【インタビュー】 システム、デザイン、サウンドすべてを訊きました!『スプラトゥーン レイダース』

個性的なガジェットは「気持ちよさ」優先で生まれた
—— ガジェットは15個すべてが非常に作り込まれていて、使い込むたびにおもしろさが増していく印象です。これらのガジェットのアイデアはどのように生まれたのでしょうか。
伊藤 そうですね……。まず、今作を作るうえでいちばんの利点だったのは、本編と違って「対戦を考慮しなくてもいい」というところでした。たとえば、地形を作るときも「行くことができてはいけない場所」について考える必要がなかったんです。
—— 一方的に攻撃できちゃう地形があると、対戦になりませんしね。
伊藤 「サーモンラン」では本編の遊びによって制限されている側面があったのですが、その縛りが全部なくなったので、自由に飛び回るなどやりたい放題できるというのは大きかったです。ですので、ガジェットを考えるときは、「とにかく楽しいアクションができるように」というのを意識していましたね。
—— 使う楽しさ、気持ちよさが最優先で生まれたんですね。
伊藤 どうやって作っていったかについては、職種問わず社内のいろんな人にアイデアを出してもらって、もうひたすら試作をして……という感じですね。試作も含めると、たぶん40個くらいはありました。そこからどんどん統合していって、最終的には15個になったという感じですね。
—— 「開発者に訊きました」で語られていた、ベルトコンベアのような。
伊藤 はい。「開発者に訊きました」でも話していたように、初期は設置する仕掛けばかりだったのですが、やっぱり自分でアクションできたほうが楽しいね、となりまして。没になったアイデアもいろいろあるんですけど、そのアイデアが別のガジェットのパーツの効果として活かされていたりもします。
—— スピード・パワー・テクニカルの3つのタンクで、それぞれガジェットに特徴があるのもいいですよね。
伊藤 今回はたくさんガジェットを使ってもらいたかったので、タンクごとに使えるガジェットが変わるようにしています。ちょっとおしつけがましいかなとも考えましたが、最終的にたくさんのガジェットを触ってもらったほうが、ゲーム全体として幅が出て楽しめるんじゃないかと考えました。
—— 初めてテクニカルタンクを使ったとき、ツナガルバルーンのような設置型のガジェットがうまく使えなくて戸惑いました(笑)。
伊藤 テクニカルタンクの設置系ガジェットは、シャケが密集するところに置くと強いんです。ダンジョンの地形を見て、どこにシャケが密集するかを予想しながら置いていくのが大事かなと思います。
—— なるほど! ガジェットは戦い方もがらりと変わるのが新鮮ですね。
伊藤 タンクごとに5個ずつ分けることで、選ぶ基準をわかりやすくしたというのもあります。15個もあるガジェットから「どれでも3つ選んでいいよ」となっても初めての方には難しいかなと思いましたので。
開発陣に訊く! イチ推しガジェット
—— 皆様のイチ推しのガジェットや組み合わせを教えてください!
井上 自分はすばやくシャケに接近できる、ニンジャワイヤーを軸にして遊んでいます。スモーカーとかタワーみたいなやっかいなシャケを最初にシバく、というのを全力でやっていますね。

伊藤 パワータンクが好きなんですけど、そのパワーを活かすために、スピードタンクのガジェットであるジャンプボムを組みあわせていますね。ジャンプボムで浮き上がっている最中に、ウズマキバスターをあわせて使うとか、高いところからメテオグローブで着地するのが好きです。

園山 僕はたまたますごくレアなブキが出て、それが「冷凍カチワリ」のブキパワーが付いていたので、これは活かさないとと思ってすべてのガジェットに「冷凍」をつけています。とにかくシャケを冷凍していく立ち回りですが、音も気持ちいいんですよね。ブラスターを使うと直撃音といっしょに、凍ったシャケが割れる音がすごく気持ちいいのでおすすめです。

田村 自分は少し色物っぽくなっちゃうんですけど、ガジェットそのものというよりも、すりみ連合の調査メカといっしょに戦うのが好きなんです。メテオグローブに「落下距離ボーナスアップ」のパーツを入れて、調査メカのメカジャンプとあわせて使ったり、調査メカを「カモン!」で呼んで着地したときに起きる爆風で周りのデカイクラを集めたりと、そういうアクションをうまく使いながら、すりみ連合との共闘感を味わっています。

『レイダース』のブキはメカニックのお手製
—— 対戦要素があるシリーズの本編と比べると、ブキの性能なども細かく違っているように思えますが、その辺りの調整はどのように行われたのでしょう?
伊藤 ブキの基本的な性能は変えていませんが、今回は「ひとりである程度、いろんなことができる」というのを意識して調整しています。本編の対戦では「同じチームの味方がいる」というのが大きくて、自分が偏った性能のブキを使っていても味方にカバーしてもらえるんですが、今回は基本的にはひとりで戦わないといけませんし。
—— 今回、ブキのデザインも独特でいいですよね。本編だと機能的でスタイリッシュな印象でしたが、『レイダース』ではDIY感があってユニークです。
園山 そうですね。やっぱり遭難してウズシオ諸島にいるわけなので、「既製品のようにピカピカなものがあるわけではないよね」というところから、「じゃあ、なにを素材にしているんだろう」と考えたときに「漂流物だよな」となりまして、海岸にどんなものが漂着しているのかを調べました。デザイナーが実際に海に行って、写真を撮ってきてくれたりもしました。「ウキはこんな感じで劣化するんですよ!」って見せてくれたりもしましたね。
—— リアル感があるのは現地取材の成果なんですね。
園山 ものをくっつけるにしても接着剤のようなものはないでしょうから、ロープワークでしっかり固定しているはずだ、というようなディテールにもこだわっていました。ブキを作っているセクションの人たちが、実際にロープでものを縛って「この巻き方は強い!」みたいにワイワイやっていました(笑)。
井上 あれだけアレンジされていても、元のブキの姿はちゃんと想像できるようになっているので、これまでのシリーズを遊んでくださった方には、おなじみのデザインを知っているからこそ感じていただけるおもしろさになっているのではと思います。
—— ちょっと気になったのですが、ウズシオ諸島で見つかるブキって、シャケたちが作ったんでしょうか?
園山 ゲーム上では、シャケを倒したときやオタカラの中からブキがそのままポンと出てくるような表現ですが、メカニックがいろんな素材を発見したときに、「こういうブキを作れるな」というイメージが見えている……という解釈かなと思っています。メカニックがいろいろな素材を持ち帰って調整して、ひとつのブキとして作り上げているという。
—— なるほど、腑に落ちました(笑)。ブキはデザインだけでなく、効果音も従来のものとは違いますよね。
田村 デザインに本作ならではの感じが出ていたので、効果音もそれに合わせたいなという思いがあり、しっかり作り変えています。
—— 従来のシリーズとは、どのように変えたのでしょうか。
田村 自分が担当した『3』のときは、「ナワバリバトルという競技のレギュレーションに則ったブキ」なので、とにかく手ごたえ重視、使いやすさに重きを置いて効果音を作っていたんです。『レイダース』では雑なニュアンスというか、「ちょっとガタついているなあ」という雰囲気が出るような、手作り感を大事にしました。
—— イチ推しガジェットをお聞きしたときもお話に出ましたが、シャケが凍ったりしたときの効果音も印象的です。
田村 シャケが密集している状況はいろいろな音も密集するので、そういう中でどうやればそういう効果音を特徴的に聞かせられるかというのは、けっこう苦労しつつ注力しましたね。

