクションゲームとして構えるより、いろんな生き物に興味を持ってもらえたほうが楽しめると思います。
蛭子 ゴールを目指すアクションゲームではなく、 図鑑の生き物を調べることが自然にアクションになっており、 今までと違った感覚で、しっかりアクションが楽しめるゲームになっていると思います。
野上 僕は「ヨッシー」シリーズに関わるのがひさしぶりだったのですが、本作は「ヨッシー」の世界を今までより一段深く表現できたと思います。
これまでのシリーズではただ歩いていただけの生き物に、こんなにもいろいろな側面があるんだ、ということを、自分で見つけていくのが楽しいゲームになっていると思います。
―― コンセプトの「能動的アクション」が、「ヨッシー」の世界の深さにもつながっている、と。
野上 そうですね、雪だるま式と言いますか、生き物の特徴を知れば知るほど、「じゃあこんなことも起きるんじゃない?」と新しい興味が湧いてくるんですよね。
なので、童心に返るような、目の前に興味のあるものにフォーカスして遊んでいただくと、発想がどんどん引き出されておもしろくなっていくと思います。
山本 「これをやってみよう」と思ってやったことへのリアクションをたくさん用意していますので、いろいろと興味を持って試してみてもらえたらと思います。まだの方もぜひ、遊んでみてください。
ネタバレ注意!! ストーリークリア後のお楽しみ
最後に、ここからはストーリークリア後のやり込み要素について触れています。クリア後に読めばもっと理解が深まるかも?
11・12章について
山本 11章は、図鑑の究極系です。たとえば動物の図鑑を見ると、陸地で一番速いのがチーターだとか、空で一番速いのは〜みたいなページがあるじゃないですか。そういうものを入れたくて作りました。
野上 純粋に競争をしたらどの生き物が一番速いんだろう、っていうのをこの図鑑の中でもやっているんですね。
山本 12章は「ヨッシー」だからこそできるやり込みのひとつですね。
松宮 アクションゲームとして、本作の生き物でなにかコースを作ったらどうなるかをやる感じですかね。ふかしぎな生き物たちでもコースを作れるんだよという。
―― かなりやりごたえがあって、「ヨッシー」シリーズ定番のやり込みステージなのかなと。
松宮 『スーパーマリオワールド』のスターロード(※)みたいな扱いですね。
※スターロード:隠しステージ。難易度の高いコースが待ち受ける、スペシャルゾーンへの入り口がある
―― 裏ワールドとか、開発者からの挑戦ステージ、のような。
松宮 自分ひとりの調査で気がつく範囲にはどうしても限界があって、コンプリートはなかなかむずかしいと思います。ただ明確な最終ゴールはありませんから、自分なりにがんばったなというところまで遊んでいただけたらと思います

最恐の生き物は…?
※ここから先は、とくにゲーム終盤の内容に関するネタバレが含まれますのでご注意!
野上 僕が聞くのもあれなんですけど、パンジーさんが大きく成長するのと、巨大なパンジーさんをボスにするのとでは、どっちが先に思いついたんですか?
山本 えっと、大きくしたのが先ですね。パンジーさんってなんなんだろうと、生態を考える時間はパンジーさんが一番長かったんです。…「葛」ってあるじゃないですか。
―― 葛粉なんかの「葛」でしょうか。
山本 はい。あれって、すごい繁殖力でつるが伸びる植物なんです。僕の生活経験の話になるんですが、この葛がうちの近所にいっぱい生えていて、空き家なんてすぐ葛で覆われちゃうんです。
それを見るたびに、ものすごい生命力だなと思いまして。しかもつる同士が絡まって、太い木のようになるんです。海外では「グリーンモンスター」と呼ばれています。
野上 根っこが葛粉や漢方薬の原料になったりもしますけどね。
―― 世界を覆うようなやっかいな植物なんですね。
山本 パンジーさんは、まさにそれなんですよ。
一同 (笑)
山本 だから横方向にも広がるし、パンジーさん同士で絡まり合って上にも伸びていく。どこにでもいるし、ほとんどのつぼみに花を咲かせるじゃないですか。そうして世界を覆い尽くすような存在だと考えると、あの世界で一番怖い生き物かもしれません。
―― あのおなじみのパンジーさんから、そんな生態を考えられていたんですね。
山本 じつはけっこう考えていますよ。
ジャイアントセコイアって知ってます? 100メートルくらいまで成長することがあって、動植物で一番背が高いんです。その繁殖のしかたが、雷を受けて周辺に森林火災を発生させ、まわりを焼き払います。そのあと種を飛ばして繁殖する…というすごいものなんです。
―― すごい生態なんですね。
山本 で、パンジーさんも同じで、パンジーさんは何万年かに1回、その実を結ぶんですよ。
このどれか1個がものすごく大きく育って、それを地面に落として、地上をなぎ払って…。登場する生き物のなかではよく「わたげさん」が怖いと言われますけど、真に恐ろしいのはパンジーさんなんです。
野上 フカシギは、「今いないかもしれない生き物」が載っている図鑑なんですよね。
ずっと昔の時代から生き残ってるものもいるし、もう生き残ってないものもいるし。もしかすると、そういうサイクルのなかでわたげさんも、パンジーさんに焼き尽くされたのかもしれないわけですね。
山本 世界を支配するパンジーさんと、全知全能の存在であるゴクラクチョウ。どちらがこの世界に残るか、っていう戦いなわけです。
―― そんな哲学的なお話だったんですね!

<関連リンク>
▶︎ ヨッシーとフカシギの図鑑 公式サイト
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